Factory Automation

特集論文

電子式電力量計 “M2PMシリーズ”

2018年6月公開【全1回】
福山製作所 植野岳

製品の特長(下)

3. 3 普通耐候

(1)普通耐候の課題
 誘導形電力量計M2LM形は金属製の筐体で、筐体の隙間をゴムパッキンとねじ締めによって密閉することで防水性能を確保していた。M2PMシリーズでは部品点数を削減し、組立てを容易にするために、樹脂製の筐体かつゴムパッキンレス、ねじレスとしたため、密閉性を確保することが困難であった。

(2)防水・排水構造と吸排気構造
 耐候性能を向上させるため、防水構造、浸入する水の排水経路、電力量計内部にたまった湿気が時間経過で抜けるように吸排気の構造を検討した。筐体の合わせ面の段差、圧入構造によって防水性能を向上させ、電力量計内部に浸入する水を背面に排水し、かつ表面張力が発生しにくい構造にすることで排水性能を向上させた。また、筐体にリブを設けることで隙間を確保し、十分に吸排気可能な構造とした(図6)。

図6.防水・排水構造と吸排気構造
図6.防水・排水構造と吸排気構造

3. 4 オプション取付け構造

(1)後付け構造のメリット
 電力量計本体にオプションの電池モジュールやモバイル用検針モジュールを後付け可能な構造にすることで、製品発注時の煩雑さを解消し、ユーザーで必要な機能を必要な時期に取り付けできる拡張性を備え、ユーザーの使い勝手を大幅に向上させた。

(2)後付け構造の実現
 オプションのモジュールは、ユーザーで取り付け/取り外しが可能、かつ盗難防止やセキュリティの確保が要求されるため、後付け可能な構造の実現が課題となる。
 電気の料金取引に使用される電力量計は公正な計量を担保するため、第三者による分解を防止する封印構造を具備しており、封印構造には検定封印と需要家(ユーザー)封印がある。検定封印は電力量計の計量に係る重要な機構を封印するため、封印後にユーザーが封印を操作することはできない。一方、需要家封印は、意図的な盗電や誤結線などの防止を目的に端子カバーを封印するもので、ユーザーが封印を操作・管理することが可能である。
 そこでM2PMシリーズでは、需要家封印の範囲を拡大し、端子カバー内にモジュールを取り付け可能な構造にすることで課題を克服した(図7)。

図7.需要家封印の構造
図7.需要家封印の構造

3. 5 データの多重化とログ機能

 電力量計は電気の料金取引に利用するためデータの信頼性が非常に重要である。料金取引に使用されるデータが破壊された場合、ユーザーに損害を与えるおそれがある。
 そこで、内部データ(計量値等)を多重に持ち、各データの正常性を確認し、正常なデータを採用することでデータの信頼性を大幅に向上させる仕様にした。
 また、電源監視、リセット監視等のログを記録する機能を搭載したため、問題発生時にログを解析することで、原因究明を早急に行える。

4.むすび

 モバイル端末のBluetooth通信によるモバイル検針と誤結線判別が可能な電子式電力量計M2PMシリーズについて述べた。
 今後はM2PMシリーズのラインアップの拡充(三相4線式、埋め込み形の追加)やモバイル検針の機能拡張に取り組んでいく。

製品紹介

電子式電力量計 “ M2PMシリーズ ”

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