先端技術総合研究所と研究者の活動を紹介します。

2025年

「RIR optical system for thin design and high-energy-efficient headlights」がApplied Optics誌のEditors’ Pickに選ばれました。

「RIR 光学系」の原理図 開発したRIRレンズの外観 開発したヘッドライトによる路面配光

「薄型かつ高効率ヘッドライトを実現するRIR光学系」に関する論文が、Applied Optics誌※1のEditors’ Pick※2に選ばれました。この制度は、「編集者が特に注目すべきと判断した論文を選び、読者に推薦し、特に革新的で影響力のある研究を強調し広く認知されること」を目的としています。

当社独自のRIR光学系※3の開発により、従来必須とされていたリフレクターを用いることなく、レンズの屈折作用と全反射作用のみで自動車ヘッドライトに必要な配光を実現しました。その結果、高さ20mmのレンズにおいて、光利用効率を従来方式の1.8倍に向上させ、従来方式で一般的な高さ40~60mmのレンズと同等以上の明るさを確保することに成功しました。

本論文は、この大幅な薄型化と高効率化を実証した点における革新性と影響力、そして研究の質が高く評価され、今回の受賞につながりました。

◆開発者 諏訪 勝重さんから◆
本技術は、従来は両立が難しいとされていたヘッドライトの薄型化と高効率化に挑み、実現した当社独自の技術です。その革新性を学術界からもご評価いただき、大変光栄に思います。これからも、社会課題の解決に直結するインパクトの高い最先端研究に挑戦し続け、よりよい社会の実現に向けて貢献して参ります。

※1Applied Optics誌:Optica(旧OSA)は1916年に光学や光科学の創出、普及、応用の促進を目的として米国で設立された学会。Applied Optics誌はその中のオープンアクセスの査読付き論文誌で、特に光学技術の実用的な応用に焦点を当てている。

※2Editors’ Pick:直近5年間では、Optica全体で52,621本中2,577本と約5%の割合で選定されており、2025年のApplied Optics誌では、1,172本中69本が選定されており、その選定率は約6%となっている。

※3RIR光学系:入射屈折面(Refraction surface)と全反射面(Total Internal Reflection Surface)、及び出射屈折面(Refraction surface)を有する当社独自のヘッドライト光学系

受賞論文
RIR optical system for thin design and high-energy-efficient headlights新しいウィンドウで開きます

【広報発表】「高輝度・高精細でリアルな映像を空中に表示するディスプレイ「CielVision」を開発」の広報発表を行いました。

「CielVision」(2D)の適用例イメージ 「CielVision」(3D)イメージ 開発メンバー(CEATEC2025にて)

独自の空中プロジェクション光学技術にデジタル映像処理技術を融合した新たなデジタル光学技術により、高輝度・高精細でリアルな映像を空中に表示する空中ディスプレイ「CielVision」を開発しました。空中映像の大幅な視認性向上と、表示装置のスリム化を実現し、さまざまなシーンに適用可能な新たなXR※1ソリューションを創出します。

これまでの空中ディスプレイの多くは、再帰反射方式※2を採用していますが、光損失の大きいハーフミラーや再帰反射材を使用するため映像が暗く、解像度が低下するため視認性が低いという課題があります。

今回、自由曲面ミラー※31枚のみで、クリアな映像を空中に表示することを可能にし、デジタル映像処理技術によって空中映像の歪曲を補正することで、高輝度・高精細でゆがみのない空中映像を表示することができるようになりました。

従来は適用が難しかったシーンへも空中映像の表示が可能になります。例えば、高輝度であることが求められる屋外、また壁や頭上だけでなく通路の中央など、利用者の視界により近い任意の空間への案内表示が可能となるため、利用者の直感的な意思決定をサポートするなどの活用を見込んでいます。

「CielVision」はCEATEC2025にも出展しました。

◆開発者から◆
CEATEC会場では、多くの皆様にお立ち寄りいただき、また社会実装への大きな期待と励ましのお言葉を賜り、心より御礼申し上げます。CielVisionは、「空間そのものに情報を宿す」ことで、これまでにない新しい視覚体験を創出する革新的なテクノロジーです。このテクノロジーは、人々の生活や意思決定を、より直感的に、より安全に、そしてより豊かに変えていく可能性を秘めています。道路や鉄道、看板、工場、家電、そしてアミューズメント施設など、街のあらゆる場所で、空中表示が当たり前になる。そんな未来の実現に向けて、私たちは研究開発を一層加速させて参ります。

