特集論文
エッジコンピューティングソリューション
2018年10月公開【全3回】
FAソリューションシステム部 松田規
第2回 エッジコンピューティング製品
4. エッジコンピューティング製品
Edgecrossを活用した製品によってe−F@ctoryコンセプトの具現化を図るため、生産現場でのデータ活用に適したエッジコンピューティング製品を開発中である。その特長について述べる。
4. 1 MELIPC
MELIPC(図3)は、生産現場の多種多量のデータを高速に処理でき、かつ高信頼が必要な用途に向けて開発した産業用PCで、次のような特長を持つ。
- (1)Intel Core i7搭載によって高速処理が可能。また、Windows(注6)搭載によって既存Windows資産(アプリケーション)を活用可能。
- (2)優れた環境性・信頼性・機能性を持ち、消耗品である電源・バッテリー・ファンのメンテナンスも容易。
- (3)CC−Link IEフィールドネットワーク対応で、生産現場の大量のデータを高速かつ高精度に収集可能。
このMELIPCでEdgecrossを動作させることで、生産現場のデータ活用に向けた環境を容易に構築できる。
(注6) Windowsは、Microsoft Corp.の登録商標である。

図3.MELIPC
4. 2 リアルタイムデータアナライザ
リアルタイムデータアナライザは、生産現場で予知保全や品質向上などをGUI(Graphical User Interface)を用いて簡単に実現できるデータ分析・診断ソフトウェアである。このソフトウェアは次のような特長を持つ。
- (1)リアルタイム診断
FA現場で発生するデータをオフライン分析するだけでなく、データのリアルタイム診断による異常検出が可能。 - (2)当社AI技術 “ Maisart ” を搭載
Maisartによって、過去の正常時のデータを学習し、学習結果を用いたリアルタイム診断が可能。 - (3)多種多様な分析アルゴリズム
波形データの分析・診断や多種多様な統計手法を簡単に活用でき、予知保全や品質向上が可能。類似波形認識(図4)、相関分析(図5)、重回帰分析、SPC(統計的工程管理)、MT(マハラノビス・タグチ)法など10種以上を搭載。 - (4)GUIによる簡単設定・表示
AIや統計手法によるリアルタイム診断をプログラムレスで簡単に実現可能。また、分析結果も簡単に表示可能。
このソフトウェアを用いることで、生産現場のニーズに応じて二つのアプローチで課題解決に取り組むことができる。 - (5) “ いつもと違う ” を検出するアプローチ
正常時データの分布や波形を学習し、現場の運用時に同じデータを取得・分析して、正常時のデータから逸脱したデータが発生していないかを診断する。このソフトウェアでは、連続データのパターンを診断可能な類似波形認識アルゴリズム、データの相関関係によって診断可能なMT法などで、このアプローチを実現できる。 - (6) “ はかれないもの ” を予測するアプローチ
常時計測することが困難な治具劣化度合いなどの目的変数を計測し、常時計測可能なデータから推定する予測式をオフライン分析で算出する。運用時は、予測式を用いて計測可能なデータから目的変数を予測することで診断を行う。このソフトウェアでは、重回帰分析などでこのアプローチを実現できる。

図4.類似波形認識の画面

図5.2変数相関分析の画面
4. 3 MC Works64エッジコンピューティングエディション
このソフトウェアは、生産現場の多様なデータを監視することが可能なSCADAソフトウェアで、Edgecrossによって収集されたデータの二次/三次元表示によるビジュアライズ、Webブラウザやモバイル機器による遠隔監視、可視化が可能であり、次の様な特長を持つ。
- (1)豊富な画面部品の組合せによる優れた視認性
テンプレートとなる画面部品を活用し、生産設備をイメージできる監視画面を容易に作成できる。二次元だけでなく三次元による立体的表示も可能で、設備全体から装置細部までの監視が可能になる(図6)。 - (2)Webブラウザやモバイル機器を活用した遠隔監視
このソフトウェアがWebサーバとなることで、クライアントパソコン上でIE(Internet Explorer)等のWebブラウザを用いて監視が可能なだけでなく、タブレット端末やモバイル機器などで監視が可能である。また、アラーム発生時にメールでアラーム情報を通知できる。 - (3)Edgecrossと連携した稼働状況や診断結果の可視化
Edgecrossで収集した装置/設備の稼働状況やKPI(Key Performance Indicator)の可視化が可能である。

図6.MC Works64の画面
- 要旨 エッジコンピューティングソリューション
- 第1回 e-F@ctoryとEdgecross
- 第2回 エッジコンピューティング製品
- 第3回 活用事例