どんな直筆も!キレイになる美文字講座どんな直筆も!キレイになる美文字講座

美しい文字を書くことは、大人に欠かせないたしなみのひとつです。
しかしながら「字を書くのが苦手」「字が子どもっぽくて恥ずかしい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、美しい文字を書くためのコツをご紹介します。

文字が幼くなる原因は、パソコン・スマホにあった!

近頃はスマートフォンやパソコンなどで文字を見る機会が増えています。こうしたデジタル端末の表示に用いられるのが通称「デジタル文字」です。読みやすいフラットな字体が特徴なのですが、この文字を見慣れた人が直筆でも同じように書くケースが増えています。試しに、あえてメリハリをなくして、デジタル文字をまねしてみましょう。文字の表情が幼くなることがわかると思います。大人っぽく美しい文字を書く第一歩は、デジタル文字に似せないこと。これが第一のポイントとなります。

そこで最初に覚えていただきたいコツは、漢字の書き始めに斜め45度の打ち込みを入れることです。習字と同じように、一筆ごとに「ため」を作ってから書く。ただそれだけでメリハリが出て、力強い文字に変身します。

この打ち込みのテクニックは、カタカナでも通用します。「ソ」や「ン」など、よく似た文字にも打ち込みを入れると読み間違いを防げます。一方、ひらがなの場合には要注意。打ち込みを入れるとむしろ幼い印象を与えてしまうため、使わないようにしましょう。

上品な漢字に生まれ変わる3つのテクニック 上品な漢字に生まれ変わる3つのテクニック

打ち込み以外にも、漢字を書くうえで覚えておきたいテクニックが3つあります。
1つ目は、横線の書き分けです。文字を書くのが苦手な方には、漢字の横線をすべて平行に、まっすぐ書く傾向があります。デジタル文字でもそのように表示されますが、手書きではそれぞれ筆の運びが異なるものです。たとえば漢数字の「一」。まっすぐではなく、弓なりに反ってから筆を留めます。「二」の一画目は、右肩上がりに向かって筆を留める。「三」の二画目はまっすぐに書いてから留める。このように「一、二、三」をしっかり書き分けられるようになると、さまざまな漢字に応用できます。

応用できる漢字
「上」「下」「六」など

応用できる漢字
「工」「土」「立」など

応用できる漢字
「王」「生」「春」など

2つ目は、通称「スキマ法」です。「日」や「見」という漢字を書いたときに圧迫感を感じることはありませんか? これは外囲みに横線の端をぴったりつなげていることが原因です(図参照)。横線の両サイドにスキマを空けて書くようにすることで抜け感が生まれ、大人の余裕を感じさせる漢字へと生まれ変わります。

3つ目は「逆台形」です。「口」や「田」といった四角い漢字を正方形に書くと、平らで幼い印象になります。ここでは逆台形になるよう、下に向かってすぼめて書きましょう。こうすると字が引き締まり、大人っぽい印象になります。このテクニックは「高」や「南」といった底辺がない漢字にも適用できます。注意したいのは、「日」や「月」といった縦長に四角い漢字。これらは線を垂直に下ろして書くのが正解なので、逆台形にしないよう気をつけてください。

漢字を書くコツはここまでです。さっそく実践してみたい方は、ご自身の名前にある漢字にどのテクニックを使えるか、考えながら書いてみましょう。何度も練習するうちに、ぐっと美文字に近づけるはずです。

文字を美しく見せる黄金比を身につけよう 文字を美しく見せる黄金比を身につけよう

漢字に続いて、ひらがなの書き方です。NG 見本(下左図)の通り、デジタル端末で見るようなひらがなは直線的で、抑揚がありません。これに似ないよう、一画一画のつながりを意識しながら一筆書きをするようにペンを運びましょう。たとえば「お」の三画目に打つ点は、なんとなく離れた場所に置くのではなく、二画目の流れに沿った位置に留める(下右図)。するとバランスが良く、柔らかなひらがなに仕上がります。

上達のコツは、見えないつながりの部分も点線で書いてみることです。繰り返し練習をするうちに、点を打つ位置や文字のバランスなどが自然と身につきます。

最後に、2文字以上並べて書くときのコツを押さえましょう。デジタル文字はすべて同じ大きさになるように調整されていますが、手書きの場合は一字一字ごとに大きさのバランスを変えたほうが美しく映ります。5画以上の漢字は大きく、4画以下の漢字とひらがなは小さくするのが原則です。10:8の比率で書くのがポイントになります。

大きな円のなかに一回り小さな円がある丸型のマスを使うと、体で文字のバランスを覚えられて便利です。具体的には、5画以上の漢字は外側の丸いっぱいに書き、4画以下の漢字とひらがなは内側の小さな丸に収めます。実際に書いてみたものが見本(下図、参照)です。画数ごとに大きさを変えることによって、バランスの取れた文字列になることがわかります。

今回ご紹介したテクニックは、いずれもすぐに実践できるものばかり。まずは気になるテクニックから採り入れてみてください。コツをつかむと、見違えるように美しい文字が書けるようになるはずです。

2021.10.01

監修者:萩原季実子(はぎはら きみこ)さん

2014年から自由が丘、表参道、渋谷などでペン字教室「myMOJI」を開催。生徒の声に応えるべく編み出した「誰でも一瞬できれいな字が書けるコツ」が大評判に。これまでに2,000人以上の字を「大人の字」に生まれ変わらせてきた。2017年に出版した「誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳」(アスコム)をはじめ、これまで発表した書籍は累計20万部にも及ぶ。現在はオンライン講座も開講中。

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