2010年4月6日
打ち上げ後の記者会見。向井千秋飛行士語る
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- 打ち上げ翌日の6日の地元紙。一面にはシャトルの噴煙の写真。中面にはKSCの観光施設に8000人が詰めかけ、寝袋やテントで夜を過ごして打ち上げを迎えたことが報じられている。
朝焼けの空に残るシャトルのハート形の噴煙は、NASA職員も仕事を離れ交替で見に出て写真を撮ったり、ぽかーんと見とれたりするほど、いつも以上に劇的な光景だったようだ。彼らがよく口にしたのは「Spectacular(壮観だ)!」という表現。単に「Great」というより賛辞の意味合いが強いみたい。覚えておこう(次にいつ使えるのか!?)。
打ち上げ後約1時間、現場の興奮が少しおさまった頃、記者会見が開かれた。NASA会見に続いて行われたJAXA会見では、向井千秋飛行士に記者から質問が集中した。向井さんは打ち上げ時、山崎宇宙飛行士のご両親のサポートを担当されていたとのこと。
「私の打ち上げの時、両親はカウントダウンの最後の10秒で、ひざががくがくして座り込んでしまい怖くて見られなかった。表面はニコニコしていても親は内心、不安でいっぱいなんです。その話を聞いていたので、ご両親の不安を取り除くサポートをするのが私の役割でした。」打ち上げの時、宇宙飛行士のご両親や配偶者たちには、同僚の宇宙飛行士がサポートするのがNASAの慣例だ。事故を経てきたNASAならの配慮であり、飛び立つ宇宙飛行士も仲間が家族についていてくれるからこそ、安心して宇宙に行くことができる。
スペースシャトルに2度搭乗した向井飛行士は、シャトルの退役を聞かれてこう答えた。「シャトルは大量に人や物資を宇宙に運び、様々な立場の人と多機能な仕事ができた。素晴らしい計画は素晴らしい終わりを迎える。今後はロシアのソユーズ宇宙船をどう使うか勉強する良い機会になるし、さらに新しい宇宙船ができればいい」。向井さんは今、JAXA宇宙医学生物学研究室の室長であり、ISSを地上の医療に役立てようと研究を進めている。与えられた状況を最大限に生かすことに集中しているようである。
おきまりの「女性宇宙飛行士として・・」の質問には「同じ質問を男性にしますか?」とかわしつつ、「宇宙飛行士はまだ男性が多い。半分を女性が占めるようになってほしいですね。医学研究の点でも男性と女性では脂肪やホルモン、骨や筋肉の点でも異なりますから」。徹夜明けでもいつも通りエネルギッシュで、弁舌爽やかな向井さんであった。
