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星空の散歩道

国立天文台 副台長 渡部潤一 Junichi Watanabe国立天文台 副台長 渡部潤一 Junichi Watanabe

 Vol.115

西空に火星と金星のランデブーを眺めよう

宵の明星・金星が明るくなっている。1月12日には太陽から東へ最も離れる、東方最大離角を迎えた。その角度は47度ほどで、太陽が沈んで暗くなっても、しばらくは金星の輝きが沈まずに見えている。この頃の明るさはマイナス4.4等。堂々とした一番星である。さらには、2月17日には最大光度、つまり地球から見て西空で最も明るくなる日を迎える。明るさはマイナス4.6等。この期間、真っ暗な条件でよく観察すると、金星の光ではっきりと影ができていることがわかるほどだ。

ところで、宵の明星として輝く金星の姿を眺めるのは3月初旬までである。金星は太陽にどんどん近づき、3月23日に地球を追い抜く。このときには、金星は地球から見ると太陽の方向に位置するので、よほどの工夫をしないと見えることはない。金星が地球を追い抜くときを内合と呼んでいる。内合を迎えた金星は、今度は太陽の西側に離れていき、日の出前の東の地平線に姿を見せるようになる。

さて、今シーズンの宵の明星として輝く金星のそばにランデブーしている惑星がある。火星である。火星は、地球の外側を巡る惑星で、昨年の5月22日に地球に接近した。地球の方が太陽に近いため、地球が火星を追い抜いたわけで、火星から眺めれば地球が内合になったことになる。それ以降、火星はずっと地球を追いかけてきているために、半年以上にもわたって西の空にずっと輝き続けているのだ。ただ、次第に西の空に近づいていき、地球からも遠くなっているので、火星の赤い輝きはどんどん目立たなくなってきつつある。最接近時はマイナス2.1等と、金星に迫るほど明るく輝いていた火星なのだが、いまでは3等級も暗くなってしまっている。とはいえ、まだ1等台を保っている。つまり、一等星と同じ明るさで輝き続けているのである。

一定のペースで西の空に移動する火星に、宵の明星・金星がどんどん近づいていく。いわば金星と火星のランデブーである。このランデブーは金星が見えなくなる3月まで長い間続く。火星と金星が最も近づくのは2月2日である。1月末から三日月が仲間入りしてくる。2月1日には月齢4.4の細身の月、火星、金星と並び、冬の宵空の天体ショーとなるだろう

2月2日19時30分の西の夜空。月齢4.4の月、火星、金星が並んでいる。(東京、ステラナビゲータVer.9にて筆者作成)

ちなみに2017年の金星と火星は、明け方の空でも接近する。明けの明星・金星が明け方に回ってきた火星と接近するのだが、そのみかけの距離が半端ではない。10月6日には今回の接近距離の約30 分の1ほど、約12分角(つまり角度の1度の5分の1)の大接近となる。いったん離れた二つの惑星が、場所を変えて接近するというのは、なんだか恋人同士の心理的距離の変化を見ているようにも思える。どちらの天体ショーにも、適度な間隔で月という第三者が割り込むのもなんとも言えない。明け方の二惑星に月が割り込むのは10月18日となる。夕方と明け方との火星と金星のランデブー、どちらも低空までよく晴れることが多い季節なので、ぜひ眺めて欲しい。