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読む宇宙旅行

2010年2月 vol.1

新宇宙飛行士 2012年募集? 国際宇宙ステーション延長で

NASA2011年度予算案の表紙。スペースシャトルの飛行は2月を入れて5回だ。NASAは将来の「ヘビーリフト」(重量級の)ロケットと推進系を検討する。(提供:NASA)

NASA2011年度予算案の表紙。スペースシャトルの飛行は2月を入れて5回だ。NASAは将来の「ヘビーリフト」(重量級の)ロケットと推進系を検討する。(提供:NASA)

 オバマ大統領が2月1日、議会に提出する2011年度の予算教書を発表。月探査計画を中止し国際宇宙ステーション(ISS)の運用を現在の2015年から少なくとも2020年まで延長することになりそうだ。日本(特に有人分野)にどんな影響が出そうなのか? JAXA有人宇宙環境利用ミッション本部の計画マネージャー、上垣内茂樹さんに聞いた。

 まず気になるのはアメリカの輸送機。2020年までISSを使うことになっても、スペースシャトルが2010年で退役することは変わらない。その後はどうやって宇宙飛行士をISSに運ぶのか。「当面はロシアのソユーズロケットです。NASAが開発していた新型アレスロケットと有人宇宙船オライオンは計画中止になったので、NASAが開発する輸送機は当分飛ばない。民間企業が物資用と宇宙飛行士用の輸送機をそれぞれ開発しNASAは民間企業に投資する。 宇宙船ができたらその輸送サービスを買うという形態になります」とのこと。

 物資輸送に関しては、現在、アメリカのスペースX社、オービタルサイエンス社がNASAの投資を受けて開発を行っている。来年あたりにはスペースX社がISSにデモンストレーションフライトを行う予定だという。しかし宇宙飛行士の打ち上げもISS運用期間中に民間企業に任せることができるのか。「私見ですが難しいでしょうね」(上垣内氏)。NASAの飛行士からは民間宇宙船に乗るのは安全上問題があるとの声もあがっているという。 民間機の開発が促進されるのは歓迎だが、いつ頃実現できるのか、その動向は要注目だ。

 ISSの運用延長に伴い、日本実験棟「きぼう」の運用延長も政府が予算を含めて正式決定していくことになる。特に2009年に打ち上げが成功した宇宙ステーション補給機(HTV)を毎年1機打ち上げることになると、平成23年度から部品の調達などに着手する必要があるという。

 そして気になるのが宇宙飛行士だ。追加募集はあるのか? 現在は若田、野口、古川、星出、山崎の現役5人に加えて新人飛行士(油井、大西、金井)3人が訓練中。「この8人は2015年までの運用で必要な人数。2016年以降も『きぼう』を使うとなると、さらに3人は必要になるでしょう。選んでから訓練を経て実際に宇宙に飛ばすまでに3年はかかるので、う〜ん、早くて2012年には募集をかけることになるでしょうね」。宇宙に行きたい人は2012年目指して、準備を進めましょう。

 では「きぼう」は2015年以降、何を目指していくのだろう。「現在も新しい薬を作るためのデータを得たりなど実用化に向けての研究を行っていますが、さらに社会に還元するための薬や材料の実験が増えると期待しています。またNASAが開発した水のリサイクル装置など生命維持装置を日本が作ったり、HTVに回収機能を持たせたり、将来の日本の有人宇宙活動に向けての技術開発ができる」。HTVの回収は、実験装置を地上に持ち帰るだけでなく、将来の日本独自の有人宇宙船にもつながるだけに期待大だ。

 2月8日には、スペースシャトルが打ち上げられ、米国の居住棟や展望室が取り付けられる。豆まきやツィッター(数時間おきにアップされる地球の画像に癒される!)の報道が目立つ野口飛行士だが、日々の仕事もハイペースでこなした上でのこと。日本自慢のマランゴニ実験装置の修理の様子がJAXAウエブに映像でアップされているが、微妙な調整が必要とされる作業を職人のように細やかに行う仕事ぶりが見てとれる。「2月と3月のシャトルで新しい装置や実験サンプルがISSに届く。本格的な実験が始まります」。ISSからのリアルタイム映像も放映されるようになった。生の宇宙映像に注目したい。