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読む宇宙旅行

2013年12月26日

2013年は天文節目の年、定着した「宙ガール」!?
お楽しみはこれから☆彡

国立天文台天文情報センターのツイッターでは、「ほしぞら情報をつぶやくと研究成果に比べてけた違いにリツイートやいいね!されるんですよ(笑)」と小野さん。流星群の写真は特に人気がある。写真は8月のペルセウス座流星群。(提供:国立天文台)

国立天文台天文情報センターのツイッターでは、「ほしぞら情報をつぶやくと研究成果に比べてけた違いにリツイートやいいね!されるんですよ(笑)」と小野さん。流星群の写真は特に人気がある。写真は8月のペルセウス座流星群。(提供:国立天文台)

 2013年は、2月のロシアの隕石落下と小惑星の地球大接近という衝撃のニュースから始まり、パンスターズ彗星やアイソン彗星の太陽接近、惑星探査機ボイジャーの太陽圏脱出、また若田宇宙飛行士打ち上げや中国による月探査機着陸など、「あっ」と驚く宇宙の話題満載の年でした。ツィッターなどのSNSでも「流れ星見えた☆彡」、「今日の月、キレイ」などの書き込みや写真が瞬く間に増殖するのを実感。アクティブにお洒落に星を楽しむ「宙(そら)ガール」という言葉も市民権を得たような。そこで国立天文台の宙ガール、小野智子さんに「2013年の星の話題」について、聞いてみました☆


☆「彗星に注目が集まった年」

 まず、今年印象に残ったことは?を伺うと、やはり「彗星が話題の年でした」とのこと。春のパンスターズ彗星、秋のアイソン彗星、そして今も見えるラブジョイ彗星。天文台には多くの問い合わせが寄せられたそう。「パンスターズの頃は、どこで見えますか?という一般的な質問が多かったですが、アイソン彗星の時は見えなくなった原因は何か、彗星の予測はなぜ難しいのかについて、一般からも報道からも電話やメールの問い合わせが絶えませんでした。」

 小野さん自身も、アイソン彗星に期待していた。しかし「ヒーローにはなれなかったけど『名脇役』でしたね」という。多くの人を一喜一憂させ、彗星の多様性や太陽系にはまだまだ謎が多いことを示してくれた。また、太陽観測衛星を通じて多くの人がリアルタイムで彗星が消えていくようすを目の当たりにしたのは、史上初めてのことだった。

 「(アイソン彗星は崩壊してしまいましたが)残念の一言で終わらせたくない。研究者はアイソン彗星の残骸捜しをまだ続けているし、何が起こったのか、崩壊前の観測データから引き出そうとしている。私たちが予測できなかったこと、知らなかったことは何なのか、アイソン彗星はこれから教えてくれるでしょう。」


☆アルマ望遠鏡完成、すばる望遠鏡「世界最高性能デジカメ」観測スタート。成果に期待!

 そして小野さんが2013年注目の話題としてイチオシするのが南米チリにある「アルマ望遠鏡」の本格観測開始だ。アルマ望遠鏡計画は日本を中心とする東アジア、北米、欧州など世界中の天文学者が協力し初期構想から約30年かけて地球規模の協力で作った電波望遠鏡。その完成は「とても大きな節目です」。全部で66台のアンテナが設置され、日本もそのうち16台のアンテナ(*1)、高性能の受信機の開発を担当。「すでに試験観測でゾクゾクするほど面白い結果が出ています。本格観測が始まれば、たとえばこれまでの観測で星の周りに惑星が存在すると予測されながら見つけられなかった天体などが、クリアに見えてくるでしょう」と期待する。

南米チリ、アルマ望遠鏡では2013年5月に日本製パラボラアンテナ16台の設置が完了。本格的な観測がスタートしている。(提供:国立天文台)

南米チリ、アルマ望遠鏡では2013年5月に日本製パラボラアンテナ16台の設置が完了。本格的な観測がスタートしている。
(提供:国立天文台)

 ハワイのすばる望遠鏡にも世界最高性能の大型デジカメHSC(ハイパー・シュプリーム・カム(*2) )が取り付けられ、観測を開始した。「国立天文台の天文学者や技術者、メーカーの社員が一丸となり、日本の技術を総動員して作りあげた」ことを小野さんは主張する。人類がまだ見たことがない宇宙の姿をとらえるには、新しい道具を自ら作り出す必要があるのだ。HSCを使って、ダークマターの分布や、宇宙の大部分を占めるダークエネルギーの謎に迫り、宇宙の起源と未来を解き明かそうという観測「すみれプロジェクト」が2014年から始まる。「成果が期待できると思います」と小野さん。楽しみだ☆


☆広がる宙ガール。「本格的じゃないですか!」と驚くほど。

国立天文台の宙ガール、天文情報センターの小野智子さん。イベントやラジオ出演などにも引っ張りだこ。写真は篠原ともえさんのラジオ番組に出演した時の一コマ。(提供:TOKYO FM「東京まちかど天文台」)

国立天文台の宙ガール、天文情報センターの小野智子さん。イベントやラジオ出演などにも引っ張りだこ。写真は篠原ともえさんのラジオ番組に出演した時の一コマ。(提供:TOKYO FM「東京まちかど天文台」)

 そして気になる宙ガール。小野さんは「単純に数が増えただけでなく、広がり、定着したのを実感する」という。「2012年の金環日食の頃から、天文現象を見るためにどこかに出かけたり、前もって勉強し計画を立てるような女性、熱心な『宙ガール』が増えてきました。単に興味があるというレベルじゃなくて『本格的じゃないですか!』と驚くほどです(笑)」

 たとえば、小野さんは国立天文台での観望会や、女性向けの宇宙講座、また宙ガールの代表的存在である篠原ともえさんとのイベントなどに出演した際、来場者に話しかけられることが多い。「もちろん、男性でも長く星好きな方はいます。でも最近、星に興味を持った人の場合、女性のほうが熱心に機材を揃えたり積極的に調べものをする。自らアクションを起こす熱意が感じられるんです」。30代前半の女性が多いそう。

 さらに女性だけでなく、星空への関心がより多くの人たちに広がってきたのも実感する。過去にも日食のような大きな天文現象がきっかけで興味を持つ人はいたが、現象が終わると関心も薄れていった。だが最近は「離れない」と小野さん。「2001年にしし座流星群が大出現して以来、『流星群』という言葉が市民権を得た気がします。この12月のふたご座流星群も決して条件はよくなかったが『たとえ降るように流れ星が見えなくても、一個見つけただけで幸せを感じる』人が増えているようなんです」。星に目を向ける人は確実に増えている。

 さて、2014年。小野さんのおすすめの天文現象は10月8日の皆既月食。「秋は気候も安定しているし、19時台から20時台の現象なのでお子さんでも無理なく見られる時間です 」。12月から1月は明け方の東の空でラブジョイ彗星がまだまだ楽しめる。宇宙で年越しを迎える若田飛行士がラブジョイ彗星を撮影してくれるだろうし、もちろん3月からの日本人初の船長も期待。2014年はロケット打ち上げも多そうだし、宇宙旅行も始まるかも。宇宙のお楽しみはまだまだ続きますよ☆

※「宙ガール」は、株式会社ビクセンの登録商標です。
*1:16台のアンテナは全て三菱電機製です。
*2:HSCの主要部位である主焦点ユニットは三菱電機が製造を担当。