Factory Automation

特集論文

電子式電力量計 “M2PMシリーズ”

2018年6月公開【全1回】
福山製作所 植野岳

製品の特徴(上)

1.まえがき

 電力量計で従来機種の誘導形電力量計では、設置時の結線間違い、検針時の計量値の読み間違い・書き間違いによる課金トラブルが発生しており、ビルオーナー、ビル管理会社から誤結線防止、誤検針防止の要望がある。これに対応して当社は、モバイル端末のBluetooth通信によるモバイル検針や誤結線判別が可能な電子式電力量計M2PMシリーズ(表面形)を開発した。この電力量計は誘導形電力量計M2LM形との取付け互換及び配線互換があるため改造工事不要で置き換えが可能である。

2.M2PMシリーズ

2. 1 製品仕様

 M2PMシリーズの主な製品仕様を表1に示す。
 誘導形電力量計 “ M2LM形 ” と同様の表面形の単相2線式、単相3線式、三相3線式の定格をラインアップした。誘導形電力量計の仕様に加え、細かな計量を行いたいユーザー向けにパルスの出力単位を指定可能にした。また、ニーズに応じてモジュールの追加による機能拡張が可能である。

表1.M2PMシリーズ(表面形)の主な製品仕様
表1.M2PMシリーズ(表面形)の主な製品仕様

2. 2 製品機能

  • (1)モバイル検針による誤検針の防止(オプション)
    オプションのモバイル用検針モジュールを電力量計に取り付け、検針用のアプリケーションを使用することでモバイル端末を用いた検針が可能である。取得したデータはモバイル端末のメール機能によってパソコンに送信でき、検針データの管理をサポートする。検針用のアプリケーション(無料)はApp Store(注4)、Google Play(注5)から入手が可能である。
  • (2)誤結線判別機能
    誤結線は、検針時の計量値の変化を確認するだけでは判別が難しく、発見が遅れる場合が多い。全相の計量状態に加えて、各相の計量状態を液晶画面に表示することで、判別できる誤結線の種類を大幅に増加させた。
  • (3)停電時表示機能(オプション)
    オプションの電池モジュールを取り付けることで停電時でも計量値を液晶画面に表示できる。これによって、電力量計の設置前、更新後の計量値の読み取りが可能である。
  • (4)オプションの後付けによる機能拡張
    モバイル用検針モジュール、電池モジュールなどのオプションのモジュールを後付けできるため、運用状況によって機能拡張が可能である。またモジュールを筐体(きょうたい)内に封印可能な構造とすることでモジュールの盗難防止、セキュリティを確保している。
  • (5)普通耐候
    耐候性能を誘導形電力量計M2LM形と同じ普通耐候とした。普通耐候の電力量計は屋外の雨線内又は屋内で、直射日光を受けにくい環境に設置できる(図1)。
  • (6)停電補償
    計量値は不揮発性メモリに記憶するため、停電時でもデータを保持する。また、電力量計は電気の料金取引に利用するためデータの信頼性が非常に重要であり、M2PMシリーズではデータの多重化等を実装している。
  • (注4) App Storeは、Apple Inc. のサービスマークである。
  • (注5) Google Playは、Google LLC. の登録商標である。
図1.普通耐候の環境(雨線内)
図1.普通耐候の環境(雨線内)

一覧に戻る