※1Extended Reality の略で拡張現実を指す

※2入射した光が再び入射方向へ帰る反射方式

※3自由曲面を反射面とする光学素子のこと。複雑な曲面をもち、光の反射を精密に制御することが可能

PDFが開きますニュースリリース2025年10月06日
高輝度・高精細でリアルな映像を空中に表示するディスプレイ「CielVision」を開発

「先進軽金属材料の積層造形における革新的プロセス制御技術の開発と応用」が第45回精密工学会技術賞を受賞しました。

受賞メンバー アルミニウム合金:寸法精度維持 チタン合金:酸化の抑制 マグネシウム合金:燃焼リスクの回避

「先進軽金属材料の積層造形における革新的プロセス制御技術の開発と応用」が、公益社団法人 精密工学会が主催する「第45回 2025年度 精密工学会技術賞」を受賞しました。
同賞は、「精密工学の領域で創造的業績をあげた企業等の研究者・技術者に対して、その精進と努力に報い、かつ将来の発展を期待して贈賞する」ものです。

アルミニウム・チタン・マグネシウムは、各種産業における軽量化に不可欠な「三大軽金属」です。これらの金属積層造形における材料特有の課題を克服するため、先進的なプロセス制御技術を開発しました。その成果として、アルミニウム合金では寸法精度維持※1、チタン合金では酸化の抑制※2 、マグネシウム合金では燃焼リスクの回避※3を実現できる点が評価され、森田大嗣さん、多久島秀さん、篠原暢宏さん、目黒雄士さん、谷原康友さんが受賞しました。

◆開発者 森田 大嗣さんから◆
金属積層技術は将来性の高い技術として期待されている一方、まだ十分に普及しているとは言えません。普及を進めるためには、いかに付加価値の高い材料へ適用できるかが重要な鍵となります。今回の技術は、その一助となり得るものと考えています。今後も金属積層技術の普及や環境負荷低減につながるよう、研究開発を進めてまいります。

※1アルミニウム合金:熱蓄積による厚さ変化を予測する実証モデルに基づきレーザ出力を適応制御

※2チタン合金:広域シールドガスノズルによりチャンバーレス環境での酸化抑制

※3マグネシウム合金:温度センシング結果に基づいたレーザ出力制御技術に加えて燃えにくい材料を開発

精密工学会 精密工学会技術賞 受賞履歴新しいウィンドウで開きます

【広報発表】「ITRI、TTL竹南ビール工場とCO2回収・資源化の実証試験に関する基本協定を締結」の広報発表を行いました。

基本協定調印式 TTL竹南ビール工場
© Taiwan Tobacco & Liquor Corporation
実証試験メンバー

三菱電機株式会社は、財団法人工業技術研究院(台湾、Industrial Technology Research Institute、以下、ITRI)、台湾タバコ・酒株式会社(台湾、Taiwan Tobacco & Liquor Corporation、以下、TTL)竹南ビール工場と、CO2を回収・資源化する実証試験に関する基本協定を締結しました。

本協定の中で3者は、排ガス中のCO2回収技術の社会実装に向けた次のステップとして、TTL竹南ビール工場において、ガスボイラーの排ガス中のCO2を回収し、回収したCO2を精製してビール製造工程に適用する技術の確立と、CO2の回収・資源化における技術的な課題や経済合理性の検証に取り組みます。
本実証試験を通して、当社とITRIはCCU※1技術の研究開発を加速し、TTL竹南ビール工場は、工場から排出されるCO2排出量の削減と、回収したCO2の自社利用を目指します。

当社はCO2の回収から利用まで一貫して実現するCCUシステムの社会実装に向けた研究開発をさらに加速し、当社が取り組むE&Fソリューション※2と組み合わせて、工場やプラントなどの需要家向けのカーボンリサイクルの実現に取り組んでいきます。

