衣替え前のひと工夫で、お気に入りを長くきれいに衣替え前のひと工夫で、お気に入りを長くきれいに

コート要らずの暖かな日和が続くようになると「そろそろ衣替えを」と考える方も多いのではないでしょうか。
冬服をしまう前のひと手間をかけると長くきれいに保てます。
今回は整理収納アドバイザーのスズキナオコさんに、
自宅でできるお手入れと収納のコツについて伺いました。

ゴールデンウィーク前までに終わらせよう ゴールデンウィーク前までに終わらせよう

15℃くらいの気温が続く4月は、秋冬から春夏への衣替えにぴったりの季節です。5月になると、日によっては初夏の陽気になるうえに、服を食べる虫が産卵の時期を迎えます。そのため衣替えはゴールデンウィークまでには終わらせるのが目安です。湿気までしまいこまないように、カラッと晴れた日の日中に行いましょう。
冬服をしまう前には「きれいにする」と「新たなダメージを防ぐ」、大きく2段階でのお手入れが大切です。これらにより服の寿命はぐんと延びます。

服をきれいにする[1]ブラッシングは、髪をとかすイメージで 服をきれいにする[1]ブラッシングは、髪をとかすイメージで

冬に着たコートやセーター、ジャケットなどには、汚れやホコリ、花粉などがついています。お手入れのファーストステップは、これらを払い落とすブラッシングです。繊維のもつれをほぐして毛玉を防ぐのにも役立ちます。繊維の目が細かいアウターなどには、コシがある豚毛のブラシを。ふんわりとしたニットなど、デリケートな服にはやわらかい馬毛のブラシがおすすめです。「2種類のブラシを使い分けるのは大変」という方は、たくさん持っている服や大事にしたい服を基準に、どちらか一方を選んでもいいでしょう。

ブラッシングは汚れやホコリを浮かせるイメージで、まずは繊維とは逆方向に。続いて繊維の向きに沿ってブラシをかけて整えます。このときに、ブラシを強く押しつけると繊維が痛みかねません。髪の毛をとかす程度の力加減で、やさしくブラシを動かしましょう。

服をきれいにする[2]「しまい洗い」で黄ばみの心配まですっきり落とす 服をきれいにする[2]「しまい洗い」で黄ばみの心配まですっきり落とす

ブラッシングでは取れない汚れを落とすのが次なるステップです。洗濯表示をチェックして、自宅で洗えないものはクリーニングに出しましょう。ドライクリーニングでは皮脂や油汚れは落ちますが、汗などの水溶性の汚れは落ちません。ドライクリーニングに出す場合は汗抜きコースを併用するのがおすすめです。

自宅で洗える服でも、日常の洗濯では襟や袖口にわずかな皮脂や汗が残りがち。ここを重点的にきれいにする「しまい洗い」で黄ばみの心配もすっきり落としましょう。襟や袖口におしゃれ着洗い用の洗剤を少量付けて、上からトントンと軽く布で押したり、やさしくつまんですり合わせます。全体的に点検して、汚れている箇所があれば同じ作業を。その後は洗濯表示に従って手洗いするか、洗濯機にかけて仕上げます。ウールは縮みやすいので、洗うときは40℃未満の水温で。柔軟剤を使うと肌触りが良くなるだけでなく、シワや静電気を抑えてホコリの付着も防げます。

新たなダメージを防ぐ[1]ハンガーと引き出しを使い分ける 新たなダメージを防ぐ[1]ハンガーと引き出しを使い分ける

収納方法の使い分けのポイントは「繊維の伸びやすさ」と「シワの回復性」です。セーターやTシャツ、カットソーなどは、長期間ハンガーにかけると肩の部分に負荷がかかり、繊維が伸びる原因に。これらは畳んで引き出しにしまいましょう。一方で、本革のコートは一度折り目がついてしまうとなかなか取れません。このようにシワの回復性が低い服の収納にはハンガーを。肩先に厚みのあるハンガーや、肩の部分が尖っていないアーチ状のハンガーを使うと型崩れを防げます。シワがついてもアイロンや洗濯で回復する綿素材は、シーズンオフには引き出しや収納ボックスに畳んでしまうとコンパクトです。再び着るときにアイロンをかけるといいでしょう。しまうときにも服をいたわります。「まだまだ詰められる」と押し込んではいけません。ふんわりと畳んで縦にしまうのがポイントです。

新たなダメージを防ぐ[2]防虫対策をより効果的にするコツ 新たなダメージを防ぐ[2]防虫対策をより効果的にするコツ

防虫対策は、クローゼットやたんすをきれいにするところから始めます。ハンディモップや雑巾で、溜まったホコリを取り除きましょう。防虫効果は上から下へと流れることから、引き出しで使う場合は服の上に置くと効果的です。ラメ入りの刺繍やスパンコールなどの装飾は、防虫剤に直接触れると変色することがあるので要注意。少しずらすかハンカチを間に敷くといいでしょう。複数種類の防虫剤を同じ空間で使うのは避け、少なくとも1シーズンに1度は交換を。必要以上にたくさん使っても効果は変わらないので、商品説明に従った数量を守るのが基本です。

新たなダメージを防ぐ[3]湿気から衣服を守るために 新たなダメージを防ぐ[3]湿気から衣服を守るために

天然繊維はどんなに乾かしても長期間しまっている間に湿度を溜め込んでしまうもの。クリーニングに出した服は、戻ってきたら付属のビニールカバーを取り外し、少し乾燥させてから不織布などの通気性の高いカバーに交換しましょう。除湿や調湿も欠かせません。ウールや植物性繊維は湿気を含みやすいので除湿剤を用います。一方で乾燥によりひび割れが生じやすくなる本革製品に向いているのが調湿剤です。湿気は上から下に流れるので、置き型であればクローゼットの床の四隅に置きましょう。フックのように掛けるタイプなら、服と密着させずに少し隙間を空けて湿気の通り道を作ると効果的です。見落とされがちですが、不要な服を処分するのも有効なカビ対策になります。1シーズン着なかった服は、衣替えのタイミングで本当に必要かどうかを改めて吟味してみましょう。

自宅でできるお手入れは案外たくさんあります。大切な服を長持ちさせるひと工夫を、今シーズンから実践してみませんか。

2023.04.03

スズキナオコさん

片付けきれいサポート代表/整理収納アドバイザー

日本女子大学家政学部被服学科卒業。衣料管理士1級、整理収納アドバイザー1級。タオルソムリエ。片付けのプロとして、家庭やオフィス向けの整理収納のサポート、アドバイザー養成講座の講師を務めるほか、雑誌やWebコラムでの掲載実績も多数。「部屋がきれいになることで人生が豊かになった」というクライアントからの喜びの声が原動力だと語るスズキさん。片付けに悩む方に寄り添うアドバイスを行っています。

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