「人工衛星のひみつ」にのっている “まめちしき”をもっと深く知ることができるよ!

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世界初の人工衛星は、ソビエト連邦(当時)が1957年に打ち上げた「スプートニク1号」である。

打ち上げの最高高度は950kmの楕円軌道だったんだ。打ち上げから92日で大気圏に突入したよ。ちなみにアメリカ初の人工衛星はエクスプロローラ1号という名前で、ソビエトに遅れること4ヵ月後(1958年1月31日)に打ち上げたんだ。

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日本初の人工衛星は、1970年に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた「おおすみ」である。

打ち上げは成功したけど、電波は1日しか受信できなかったんだ。衛星は2003年に大気圏に突入して燃え尽きたよ。

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一辺10cmくらいの小さなものから、40mを超える大きなものまで、いろいろな大きさの人工衛星がある。

衛星の大きさはロケットの打ち上げ能力と、フェアリング(衛星を収納するロケットの先端部分)へ収納できるかによって決まってくるよ。大きい衛星はアンテナを展開したり、太陽電池パドルが大きかったりしていて、本体(バス部分)の大きさはどの衛星もそんなに変わらないんだ。

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地球をサッカーボールにたとえると、国際宇宙ステーションは、1cm上の表面すれすれを回っていることになる。

静止衛星は36,000km上空にあるけれど、国際宇宙ステーションは400kmの上空にある。国際宇宙ステーションも航空機の航路(最高12km)に比べると高いけれど、静止衛星と比較するとかなり地球に近いところを飛んでいるんだね。

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「きく8号」のアンテナは折りたたみがさのようなしくみになっていて、開くとテニスコートと同じぐらいの大きさがある。

世界にはほかにもいろいろな展開アンテナを持った衛星があるよ。日本ではほかにも「はるか(MUSES-B)」の8m展開アンテナがあるよ。大きなアンテナを広げて猛スピードで飛行しても、宇宙空間は真空に近いので、バタバタしないよ。

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「ひので」は太陽をずっと見続けるために、太陽の熱に耐えられるような特殊な構造になっている。

熱でゆがまないように特殊な物体で観測機器を作っているんだ。ひのでには種類のちがう3つの望遠鏡が搭載されているよ。詳しくは三菱電機の宇宙システム総合サイトにある「不思議のホシ 太陽」を見てね。

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温室効果ガスの観測ポイントは、地上では約300カ所しかないが、「いぶき」は宇宙から地球上をくまなく観測することができる。

衛星は高いところを飛んでいるから、地上に観測機器を置いて観測するよりも多くの地域を観測することができるよ。「いぶき」は約98分で地球を一周し、56,000地点のデータをわずか3日間で観測できるんだ。詳しくは三菱電機の宇宙システム総合サイトにある「消滅する氷床 沈没する大陸」を見てね。

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「だいち」の寿命が尽きて観測が中断しないよう、後継機の開発が進んでいる。

残念ながら2011年5月に運用を終了。設計寿命は3年(5年目標)なので目標は達成しているよ(打ち上げ2006年)。現在三菱電機では「だいち」の後継機であるALOS2を開発中だよ。

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無線機を積んだ宇宙服を国際宇宙ステーションから放出し、「スーツサット」(宇宙服衛星)と名付けた。

ロシアが古い宇宙服を活用して作ったアマチュア無線中継用だよ。これも地球の周りを回るという意味で立派な人工衛星だよ。残念ながら7ヶ月で大気圏突入してしまったんだ。スーツサット2も計画中だそうだよ。

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国際宇宙ステーションは秒速7.9kmの猛スピードで飛行しており、約90分で地球を1周する。

静止衛星は24時間で1周。GPS衛星は約12時間で1周するんだよ。衛星によっていろいろあるんだね。
飛行ルートによっては、夜空に肉眼で国際宇宙ステーションを見ることができるよ。静止衛星やGPS衛星は高度が高いので肉眼では見えないよ。

