Factory Automation

特集論文

電子式電力量計 “M2PMシリーズ”

2018年6月公開【全1回】
福山製作所 植野岳

製品の特徴(中)

3.特長及び製品化のための技術

3. 1 モバイル検針

 従来の検針では、検針員は各部屋又は電気室にまとめて設置された多数の電力量計の表示を目視で読み取り、計量値を紙に書き込んでいる。モバイル検針を用いることで、目視による読み取り、書き込み作業を廃止し、検針作業をサポートする(図2)。

図2.モバイル検針
図2.モバイル検針

(1)モバイル検針アプリケーション
 検針に使用する検針用のアプリケーションは検針データ一覧表示などの視認性を考慮した画面構成とし、また操作数を削減できるようユーザーインタフェースを設計した(図3)。

図3.モバイル検針アプリケーション画面
図3.モバイル検針アプリケーション画面

(2)BLE通信の適用
 モバイル検針の通信は、モバイル用検針モジュールやモバイル端末の通信処理の消費電流を抑えることができ、目視検針をサポートするために十分な通信距離(通信可能範囲半径10m)を持つBLE(Bluetooth Low Energy)を採用した。
 電力量計は複数台がまとめて設置される場合があり、同時に通信すると電波が混信して通信できないおそれがある。モバイル用検針モジュールでは個々のモジュールの電波送信間隔を変化させることで混信を回避した。これによって、同一通信圏内で同時に20台の検針を可能にした。

(3)検針データの管理
 取得したデータはCSV(Comma Separated Value)ファイル形式で出力できる(図4)。モバイル端末のメール送信機能を使用することで、検針したその場でユーザーのパソコンにデータを送信できる仕組みとした。受け取ったユーザーはパソコンの表計算ソフトウェア等を用いてデータを編集することで、検針データ管理や請求書の作成が可能である。

図4.検針データの出力ファイル
図4.検針データの出力ファイル

3. 2 誤結線判別機能

 従来の誘導形電力量計では、設置時に結線間違いした場合、正確な電力測定ができず課金トラブルにつながっている。M2PMシリーズでは各相の電圧、電力を監視し、計測の状態を液晶画面に表示することで誤結線判別をサポートする機能を搭載した。
 誘導形電力量計では円板の回転状態で無計量や逆電流を判別できるが、単相3線での第1相だけの接続間違え等は検出できなかった。M2PMシリーズでは各相の逆電流を検出するため、各相の誤結線の判別が可能である(図5)。

図5.誤結線判別表示
図5.誤結線判別表示

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