特集論文
センシングユニット “MR-MT2000シリーズ” による
生産現場のTCO削減
2018年3月公開【全3回】
名古屋製作所 鈴木康広 岩丸和文
第1回 製品の特徴(上)ヘッドユニット/入出力ユニット
1.まえがき
近年、装置の生産性向上や機能アップを目的としたサーボ制御の高速・高精度化が進むにつれて、I/O機器やセンサ機器とサーボ製品の連携に対する要求が高まっている。それらの要求に応えるために、多様なセンサ信号をネットワークに同期して取り込むことが可能なセンシングユニット “MR-MT2000シリーズ” を開発した。
センシングユニットで取得した情報をサーボ制御やI/O制御に活用することで、高速・高精度なシステムが実現可能となる。また、サーボ制御に同期して取得した情報を基に、従来よりも精度の高い分析を、装置の機械診断、予防保全等へ活用することで、生産現場のTCO削減に貢献する。
センシングユニット “MR-MT2000シリーズ” の製品ラインアップとして、ネットワーク接続用のヘッドユニットのほか、サーボ制御と連携して使用されることの多いデジタル入出力、アナログ入出力、パルス入出力、エンコーダインタフェースの各種センサ入出力の制御が可能な各ユニットを開発した。
本稿では、これらのユニットの特長、センシングユニットを使用することで実現可能なアプリケーション例及び、生産現場でのTCO削減等のFA-IT統合ソリューション e-F@ctoryでの活用例について述べる。
2.製品の特長
2. 1 ヘッドユニット “MR-MT2010”
ヘッドユニット “MR-MT2010” は、当社のサーボネットワークSSCNET III/Hに接続するためのインタフェース用ユニットで、2. 2節以降で述べる各種センサ入出力が可能な拡張ユニットを接続して使用する。また、このユニットは、2. 2節で述べる入出力ユニットと同等性能の入力12点と出力2点を内蔵しているため、少点数の入出力を追加したいユーザーは、単体でも使用可能である。
ヘッドユニットに接続する拡張ユニットの組み合せは、(図1)のようにユーザーで自由に選択できるため、ユーザーの装置構成に合わせて最適な組み合せで拡張ユニットを選択可能である。
接続した拡張ユニットから取得したセンサ情報を上位コントローラに送信する通信周期は、接続機器構成に依存し、最短222μs周期でのデータ送受信が可能である。

図1.センシングユニットの構成
2. 2 入出力ユニット “MR-MT2100”
入出力ユニット “MR-MT2100” は高速入出力を持つユニットで、1台で入力16点と出力16点を接続可能である。このユニットでは、少点数で実現可能なアプリケーションを想定しているため、ラインアップは入出力混在のユニットとしている。
通常、サーボ制御に同期して入出力を制御する場合は、サーボアンプの入出力を使用する。その制御ばらつきは最大で±55μsであるが、近年のサーボ制御の高速・高精度化のニーズから、アプリケーション次第では、それよりも高速・高精度な制御が要求される。入出力ユニットでは、それらに対応するための機能であるタイミングラッチ入力機能及びタイミング指定出力機能を、±1μs以内の精度で実現可能とした。
それらの機能を使用すると、搬送物上の基準位置の取り込みやカメラのシャッター用トリガーの出力をサーボ制御に同期して、精度良く実施可能となる。そのため、ラインの速度を落とすことなく、高精度な制御が可能となり、サイクルタイム短縮に大きく貢献する(図2)。

図2.入出力ユニットの適用事例(タイミングラッチ入力機能)