MITSUBISHIELECTRIC
RESEARCH LABORATORIES

MERL(USA)

はじめにINTRODUCTION

MERL(Mitsubishi Electric Research Laboratories)は、北米における三菱電機の研究開発拠点として1991年に設立されました。
世界的に著名な大学であるMITやハーバード大学を擁し、数多くのスタートアップが集積するボストン・ケンブリッジという世界水準の学術都市に位置するMERL。オープンラボとしてグローバルな科学研究コミュニティや学術機関と連携しながら、AI、信号処理、制御、最適化、ロボティクス、マルチフィジックスモデリングの分野における長期的な基礎研究および三菱電機製品・サービスや社会実装につながる応用研究に取り組んでいます。

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Cambridge, MA, USA

世界に革新と感動を~Inspire & Innovate Globally~

Anthony Vetro Ph.D.

Mitsubishi Electric Research Laboratories
President,
Chief Executive Officer
IEEE Fellow

私たちのミッションは、技術の最前線に立ち、その可能性を広げるとともに、世界に持続的な影響を与える先進的な研究所であること。そして、三菱電機の製品やサービスを支える「技術の源」であることです。

MERLは、設立以来30有余年の長きにわたり、グローバルな科学研究コミュニティや著名大学などの学術機関と連携し、さまざまな研究を推進してきました。それらの研究・開発技術の数々は、三菱電機の製品・サービスはもとより現代社会を支える科学的基盤となって、世界に革新と感動を与え続けています。​これからも自由な研究環境で情熱と創造性あふれるすぐれた研究者たちが、長期的なインパクトある基礎研究、そして三菱電機とその先の未来に貢献できる応用研究に取り組んでいきます。

Kenji Inomata Ph.D.

Mitsubishi Electric Research Laboratories
Executive Vice President,
Chief Financial Officer,
Chief Liaison Officer

Elizabeth Phillips

Mitsubishi Electric Research Laboratories
Vice President & Director Human Resources & Administration

Philip V. Orlik Ph.D.

Mitsubishi Electric Research Laboratories
Vice President & Director

研究紹介TECHNOLOGY

Electric Machine Automation

物理、信号処理、制御の専門知識を活用した電気システムのモデリング、設計最適化および自動化。また、電気機器の複合物理モデリングやスマートファクトリーにおける課題解決に向けた制御理論、故障診断と予知保全のための物理理論に基づく機械学習など、基礎的かつ未来志向な研究開発を行っています。

Mission

革新的なモデリング、システム設計、制御、機器診断技術を開発し、機器およびシステムの最適かつ自律的な運用を可能にすることで、スマートで持続可能な社会の発展に貢献します。

研究活動

計算効率と再現性を両立する複合物理シミュレーションを発展させ、迅速かつ信頼性の高いシステム設計を可能にする最適設計手法を開発しています。また、少ないデータで精度の高い機器診断を実現する手法や、コンパクトで高解像度なセンシングソリューションの実現を目指し、磁気粒子イメージングや量子センシングなどの将来に向けた研究にも取り組んでいます。

主な研究例

  • 機械学習を活用したマルチフィジックスモデリング
  • 複数分野の知識を組み合わせたトポロジー最適化
  • アクチュエータと制御の微分可能なモデリングおよび共同設計
  • 故障モデリングとシグネチャ解析
  • 堅牢かつデータ効率の高い故障診断のための物理ベースの機械学習
  • 高次元動的システムの学習ベースの計画と制御
  • 磁気粒子イメージング
  • 量子制御とセンシング

Optimization & Intelligent Robotics

電力システムや輸送、工場、ロボティクスなど、さまざまなアプリケーションでの最適化アルゴリズムの開発。操作技術からロボットと人間とのインタラクションまで、最適化とロボティクス分野における研究開発を行っています。

Mission

予測モデリング技術や意思決定最適化の研究により、効率的なシステム運用と高度な自動化を実現します。さらに産業へインパクトあるロボティクス分野においては、基礎科学的見地から産業および家庭への応用へと変革するための先端研究を推進しています。

研究活動

電力システムや輸送、工場、ロボティクスなどの分野に適用できるさまざまな制御とスケジューリングのための新しい最適化アルゴリズムを開発しています。また、ロボティクス関連では、両腕ロボットや歩行ロボットによる巧みな操作や、人間とロボットのインタラクション技術、基盤モデルを用いたロボット操作のための新しい表現学習の開発など幅広い研究開発に取り組んでいます。