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宇宙から地表に降り注ぐ放射線は、地球の磁場により大半が遮られているが、宇宙空間では遮るものがなく人工衛星は直接放射線にさらされる。

地球の磁場によって遮られた放射線は、北極と南極に集まってオーロラになるんだよ。ただし、太陽系の外からも陽子などの粒の放射線がやって来ており、この放射線は、スピードが速いため、地球の磁場を通り抜け空気に衝突して、別の放射線を次々に発生させているんだよ。これらの放射線は宇宙線と呼ばれ、地表へ降り注ぎ、1秒間におよそ100個くらいの宇宙線が私たちの体に当たっているよ。

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「HTV」は、国際宇宙ステーションに無人で荷物を運ぶ、日本が開発した宇宙船である。

HTVには、赤ちゃんや「幸せ」といった大切なものを運ぶイメージがぴったりの「こうのとり」という名前をつけてもらったんだよ。スペースシャトルが退役した現在では、HTVの他に、ロシアのソユーズ、プログレス及びヨーロッパのATVが国際宇宙ステーションへの輸送手段となっているんだ。

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「HTV」は2009年9月、初号機が打ち上げられ、無事国際宇宙ステーションに実験機器などを届けた。

HTVは2011年1月に2号機が打ち上げられており、毎年1回のペースで打ち上げが予定されているよ。JAXAでは、地球に帰還するHTVも検討しているよ。

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「HTV」は、世界に先駆けて開発された「無人自動ランデブ・ドッキング」という高度な宇宙船制御技術を使用した。

ETS-VII「おりひめ・ひこぼし」で開発・実証された技術を応用したものだよ。地上約400kmの高さのところを秒速約8,000m(=時速約28,800km)で飛行するHTV(こうのとり)に、少しずつ近づいていき、最後はHTVと同じ速度でHTVから10m離れた所を並んで飛行し、HTVからロボットアームでつかまれてドッキングするんだ。

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「HTV」は全長が10mもあり、観光バスが1台入ってしまうくらいの大きさ。

重量は何も積んでいない状態で約10トンで、約6トンの荷物を積むことができるので、荷物も含めた全体の重さは約16トンにもなり、これは大型観光バスに乗客や荷物を積んだ総重量と同じくらいの重さだよ。

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「HTV」は役目が終わった後は、国際宇宙ステーションで不要になった廃棄物を積んで、大気圏に突入して燃えつきる。

不要になった廃棄物は最大で6トン積むことができる。大気圏に突入して燃え尽きた後の燃え残りは海上に落下するようになっており、地上に落ちてくることはないようにしているよ。

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カメラで撮影するのではなく、人工衛星から電波を発射して戻ってきた信号を使って地上の様子を調べる観測衛星もある。

合成開口レーダっていうセンサなんだ。その中でもLバンドという波長帯を使うセンサは世界でも日本だけが持っているんだよ。

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電波を使う観測衛星は、雲があっても、夜になっても観測ができるので、災害監視に重要な役割を果たす。

電波を使った観測には、これ以外にも地中の埋蔵物がわかったり、植物分布を調べたり、槌の状態を調べたりいろいろ応用することができるんだ。また広い場所を一度に監視・調査できるのも大きな利点の一つだね。

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「アリアン5」は欧州宇宙機関の主力ロケットで、これまでに40機以上が打ち上げられた。

アリアン5をはじめとする大型ロケットでは、複数の人工衛星を1機のロケットで宇宙空間に運ぶことができんだ。スーパーバードC2もヨーロッパの通信衛星と一緒に宇宙空間に運ばれたんだ。ほかの打ち上げロケットとしてはソユーズ・プロトン(露)デルタ(米)長征(中)H-2A(日)などがあるよ。

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ギアナ宇宙センターは、南米のフランス領ギアナにあり、赤道に近いので静止衛星の打ち上げに適している。

ロケットを打ち上げる場所のことを射場(しゃじょう)というんだ。ほかの世界の射場としては米国ケープカナベラル、ウクライナのバイコヌールが有名だよ。