Factory Automation

特集論文

“GOT1000シリーズ”の新機能・新製品

2013年4月公開【全4回】
名古屋製作所 兼子貴弘
姫路製作所 川崎嗣雄

第3回 中型表示器GT14モデルの開発(上)

3. 中型表示器GT14モデルの開発

3.1 中型表示器の市場要望と課題

近年、中型表示器であっても綺麗(きれい)な文字や図形、写真等を表示したい、USBメモリを用いて現場で収集したデータを事務所へ持ち帰りたい、さらには、ネットワーク経由で上位パソコンから表示器のデータを操作したいなど、付加価値の高い機能への対応が要望されてきている。
このような背景の中、他社製品と比べ、当社の中型表示器GT11モデルでは表示の見栄えや機能に不足があり、上位モデルでは機能は十分だが、価格が高いといった課題があった。そこで、機能強化し、なおかつ、低価格の中型表示器がほしいという市場要求に応えるため、(1)製品力の強化、(2)他社製品との差別化、(3)低価格化の対応を念頭において、GT14モデルを開発した。

3.2 GT14モデルの開発と課題への対応

3.2.1 製品力の強化

GT14モデルの代表的な仕様を従来のGT11モデルと比較して表3に示す。

表3.GT14モデルと従来モデルの主な仕様の比較

(1)表示部の機能向上

GT14モデルでは、視認性に優れたTFT液晶を採用し、従来の256色から65,536色へ多色化するとともに、新たな文字フォントにも対応することで表現力を大幅に向上させた。表示の多色化にあたっては、描画速度が低下しないよう留意した。多色化することによって、色情報が増加するため、描画処理の負荷が増加する。そこで、処理性能の高いマイコンの採用に加え、ウインドウ描画を基本とする表示器の描画特性にあわせ、描画データの合成方法を最適化することによって、従来モデル以上の描画速度を実現した。また、液晶バックライトにはLEDを採用し、電源回路も高効率化することによって、従来比で約15%の省エネルギー化も実現した。

(2)画面設計の効率化

表示画面は専用の作画ツールを用いて、ユーザーが自由にデザインできる。GT14モデルでは、アナログ抵抗膜式のタッチパネルを採用することによって、従来モデルでは対応できなかった1ドット単位での部品配置を可能とし、画面設計の自由度を向上させた。さらに、ユーザーメモリ容量を従来モデルの3倍の9Mバイトへ拡張することによって、メモリ容量を気にせず、画面設計できるよう配慮した。

(3)外部インタフェース強化とロギング機能

USBホストやEthernetの追加、SDカードへ対応することによって、新たな機能を実現した。その一例として、ロギング機能(図4)について述べる。

図4.ロギング機能

ロギング機能とは、任意のタイミング又は定周期でシーケンサ(一般的にはプログラマブルコントローラと呼ばれる)などのデバイス値を収集し、蓄積する機能である。収集したデータはSDカードにCSV(Comma Separated Values)ファイル形式で保存しておき、USBメモリなどを用いて現場から事務所に持ち帰ることができる。持ち帰ったデータを解析し、現場にフィードバックすることによって、生産性向上や品質管理に役立てることができる。さらには、Ethernetを用いて、事務所のパソコンから収集したデータを取得することも可能となり、データ収集・蓄積の効率が飛躍的に向上した。

製品紹介

GOT1000シリーズ

GOT1000シリーズ

現場の声の数だけ応えていくために、全5モデル+ハンディGOTの多彩なラインアップ

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