人生を豊かにする第二外国語の学び人生を豊かにする第二外国語の学び

第二外国語とは、母国語と英語以外の外国語のこと。
近年、非英語圏からの旅行者が増えており、第二外国語を学ぶ重要性が高まっています。
今回は12カ国の言語を累計200人以上に教えてきた語学学習コーチのマルチリンガールさんに、
おすすめの第二外国語や習得のコツについて伺いました。

新たな言葉に触れると、視野が広がる。 新たな言葉に触れると、視野が広がる。

外国語を学ぶと、さまざまなメリットがあります。たとえば、言葉の背景にある現地の文化がわかるのもそのひとつ。ほかにも上達によって楽しさや達成感が味わえる、他国の言葉のニュアンスを捉えようとすることで思考力が深まるといった良さも。英語とは異なる外国語に触れることで、さらに視野は広がるでしょう。今回は、日本人に人気の高い中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語に、番外編としてアラビア語を加えた5つの言語をご紹介します。

不動の人気を誇る中国語。 不動の人気を誇る中国語。

日本におけるHSK(漢語水平考試)と中国語検定を合わせた受験者数は年間で約6~7万人。中国語は、日本で最も人気のある第二外国語です。その一番の理由は、ビジネスにおける中国語の重要性が近年ますます高まっていること。世界第2位の経済大国である中国に進出する企業は年々増え続けており、中国語を話せる人材が重宝されるようになっています。キャリアアップを目標に勉強する人が多い言語です。

中国語といえば、漢字を思い浮かべる方が多いでしょう。日本人にとっては字面から意味を推測しやすく、読解のハードルは高くありません。一方で、つまずきやすいのが「声調」と呼ばれる中国語独自の音程の上げ下げ。発音から学び始めると、その難しさに挫折してしまいかねません。ある程度読めるようになってから発音に着手するとスムーズに上達するはずです。

韓流ブームでおなじみの韓国語。 韓流ブームでおなじみの韓国語。

中国語に次いで多くの日本人に学ばれているのが韓国語です。地理的に近く、旅行先として人気があることが理由のひとつ。日本国内でも、韓流ドラマにK-POP、韓国料理など、韓国文化は広く親しまれています。

日本語と文法が似ている上に、日本由来の単語がたくさんある韓国語は、学びやすい言語です。語彙さえ増やせば、比較的スムーズにコミュニケーションが取れるようになります。効果的な学習法は、韓国語で書かれた本を1冊選び、わからない単語がなくなるまで繰り返し読むことです。日本語版があれば、見比べながら読むのもいいでしょう。知っている単語は線で消し、最終的にはすべての単語を消せるまで読み込みます。最初は難解ではなくやさしい内容の本を選ぶのがポイント。普段使わない表現が多く書かれている小説よりも、実用的な表現が多いビジネス書がおすすめです。

学べば学ぶほど魅了されるフランス語の奥深さ。 学べば学ぶほど魅了されるフランス語の奥深さ。

ヨーロッパの言語の中では圧倒的な人気を誇るフランス語。ファッションやアート、食文化など、さまざまな分野でフランスは日本人の憧れの的になっています。言葉がわかるとこれらがいっそう身近になり、語学学習にますます身が入るでしょう。この相乗効果のためか、一度学び始めると長続きする人が多いのがフランス語です。

この言語の特徴は、鼻母音やリエゾン(単独では発音されない語末の子音を、後にくる語頭の母音と一緒に発音すること)といった独自の発音ルール。日本人にはなじみがありませんが、これこそがフランス語にエレガントな響きをもたらす秘密でもあります。IPA(国際音声記号:あらゆる言語の音声に対応した世界標準の音声記号)を頼りに繰り返し練習しましょう。

現地への移住を見据えて学ぶ人が多いドイツ語。 現地への移住を見据えて学ぶ人が多いドイツ語。

教育や所得の水準が高く、ジェンダーギャップも少ないドイツへの移住を見据えてドイツ語を学ぶ日本人が多くいます。ドイツ語はオーストリアやスイスの公用語にもなっており、身につければヨーロッパ圏で広く活かせるのも良さです。

同じゲルマン語に属する英語が得意であれば、比較的習得しやすいとされますが、英語だと長い年月をかけて簡略化されたさまざまな言語の規則が、ドイツ語では今でも厳密に残っています。たとえば、英語には同じスペルで意味の異なる単語が多ある一方で、ドイツ語だとスペルが分かれていたりとか。一例として、“tear”という英単語には「涙」と「裂く」、ふたつの意味がありますが、ドイツ語はそれぞれ別の単語です。さらに名詞には性別(男性名詞、女性名詞、中性名詞)もあります。これらはドイツ語学習者が大いに悩まされるポイントですが、まずは単語を性別とセットでできるだけたくさん頭に入れることから始めましょう。

アラビア語にふれると、イスラム文化がぐっと身近に。 アラビア語にふれると、イスラム文化がぐっと身近に。

まだ日本での学習者は少数ながら、おすすめなのがアラビア語。イスラム教との結びつきが深く、中東をはじめとするイスラム圏では権威の高い言語です。アラビア語が公用語でない国でも、アラビア語を話せる人は尊敬されます。さらに、2050年にはイスラム教徒の数がキリスト教徒を超えるかもしれないと言われるほど、イスラム圏は勢いのある地域です。アラビア語の重要性も今後ますます高まるでしょう。イスラム圏というと、どこか遠くの世界に感じられるかもしれませんが、顔つきが日本人とよく似ている国があったり、おもてなしの文化が根付いていたりと、共通点は少なくありません。

見慣れない形のアラビア文字に圧倒されて諦めるくらいなら、まずは単語の発音だけを練習しましょう。ノートに書くときもカタカナ表記で大丈夫。挨拶や自己紹介など基本的な表現を身につけるだけで、イスラム圏がぐっと身近に感じられるはずです。

英語プラスアルファで身につけて、キャリアアップに活かししたい。非英語圏の人々と現地の言葉で話してみたい。第二外国語を学ぶ動機はさまざまです。学ぶ上で大切なのは、「何のために学ぶのか」という目的をはっきりと持つこと。そして、好奇心を忘れずに学習を楽しむことです。多様な文化への入り口となる第二外国語の学習を、今日から始めてみませんか。

2023.08.01

マルチリンガールさん

マルチリンガールさん

語学学習コーチ

12の言語を累計200人以上に教えるマルチリンガルのコーチ。さまざまな国の言語や文化、社会情勢、民族などに興味を持ち、世界20カ国以上を旅行しながら現地での体験をブログに綴っています。「言語の習得をきっかけに、生徒たちが何か目標を達成していく姿を見届けられるのがやりがいです」と語るマルチリンガールさん。生徒ひとりひとりの目標や学びのスタイルに合わせたコーチングが人気です。

MULTILINGIRL♫

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