特集論文
ワイヤ放電加工機 “MV D-CUBESシリーズ”
2017年11月公開【全3回】
名古屋製作所 犬飼 賢
第3回 リモートサービス “iQ Care Remote4U”
3.リモートサービス “iQ Care Remote4U”
3. 1 ダッシュボード機能
ダッシュボードは放電加工機の稼働情報、加工予測時間や電力消費量、消耗品の交換時期などを顧客のパソコンやスマートフォン、タブレットでいつでも確認できるサービスである。作業者は加工終了、アラーム情報、ワイヤ残量情報などをメールで受け取ることで加工機の停止時間を削減できる。管理者は複数台の稼働率、コスト情報をIoTプラットフォームで収集・蓄積し、一元管理して分析することで、生産プロセスの改善、ランニングコスト低減に活用できる(図8)。

図8. “iQ Care Remote 4U” のダッシュボード
また、放電加工機の稼働情報だけでなく、作業状況の見える化で、ワークの平面・平行出しや基準位置決めなどの段取り作業の中で時間がかかっている作業を具体的に把握することができ、作業者の教育によるスキルアップや段取り用冶具の作成などで時間がかかっている要因を取り除くことが可能となり、稼働率の向上を実現できる(図9)。

図9.作業状況の見える化
さらに、複数台の加工機を作業者1人で管理する場合には、加工機がストップ状態で放置されることがある。ダッシュボードでストップ状態が長く、無駄があると把握した場合は、加工機の待機電力を最小限にする省電力モードを使用することで、消費電力コストの削減も可能とした。
3. 2 リモート診断機能
リモート診断は当社のサービスセンターに設置した端末から直接顧客の放電加工機へVPN(Virtual Private Network)で接続し、加工機の状態を遠隔から確認する機能である。サービスセンターからアラーム内容、加工条件を確認し、生産現場と放電加工機の画面や情報を共有することで、迅速な診断でマシンダウン時間を最小化したり、スムーズに加工状況を把握して、加工改善のアドバイスをするなど、顧客の稼働率向上、生産性向上を実現できる。情報セキュリティについては、暗号化による安全性に加え、加工機側にリモート診断スイッチを設け、顧客の許可なく加工機への接続ができないように考慮している(図10)。

図10.リモートサービスのセキュリティ
4. むすび
新型制御装置D-CUBESとリモートサービス “iQ Care Remote4U” の特長について述べた。リモートサービスは開始したばかりであり、今後とも顧客のニーズに応えた製品を開発することで、顧客の生産性向上に貢献していく。
製品紹介

- 要旨 ワイヤ放電加工機 “MV D-CUBESシリーズ”
- 第1回 D-CUBESの特長(上)
- 第2回 D-CUBESの特長(下)
- 第3回 リモートサービス “iQ Care Remote4U”