今後、CO2回収・資源化プロセスの仕様、3者の役割分担の詳細を決定し、2026年にTTL竹南ビール工場での実証試験開始を目指します。

◆実証試験メンバーから◆
地球環境や温暖化に対して悪者扱いされることが多いCO2ですが、ビールや炭酸飲料には必要な原料の1つです。工場から排出されているCO2を飲料に使うことができれば、工場が排出しているCO2と、飲料のために調達しているCO2の両方を減らせます。
ITRIとTTLはどちらも台湾を代表する研究機関・企業です。この2者と一緒にカーボンリサイクル社会の実現に挑戦できることにワクワクしています。TTL竹南ビール工場で回収したCO2からビールを作り、ITRIとTTL竹南ビール工場の方々と乾杯することが目標です。

※1Carbon dioxide Capture and Utilization
発電所や工場などから排出されたCO₂を分離・回収し、資源として有効に利用する

※2Energy & Facility(エネルギー&ファシリティ)ソリューションの略称

PDFが開きますニュースリリース 2025年08月25日
ITRI、TTL 竹南ビール工場と CO2回収・資源化の実証試験に関する基本協定を締結

【広報発表】「可視光を利用する光触媒パネルでCO2からギ酸を生成する人工光合成技術を確立」の広報発表を行いました。

可視光利用の光触媒パネル 実験の様子

国立大学法人東京科学大学と共同で、可視光を吸収する窒化炭素を用いた人工光合成触媒を形成・固定化し、CO2からエネルギー物質であるギ酸※1を生成することに成功しました。

この開発では、ガラス平板上に酸化チタン層を堆積させ、その上に窒化炭素を固定化してパネル状にしています。この光触媒パネルにCO2の還元活性点となるルテニウム錯体を吸着させ、可視光を照射することで、CO2を原料としてギ酸が生成されることを確認しました。

従来は、反応液中に分散させた光触媒粒子に光を当てる方法でギ酸を生成していましたが、光触媒を平面上にパネル化することで、反応液中に生成したギ酸の分離、回収が容易になり、大量生成に向けて一歩前進しました。

今後は、他の人工光合成技術と組み合わせることで、より高効率なエネルギー変換システムの実現を目指します。また、エネルギーの貯蔵や運搬が容易なギ酸の大量生成を実現することで、再生可能エネルギーの利用拡大に貢献します。

◆開発者から◆
地球温暖化という課題に対し、私たちはCO2を資源として活用する技術開発で挑みます。この開発は、2022年に開始した東京科学大学・前田和彦教授との共同研究が基盤です。太陽光でCO2を貯蔵や運搬が容易な「ギ酸」に変える、この先進技術の社会実装に不可欠な「平面固定化技術」を世界で初めて確立しました。エネルギー変換効率の向上など、実用化への課題はまだ残されています。しかし、この技術は再生可能エネルギーの可能性を大きく広げるものと確信しています。

「カーボントレーサビリティ実現と新価値創造」で「IVIつながるものづくりアワード2025 特別賞(殿堂入り)」を受賞しました。

写真右:岩津 賢さん

一般社団法人 インダストリアルバリューチェーンイニシアティブが主催する「IVIつながるものづくりアワード2025」で、三菱電機の研究員が参画するワーキンググループ「カーボントレーサビリティ実現と新価値創造」が「特別賞(殿堂入り)」を受賞しました。2023年と2024年の2年連続で同アワード最優秀賞の受賞を受け、3年連続で高い評価を受けたため同アワード初の殿堂入りとなり、2025年6月12日にアルカディア市ヶ谷にて贈呈式が行われました。

CIOF連携による企業間データ流通やCO2排出量の同時計算が実現され、技術完成度と実務適用性が高く、IVIの活動実績を活かし、グローバルスタンダードを目指す取り組みが評価され、さらに業界標準形成への貢献が受賞につながりました。

◆岩津 賢さんから◆
製造工程を中心とするCO2排出量管理について、共通の課題意識を持つ各参画企業のメンバとの連携による取り組みが評価されたことを嬉しく思います。カーボンニュートラルのような社会課題解決には協調領域と競争領域の双方が必要なため、今後も活動を推進していきます。

【広報発表】「台湾ITRIが開発したCO2回収装置を用いてCO2回収技術の実証試験を開始」の広報発表を行いました。

2025年6月9日 実証試験開始 CCUシステムとCO2回収技術の実証試験の概要 実証試験メンバー

財団法人工業技術研究院(台湾、以下英略:ITRI※1)が開発したCO2回収装置を先端技術総合研究所に設置し、排ガスからCO2を回収する実証試験を6月9日に開始しました。
当社とITRIは、地球規模の課題である気候変動問題の解決に向け、CCU※2技術の研究開発に取り組んでいます。

