Factory Automation

特集論文

放電加工機リモートサービス “iQ Care Remote4U”

2019年7月公開【全3回】
名古屋製作所 堂森雄平 加藤達也

第2回 新機能の特長

3. iQ Care Remote4Uの新機能の特長

3. 1 加工状態の見える化

 ユーザーニーズに対応した “ iQ Care Remote4U ” の新機能開発では、 “ 加工状態の見える化 ” をキーワードにオペレータの作業負荷を軽減する、二つの機能を実現した。

3. 1. 1 加工ビューア機能

 放電加工機は無人運転が可能であるため、オペレータは複数台の加工機を管理し、別の作業をしながら、定期的に加工進捗を加工機の形状グラフィック描画で確認する場合が多い。ユーザーヒアリングの結果、ダッシュボード機能でも加工状態(スタート、ストップ、アラーム、段取り、アイドリング)を確認できるが、正確に加工進捗を把握しづらく、全体の進捗具合、ポイントとなる箇所で断線/短絡なく加工できているかのチェックができないため、従来同様に現場で加工機の形状グラフィック描画を見て加工形状を確認していることが分かった。

 この課題に対し、 “ 加工ビューア機能 ” では “ ダッシュボード機能 ” から直接加工機の形状グラフィック描画の閲覧を可能にした(図7)。

図7.加工ビューア機能の呼出し方法図7.加工ビューア機能の呼出し方法

 操作面では、ユーザーが使い慣れたスマートフォンで閲覧可能であり、ピンチイン/アウトによる画面の拡大/縮小や縦横表示の切替えができる。セキュリティ面では、加工ビューアでアクセスしていることを加工機を操作しているオペレータが把握できるようにするとともに、加工機画面の “ 加工ビューア ” スイッチを押したときだけ使用可能にしている。

  “ 加工ビューア機能 ” によって、どこにいても現場と同じように加工進捗が確認できるため、加工確認のための無駄な移動時間をなくし、加工完了予定時刻に現場へ移動することで作業効率化を実現した。

3. 1. 2 加工レポート機能

 オペレータは作業報告として加工終了後に加工諸元(ワイヤ径/材質、ワーク材質/板厚等)、加工実績(プログラム番号、加工条件、加工時間等)を記録している。そこで “ 加工レポート機能 ” では加工機側でデータをロギングすることで、加工記録を自動生成するようにした。また手動作業では記録するのが難しかったワイヤの断線点や短絡点についても、加工軌跡上にプロットし視覚化した(図8)。

 加工レポートは、加工機の加工実績一覧画面と連動しており、過去の加工結果についてもすぐにレポートの確認が可能であるため、リピート加工時の見積りや納品後のトレーサビリティとして活用できる。また加工レポートは指定フォルダに保存され、外部パソコンなどへの出力ができるため、目視で確認しながらグループ内で分析・改善策を共有できるようになった。

図8.加工レポートの内容図8.加工レポートの内容

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