主な研究例

  • 自律型ロボット組立
  • 家具組立のための人間とロボットの協働
  • ロボット計画のための大規模言語モデル(LLM)
  • 四足歩行ロボットのための二足歩行
  • ロボット計画と衝突再構築のためのシーン再構築
  • 両腕ロボットの巧みな操作
  • ロボティクスのための表現学習・基盤モデル
  • 負荷推定と太陽光発電予測のための高速最適化アルゴリズム
  • 工場生産における機械とロボットの新しいスケジューリングアルゴリズム
  • 人間のフィードバックによる複雑な機械の自動チューニング
  • 大規模な交通スケジューリング
  • ロボットシステムの軌道最適化
  • 電力システムの解析と最適化

Speech & Audio

音声・音響信号の分離、音空間の分析、音響イベント検出、音の生成AI、人間と機械とのインタラクションなどを含む、音声・オーディオ・言語処理における機械学習や信号処理に関わる研究開発を行っています。

Mission

音声および音響信号処理の研究分野におけるトップランナーとして最先端の研究開発を行い、三菱電機のビジネスを支える基盤技術に深化させます。

研究活動

多用途で堅牢な音源分離技術やニューラルフィールドを用いた空間音響モデリング、教師なし学習を用いた機械性能の音診断、人間とロボットとのインタラクションのためのマルチモーダル学習などの開発に取り組んでいます。IEEE・AESなどの学術委員会のメンバーとして分野の指針を定め、国際的なワークショップの主催やGitHubでのコード公開をするなど、科学研究コミュニティに貢献をしています。

主な研究例

  • AR・VRのための頭部伝達関数と室内インパルス応答のモデリング
  • 音声・音楽・効果音の音源分離
  • 各種機器の音診断
  • 音響生成AIのためのニューラルオーディオコーデック
  • さまざまなセンサーを活用した、自然言語に基づく人間とロボットのインタラクション

Multi-Physical Systems

熱力学、熱伝達、電気、機械、構造の物理が相互に作用するシステムである熱ポンプに焦点を当て、異なる物理現象が多く含まれる複雑な多物理システムに関する研究開発を行っています。

Mission

複雑な物理挙動を持つ三菱電機製品の性能を向上させるための新技術を開発し、システム原理に基づいた最適設計を可能にします。

研究活動

私たちは、HVACシステムの性能を向上させ、設計時間を短縮するためのモデルベース設計技術の開発に注力しています。生成AI技術を用いて建物の居住者とその行動モデルを開発し、ヒートポンプの省エネ制御設計へ適用実証するなど、システムに新たな機能を提供するための新しい制御、最適化、および推定方法などの開発に取り組んでいます。

HVAC:Heating, Ventilation, and Air Conditioning

主な研究例

  • 設計研究のための高速サロゲートを作成するための、物理ベースとデータ駆動のハイブリッドモデル
  • オフデザイン条件での予測精度向上とキャリブレーション時間短縮のための多物理圧縮機モデル
  • 温度と湿度を個別に制御できるMEUS-HADとの新製品
  • システム制御と設計を改善するために人間の行動を記述できる基盤モデルに基づく高度な機械学習手法
  • 評価時間を劇的に短縮する新しい加速制御(テストごとに14時間から4時間に)
  • コンポーネントの寿命を向上させるためのサイクル内のオイル分布のモデリング
  • HVAC、バッテリーエネルギー貯蔵、PV発電を備えたグリッドインタラクティブビルの制御と最適化

Computational Sensing

コンピュータが周囲の世界を認知・理解するためのセンシングシステムの開発と改善に焦点を当てています。革新的なハードウエア開発を視野に、従来のセンシングシステムを根本的な改善に導く新しい機能提供のためのアルゴリズムと理論を開発しています。

Mission

信号処理と計算手法を適用して、さまざまな分野でのセンシングと制御性能の向上を図り、情報を認知・理解するための新たな方法を開発します。

研究活動

レーダーセンシングとアレイ処理、光学センシング、動的システムなどの基礎研究とともに、量子センシングのような新興技術にも取り組んでいます。具体的には、室内モニタリング、セキュリティスクリーニング、気流イメージング、自動車およびロボットの認識、インフラモニタリングなど、さまざまなアプリケーション向けの方法を開発しています。

主な研究例

  • 次世代レーダー処理
  • マルチモーダル屋内監視(レーダー、Wi-Fi、赤外線、カメラ、深度センサー)
  • 統合センシングと通信
  • 単一光子検出LIDAR(非常に遠くや悪条件下で非常に微弱な反射を検出し、距離と速度の両方を測定)
  • 量子センシング
  • 物理に基づいたニューラルネットワーク(最適化、不確実性の定量化のための基本的な方法)

