特集論文
産業用ロボット “MELFA FRシリーズ”
2017年6月公開【全3回】
名古屋製作所 宮本昌和
[第3回]製品特長(下)知能化技術の強化
2. 4 知能化技術の強化
2. 4. 1 力覚センサのデータ取得性能向上
力覚センサのデータ取得速度を従来比で8倍とし、きめ細やかな力情報を取得できるようにした。これによって、例えば検査作業で、より精度の高い正誤判定が可能となった。また、ロボットコントローラの制御周期も従来比1/2としたため、はめあい作業や加工作業の高速化や作業品質の向上が可能となる(図8)。

図8.力覚センサのデータ取得性能向上による効果例
2. 4. 2 付加軸協調制御
ロボットの据付け面の中心を原点とする座標系であるロボット座標系をロボットコントローラで制御する汎用サーボモータの付加軸の動きに同期させて移動させる機能を開発し、付加軸と協調した動作を容易に実現できるようにした(図9)。付加軸協調制御時に、速度一定で動作可能な自由曲線補間も可能としたため、ロボットの動作範囲を超える複雑な形状をした大型ワークの研磨やシーリング作業等に対応できる。これによって、大型ロボットでなければ対応できなかった作業が小型ロボットでも可能となり、作業エリアの省スペース化やシステムコストの削減も可能とした。

図9.付加軸協調制御
2. 4. 3 ワーク座標キャリブレーション機能
ロボットアームの手先に設置されたビジョンセンサ(ハンドアイ)の情報を用いることで、ロボットとワーク座標のキャリブレーションを容易にする機能を実現した(図10)。これによって、ロボットの移設や無人搬送車(AGV)に搭載した際に発生する位置ズレを補正し、作業安定性の向上を可能とした。

図10.ワーク座標キャリブレーション
3. むすび
基本性能の向上、e-F@ctory/FA機器との連携強化、安全機能の強化、そして知能化技術を更に進化させたMELFA FRシリーズの特長について述べた。 IIoT時代の次世代ものづくり工場に向けた取組みが世界的に活発化してきている。その要求に応えるために、今後更にIoT技術と人工知能(AI)技術を取り込み、製品力強化に取り組んでいく。
製品紹介

産業用ロボット “MELFA FRシリーズ”
基本性能向上、e-F@ctory/FA機器との連携強化、安全機能の強化、知能化技術を更に進化させ、柔軟な生産ラインの実現を強力にサポートするMELFA FRシリーズを開発した。シーケンサ“MELSEC iQ-Rシリーズ”に対応したロボット用CPUも新たにラインアップに加え、産業分野向けのIoTであるIIoT(Industrial IoT)時代の次世代ものづくり工場を支える。
- 要旨 産業用ロボット “MELFA FRシリーズ”
- 第1回 製品特長(上)基本性能向上・SLMP対応
- 第2回 製品特長(中)安全機能の強化
- 第3回 製品特長(下)知能化技術の強化