IEEEフェロー
Stefano Di Cairano
制御システム分野
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IEEEフェロー
制御システム分野
IEEEフェローのご紹介
Stefano Di Cairano Ph.D.は、自動車および航空宇宙における予測制御と制約付き制御への貢献が認められ2025年にIEEEフェローに昇格しました。これらの技術は、制御対象(車、衛星など)の将来の動作を予測し、物理的制約や望ましい操作(制約)を考慮して、事前に最も適切な行動の選択により高性能な制御を実現します。もともとは化学プラントのような大規模でスローなアプリケーションのために開発された技術が、車や衛星などの高速で小型のデバイスでどのように効果的に使用できるかを示すことにStefanoは焦点を当てているといいます。
これらの環境では、計算にかける時間が非常に少なく、外部からの干渉源(他の車、道路など)が多く存在するため、既存の方法を拡張して高速な計算を実現し、外部の動作に対して安定して機能するロバスト性を高めなければなりません。これらの計算は、毎秒何度も(10/100/1000回)難しい最適化問題を解くことを必要とします。多くの自動車システム(エンジン制御、ハイブリッドおよび電気自動車、ADAS、自動運転)や宇宙システム(宇宙船のランデブー、姿勢制御、衛星ステーション制御)に適用されるよう開発されたこの技術。開発成果は自動車の運転支援システムに搭載され、また出荷ヤードでのトラクターとトレーラーの自動連結といった、より精密な操作を必要とする作業の自動化も実現しました。そのほか、今後も宇宙システム関連やHVACシステム、レーザー加工機などの産業機器への応用などが期待されています。
「実用化に向けた取り組みとともに基礎研究を平行して行える環境がMERLのユニークなところ」とStefano。これからは自律性、宇宙船、予測制御分野の個人研究とともに、後進たちのサポートや研究戦略と技術移転プロセスへの取り組みを目標に掲げています。
「研究とは、世界をより良い場所にするために、困難な問題に対する効果的な解決策の模索だ」と語るStefanoは、若手研究者たちに「はじめはうまくいかなくてもあきらめず、忍耐強く挑戦し続けてください。時間はかかるかもしれませんが、真摯に取り組み続ければ何でも達成できます」と心強いメッセージを送ります。
2008年、イタリアのシエナ大学にて博士号取得。専門分野は、制御/動的システム/最適化/ロボティクス。興味をもって取り組んでいるのは、モデル予測制御、制約制御、ネットワーク制御システム、最適化アルゴリズム、確率システム、およびそれらの自動車、航空宇宙、物流、工場自動化への応用だという。現在はControl for Autonomyチームを率いるほか、IEEE CSS技術会議編集委員会の議長、IFAC最適制御技術委員会の副議長、IFAC産業委員会の執行委員を務める。