Factory Automation

特集論文

エネルギー計測ユニット “EcoMonitorPlus”

2016年10月公開【全3回】
福山製作所 成井徹志

第2回 製品特長(上)

3. 特長及び製品化のための技術

3. 1 ユニット増設

 省エネデータ収集サーバEcoServerⅢ等の上位アプリケーションと通信する際、各回路の計測値を取得するために、計測回路を特定するための情報(回路番号)が必要である。
 このため、EcoMonitorPlusでは、次の基本方針で増設ユニットの回路番号を設定する仕組みを開発した。

(1) 増設ユニットの追加・交換を簡単にするため、ユーザーの設定レスで増設ユニットの挿入位置に応じて各ユニットの回路番号を自動的に設定する。

(2) 回路番号の設定のためにユニット間のコネクタに通す信号を最低限にする。
 (1)、(2)を実現するため、基本ユニットから増設ユニットに対して回路番号設定電文を送信する処理を新規に作成した。また、基本ユニット・増設ユニットの各計測CPU(Central Processing Unit)間に回路番号設定用の信号線を接続して、各計測CPUは回路番号設定電文を受信した際に、回路番号設定用の信号線の状態を確認して自身の回路番号を確定させる設計にした。基本ユニットが回路番号設定電文を送信する通信インタフェースには表示ユニットインタフェースを使用することとしたため、各ユニット間に回路番号設定用信号線を1本追加するだけで回路番号の自動設定を可能にした(図2)。
 これによって、ユーザーの設定レスで増設ユニットの回路番号を一意に決めることができ、増設ユニットの追加・交換の簡単化を実現した。

図2.回路番号の自動設定
図2.回路番号の自動設定

3. 2 予防保全への適用

(1) 漏洩電流の計測
 絶縁監視品 “EMU4-LG1-MB” は、計測分解能を0.01mAとすることで微小な漏洩電流の計測ができ、モータなどの設備単位での漏洩電流の計測を可能にした。また、抵抗分漏洩電流(Ior)の計測が可能で、漏洩電流(Io)では絶縁監視が困難であったコンデンサ成分漏洩電流(Ioc)が多いインバータ回路などでも絶縁劣化による漏洩電流の正確な監視が可能である(図3)。
 また、電力計測品と絶縁監視品を組み合わせて使用することで、設備の負荷電流と漏洩電流の監視が1台で可能になり、設備の省スペース化にも貢献可能である。

図3.漏洩電流の計測方式(Io計測とIor計測)
図3.漏洩電流の計測方式(Io計測とIor計測)

(2) 計測周期の高速化
 生産設備の寿命診断や予防保全用途へ適用しやすくするため、電力計測品(経済品 “EMU4-BM1-MB” 、高機能品 “EMU4-HM1-MB” 、同電圧系統増設品 “EMU4-A2” 、異電圧系統増設品 “EMU4-VA2”)の計測データの更新周期を高速化する必要があった。従来のEcoMonitorLightでは、当社が独自開発した計測ASICとユニット外部との通信などを管理する管理CPUの2チップ構成としていたが(図4)、計測ASICと管理CPU間の通信がボトルネックとなり、計測データ更新周期の高速化が困難であった。
 このため、EcoMonitorPlusでは、管理CPUと計測ASICの機能を1つのCPUに集約(1チップ化)することで、管理CPUと計測ASIC間の通信自体をなくし、さらに、ユニット外部との通信タイミングを最適化することで更新周期の高速化を図った(図5)。これによって、EcoMonitorLightと比較して2.5倍(250ms→100ms)の高速化を実現した。

図4.EcoMonitorLightの回路構成とソフトウェア構成
図4.EcoMonitorLightの回路構成とソフトウェア構成

図5.EcoMonitorPlusの回路構成とソフトウェア構成
図5.EcoMonitorPlusの回路構成とソフトウェア構成

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