このページの本文へ

ここから本文

CLUB DIATONE

メニューを開く

製品徹底レビュー
Product Review

DIATONE SOUND.NAVI
NR-MZ300PREMI / NR-MZ200PREMI-2

もはやカーナビ付きの
ハイエンド・カーオーディオと
思えばいい。

カーオーディオジャーナリスト
石田功氏

「まだこれほど伸びしろがあったのか!」DIATONE SOUND.NAVIのニューモデル、NR-MZ300PREMIを初めて試聴した時の率直な感想である。

DIATONE SOUND.NAVIは2年前にシリーズ初のフルモデルチェンジを敢行し、NR-MZ100シリーズで従来モデルよりも大幅に高音質化。それをベースに深化させたNR-MZ200シリーズ、高周波レベルのノイズ除去を徹底することで、聴感上のS/N感を大幅に向上させた。それだけに、もうフルモデルチェンジでもしない限り大幅な音質向上は難しいのでは?と思っていたからだ。しかし蓋を開けてみたらびっくり。8型モデルのNR-MZ300PREMIのみならず7型モデルのNR-MZ200PREMI-2も、大きく音質が向上していたのだから驚きだ。

音響パーツの最適化で大幅な音質向上を実現

今回、両モデルに採用したのが「リアルメジャーメント・サーキットテクノロジー」。これは音響パーツの内部まで解析して、実測値に基づいて周辺ノイズの影響を最も受けにくく最大限の性能を引き出すことができる回路定数を割り出したもの。定数が正確になることで、なんと7割方の音質向上を果たしたという。

またNR-MZ300PREMIはマスタークロック回路も新世代に変わった。NR-MZ200シリーズで採用した高周波レベルのノイズ除去技術同様、高周波視点に基づいて新規に基板パターンをレイアウト。ミリ単位で基板パターンを最適化することによって回路グラウンドをクリーン化し、特に低域のジッターを大幅に低減したという。

さらに高周波電子部品と基板銅箔パターン設計を最適化。こちらもミリ単位で基板変更を実施し、アナログ信号部への不要な高周波ノイズの流出を低減させた。またDAC周りの基板パターンもミリ単位の微細な見直しを実施する「プリサイス・パターンニング・テクノロジー」やアナログ入力(AUX-IN)の音質改善を実現する「ピュアアナログコンテンツ再生」も採用。内蔵アンプの音質も向上しているし、ハイレゾプレーヤーなどポータブルDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)接続時の音質も大きく向上したという。

芯のしっかりした低音で全体的に音が滑らか

外部出力の音質も飛躍的に向上。NR-MZ300PREMIにはなんと外部出力回路用素子に、レコーディングスタジオ機材用に開発された最新のデバイスを採用したのだ。従来のデバイスに比べて格段に外乱に強いこのデバイスのおかげで、同相ノイズ除去能力は、なんと従来比の約30倍。外部アンプを接続した時の音も良いことは間違いない。

まずは試聴室で、NR-MZ200PREMIとNR-MZ200PREMI-2を内蔵アンプで聴き比べてみる。見た目はまったく同じだが、音はまったく別物。音場の立体感が違うのだ。NR-MZ200PREMIもけっして音場が平面的な訳ではないのだが、聴き比べるとその差は歴然。NR-MZ200PREMI-2はギター、ベース等、各楽器の音像がはっきりと浮かび上がってくる。その音場空間の空気感まで伝わってきて、前後の配置もはっきりとわかるほど。奥行き感がより深く表現されているのだ。

ボーカルにいたっては、ボーカリストの肉感的な立体感まで伝わってくるほど。というと大げさだが、それほど音場の立体感がまったく違う。しかも声そのものがリアルで肉声感が高まっている。息遣い、微妙なビブラートなど、微妙な表情まで伝わってくるので感情移入しやすく、音楽に引き込む力がグッと強くなったように感じる。

次にNR-MZ300PREMIに替えて内蔵アンプを試聴する。すぐに感じたのは、低音が力強くなっていることだ。試聴室のような広い場所で試聴した時は、どうしても低音が物足りなく感じがちで、NR-MZ200PREMIだとイコライザーで少し低域を持ち上げたくなるが、NR-MZ300PREMIは広い試聴室でも十分な低音。量感はあるし、芯のしっかりした低音だから音楽に安定感が加わる。

低音の量が増えると解像度は曖昧になる場合もあるが、それは一切なし。むしろ音の密度感が高まり解像度も上がった印象。それにも増して、音像の輪郭と立体感、音場のスケール感がNR-MZ200PREMI-2と比べても高まっている。音場の左右の広がりが増し、高さ方向にも奥行き方向にもさらに広がっていて、ギターとパーカッション、ドラムス、ベースの前後の配置がはっきりわかる立体感。音の強弱の差も大きくなるため、ミュージシャンの気持ちがより伝わってくる。

また低音のおかげか、全体的に音が滑らかで耳に優しくなり、聴き心地の良さもある。試聴時のスピーカーはDS-SA1000でいつもは分析的に聴いてしまうのだが、こんな表現力も持っているのだなと感心してしまう。音楽がより音楽的に聴けるのだ。

サブウーファーのSW-G50を加えると、当たり前ではあるが低域の解像度が高まるため、ベース等の低音楽器の輪郭がはっきりするとともに、音場のスケール感もより広大になる。また声が素直になるし音像が立体的になる効果も。やはりサブウーファーの効果は大きい。

続いて外部パワーアンプ接続では、ホーム用の高級機を使って試聴したのだが、音場のスケールがまったく変わる。一つ一つの音が、より緻密になるし、音色も高級。このアンプの素晴らしさをしっかりと再現できているというのも、外部出力のクオリティーが上がったおかげだろう。

DAPをAUXに接続してハイレゾ音源も聴いてみた。DAPがそれほど高級なものではなかったためか、NR-MZ300PREMIに直接ハイレゾ音源入りのSDカードを差し込んでダウンサンプリングした状態で聴いたほうが良い音で音楽を楽しむことができたが、AUX入力ではDAPのクセがよくわかる。ある意味、AUXのクオリティーが高まった証拠だろう。

ハイエンド・カーオーディオと比べてもトップレベルのクオリティー

昨年のNR-MZ200シリーズでもハイエンド・カーオーディオに引けを取らないレベルとは感じていたが、今年のNR-MZ300PREMIとNR-MZ200PREMI-2はハイエンド・カーオーディオの中でもトップレベルのクオリティーと断言していいと思う。音の良いカーナビではなく、カーナビ付きのハイエンド・カーオーディオと思えばいい。ぜひ、このナビを搭載したデモカーや、全国で行われている試聴会で、この音質を聴いてもらいたい。

Catalog / Contact