Computer Vision

テキスト、画像、音声など複数の情報様式を統合的に扱うマルチモーダルAI技術や、視覚データを分析・解釈し、オブジェクト認識やパターン検出を行う視覚分析、3Dデータを用いた視覚情報の解析と応用を行う3Dコンピュータビジョンの研究を行っています。

Mission

視覚データをはじめ複数の情報を解析し、さまざまな視覚的対象や事象の意味を抽出。最適な表現を構築して幅広い分野への応用を実現します。

研究活動

マルチモーダル推論と生成AI分野では、マルチモーダルナビゲーションとインタラクション、ニューラルアルゴリズム推論など。視覚分析では、ビデオからのバイタルサイン推定や異常検出、ロボットピッキングのための透明インスタンスセグメンテーションなど。3Dコンピュータビジョンでは、ロバストな視覚SLAM、ライダーを用いた3Dオブジェクト検出などの研究に取り組んでいます。

主な研究例

  • 動画からのバイタルサイン
  • 動画の異常検出
  • 言語誘導による動画生成
  • 視覚的SLAM(同時3D位置特定とマッピング)
  • 3D再構築のためのロバスト最適化
  • 言語誘導による物体検出
  • 高度なAIベースの3Dシーン表現
  • 3D物体検出
  • 工場のための画像ベースの異常検出
  • インタラクション、計画、分析および合成のためのマルチモーダルAI
  • ニューラルアルゴリズム的推論
  • 生成的AIを使用した移動ロボットのためのアクションプランニング技術
  • サービスロボットのためのシーン認識インタラクション
  • 視覚と言語のための「小さい」大規模生成モデル

Control for Autonomy

主にモバイルロボット、自律走行車、クアッドロータードローン、無人宇宙船および衛星、脚付きロボット(例:四足歩行ロボット)を含む自律移動システムを対象とした制御、計画および意思決定技術を研究開発しています。

Mission

新しい基礎研究の開発を自律システムに適用して、より複雑な行動をより困難なシナリオで実行する能力を向上します。さらに自動化と自律性の活用で、安全性、包摂性、持続可能性を向上させ、安心・安全な社会の実現を目指します。

研究活動

自然災害を防ぐための環境モニタリング、スマート農業、野生生物の管理と制御のためのモデルベースおよびデータ駆動型の手法を開発しています。また、モバイルロボットの能力を向上させて人間社会を支援するためのAI技術の開発や、地球上のインフラと宇宙探査のための未来輸送システム、宇宙船・衛星への応用を目的としたガイダンスとナビゲーションのための最適化手法にも取り組んでいます。

主な研究例

  • 脚付きロボットとロボットアームを備えた脚付きロボット
  • 衛星および衛星群の高精度制御
  • スマート農業と野生生物管理のための自律性
  • ロボットを使用した建物の監視とマッピング技術
  • カメラやその他のセンサーを使用して位置決定と検出を行うガイダンス技術(宇宙船、クアッドロータードローンなど)
  • 最適制御、知覚認識制御に関する基礎研究

Connectivity & Information Processing

基礎的なAI技術から情報セキュリティ、生体信号処理、量子コンピューティング、データ通信、ネットワーク科学に至るまで、接続性と情報処理についての幅広い研究を行っています。

Mission

プライバシーや堅牢性、電力効率などを考慮した基礎的なAI技術の開発と、情報および生体信号処理、量子コンピューティングの新たな分野の探究を行います。接続されたインテリジェンスを適用して、循環型エンジニアリングおよびサイバーフィジカルシステムの性能やセキュリティなどの向上を目指します。

研究活動

三菱電機のIoTビジネスに適用されたワイヤレス共存の標準化や、言語モデルの省電力化、機械学習におけるユーザーとデータのプライバシー改善、人間と機械の相互作用を最適化するためのバイオシグナル処理など、AI技術や生体信号処理、量子コンピューティング分野における理論的分析、コンピュータシミュレーション、コンピュータ実験を含む基礎的な研究を行っています。

主な研究例

  • IoT&スマートメーターネットワーク
  • AI支援サイバーセキュリティ
  • EEG(脳波計)ベースのバイオメトリクス
  • 大規模言語モデルのための効率的なML/Green AI
  • 生体信号を用いた高度な人間-機械のインターフェース
  • 量子AI
  • ワイヤレスネットワーキングと標準化

アクセスACCESS

201 Broadway, Cambridge, MA 02139, U.S.A.
Phone :+1(617)621-7500

URL :http://www.merl.com/新しいウィンドウが開きます