折形&水引の世界にようこそ折形&水引の世界にようこそ

本取材の際には、入念な感染対策を行いました。
外出の際は、くれぐれも感染予防を心がけましょう。

人生の通過儀礼である冠婚葬祭や、年中行事などで目にする折形と水引。
近年はおもてなしを象徴する伝統文化として、日本のみならず海外からも注目されています。
「日本人のたしなみとして、ぜひ体験したい!」と意気込む編集部員2名が、
折形と水引のワークショップに参加しました。

600年以上続く、日本の贈答文化 600年以上続く、日本の贈答文化

訪れたのは、京王線「代田橋」駅から徒歩10分ほどの場所にある「折形礼法・水引カルチャー倶楽部」。室内には、主宰者である類家三枝子先生が手がけた華やかな作品が、至るところに飾られています。
今回受講するのは、「OMOTENASHI SELECTION 2018」で体験部門を受賞した「折形・水引アレンジ講座」です。個人レッスンが受けられる120分間の基本コースにチャレンジします。

まずは、折形と水引についての基本からスタート。
折形(おりがた)とは、和紙で物を包む礼法のこと。ご祝儀袋や不祝儀袋などに用いられ、古来より贈る相手の格にふさわしい和紙が使われています。
折形の歴史は古く、室町時代から600年以上続く武家礼法なのだそう。その後、昭和初期までは女学校教育の一環として教えられ、家庭で手作りするのが一般的に。昭和中期に入ると大量生産され、購入して使われるようになりました。

水引(みずひき)は、和紙をこより状にした飾り紐のこと。蝶結びや結び切りなど、TPOに合わせた形にしたら、折形に掛けて使います。水引には未開封を表す「封印」のほかにも、「魔よけ」や「縁結び」といった意味があり、贈答の折に華を添えてきました。
最近では、絹を巻いたものや光沢のあるコーティング仕様のものなど、水引の種類が増えています。蛍光色やパステルカラーなど、色の数も豊富になりました。和小物やアクセサリーなどにもアレンジされ、幅広い層から人気を集めています。

先生のお話に耳を傾けているうちに、どんどん折形と水引への興味が高まってきました。次は、いよいよ実践です!

ベーシックな折形と水引をつくってみた! ベーシックな折形と水引をつくってみた!

ひとつ目に作るのは、折形の基本形である「ポチ袋」です。はじめに、「匂い」と呼ばれるアクセントとなる細長い紅色の飾り紙を、和紙の左端に貼り付けます。続いて、和紙を三つ折りにするのですが、右手で開けやすいよう、左側から折るのが折形ならではの心配りです。慶び事を表す「吉包み」とも呼ばれます。その後は、折形を裏返して、上下を重ね合わせるように折ります。折形の世界では、上を「天」、下を「地」と呼ぶのですが、慶事の場合は天を地に被せて折るのがマナーです。

一つひとつの折り目をずらさないようにするために、定規を当てながら折り、さらにへらを押し当ててしっかりと折り目をつけます。こうしたひと手間があってこそ、美しいポチ袋は形になります。

続いて、はじめての水引づくりにふさわしい「あわび結び」に挑戦。通常、水引は吉数である1本、3本、5本、7本を使うのですが、末広がりを表す8本や、10本を使って豪華な飾りを作る場合もあります。初心者の編集部員は、扱いやすい2本でチャレンジ。組み合わせる水引の色合いで表情が異なるため「どの色にしようかな?」と、ついつい色選びに夢中になってしまいます。

はじめに水引のコシをほぐして扱いやすくするために、指で何度かしごきます。柔らかくなったら二つの輪を作り、その中をジグザグと縫うように水引を入れ込んでいきます。両端の水引を引っ張りながら、輪の大きさやすき間を調整していくうちに、直径1センチほどの小さな「あわび結び」が完成しました。「不器用だけど、できるかな?」と不安だった編集部員も、ひとつ目ができあがり、ほっとひと安心。接着剤で「ポチ袋」に付けてみると、かわいらしさが倍増! 一気にテンションが上がります。

手作りならではの個性的な折形と水引が完成! 手作りならではの個性的な折形と水引が完成!

続いて「略式紙幣包み」と呼ばれる折形に挑戦します。本来は半紙を使うのですが、きれいな模様が入った半懐紙で作るのが、類家先生のオリジナル。数千円程度の寸志のほか、プリペイドカードやアクセサリーなどの小物を入れることができる、日常において使いやすい折形です。

ポチ袋と比べると難しいものの、先生がしっかり手ほどきをしてくれるので、心配はご無用。今度は10分もかからずに完成しました。これには「帯」と呼ばれる飾りも加えます。千代紙や色紙の端材を組み合わせて、着物の帯のように囲い込むと、華やかなアクセントになりました。

この折形に合わせる水引は、5つの花びらを模した「梅結び」です。3本の水引がバラバラにならないよう、先生のお手本を見ながら真剣に結んでいきます。「そうそう、上手!」という先生の励ましと指導のかいもあり、立体的な梅の花ができあがりました。

その後も、折形と水引をそれぞれ3種類ずつ制作します。回を重ねるごとに慣れていき、どんどんスムーズに作れるようになっていきます。結果、120分で5つの折形と水引が完成しました。

すべて並べてみると、壮観! 和紙の色や模様、水引との組み合わせで、編集部員2名の個性がくっきりと際立つ仕上がりです。「次はアクセサリーも作ってみたい!」と、折形と水引の世界にすっかり魅了された2時間でした。

贈る相手に思いを馳せながら、じっくり時間をかけて手作りする。そのひとときは、とても有意義なものです。皆さんもぜひチャレンジしてみてください。

類家三枝子さん

折形礼法・水引カルチャー倶楽部 主宰。礼法講師、ビジネスマナー講師として、専門学校やカルチャースクールで日本の伝統文化を指導している。NHK、日本テレビ、テレビ東京、テレビ朝日などに出演し、百貨店や教育委員会などでのワークショップでも活躍中。

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2020.11.05

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