今回、ITRIが開発したCO2回収装置を先端技術総合研究所の蒸気発生ボイラーに接続し、蒸気発生ボイラーの排ガスに含まれるCO2を回収します。
このCO2回収装置は「固体吸着方式」を採用しており、水溶液の蒸発によるエネルギー損失が発生しないため、CO2回収に必要なエネルギーを低減できます。また、当社が空調冷熱システムや産業システムなどの幅広い分野で長年培ってきた、高度なシステム設計・制御技術やエネルギーマネージメント技術を活かし、よりエネルギー効率の高いCO2回収技術の確立を目指します。

当社とITRIはこの実証試験の成果を活用し、CO2の回収から利用まで一貫して実現するCCUシステムを早期に社会実装していくため、研究開発を加速していきます。
さらに、当社が取り組むE&Fソリューション※3と組み合わせて、工場やプラントなどの需要家におけるカーボンリサイクルの実現を目指します。

今後は、CO2回収技術のエネルギー効率の向上を目指し、本実証試験を2027年9月までに完了予定です。また、高度なCCUシステムの構築に向け、応用研究や他社との連携・共創にも取り組み、2029年度以降の実用化を目指します。

◆実証試験メンバーから◆
2024年4月にITRIと研究協力を始めて、台湾出張も楽しみながら、CCU技術を開発してきました。排ガスからのCO2を回収する実証試験を始めることができ、ワクワクしています。
この実証試験を通して、工場や製作所に適用できる、エネルギー効率の高いCO2回収を目指します。生産量が増えてもCO2排出量が減る工場を作って、経済発展と環境問題の両方に貢献したいです。

※1ITRI:Industrial Technology Research Institute

※2Carbon dioxide Capture and Utilization
発電所や工場などから排出されたCO₂を分離・回収し、資源として燃料や化学品の製造に有効利用する

※3Energy & Facility(エネルギー&ファシリティ)ソリューションの略称

ニュースリリース 2025年06月09日
台湾ITRIが開発したCO2回収装置を用いてCO2回収技術の実証試験を開始

「保守省力化を実現するモータコントロールセンタ搭載設備診断技術」で「第57回 市村産業賞 貢献賞」を受賞し、表彰式に出席しました。

受賞メンバー 技術概要

「保守省力化を実現するモータコントロールセンタ搭載設備診断技術」で公益財団法人 市村清新技術財団が主催する「第57回 市村産業賞 貢献賞」を受賞しました。同賞は、「優れた国産技術を開発することで、産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者を表彰する」もので、2025年4月18日に帝国ホテル東京にて贈呈式が行われました。

運転中のモータ電気信号(電流と電圧)に独自の信号処理を施すことにより、5種類のモータ設備異常(①レヤショート、②回転子バー異常、③機械系異常、④ベルト断線、⑤トルク異常)を検知可能である。本技術をモータコントロールセンタに搭載することで、オンラインかつ自動で早期にモータ設備の異常を検知し、保守業務の省力化やプラントの安定操業に貢献した点が高く評価され、受賞につながりました。

◆金丸 誠さんから◆
この度は栄誉ある賞をいただき大変光栄に思います。開発に携わった皆様、そしてフィールド検証の場を提供してくださいました多くのお客様に心より感謝申し上げます。私たちは現場の課題を技術で解決するために、試行錯誤を重ねながら取り組んで参りました。診断アルゴリズムの構築では何度も困難に直面しましたが、関係者の皆様のご協力を得て、一つずつ問題を解決することができました。今後もファシリティ領域の課題解決に努めるとともに、エネルギー領域の課題解決を組み合わせたE&Fソリューションの開発に尽力して参ります。

[リケイノシゴトにて掲載]キラリ、企業ハッケン!デバイス、機器から制御、システムまで広範な技術を融合し未来をつくる【先端技術総合研究所】

上田健詞さんが「Kaggle Competitions Master」となり、先端技術総合研究所におけるMasterが二名になりました。

左:斎藤暁生さん、右:上田健詞さん

世界的なAIコンテストプラットフォームKaggle※1のコンテストで金メダルを1個、銀メダルを2個獲得し、Kaggle Competitions Master※2の称号を獲得しました。

上田健詞さんは、人間だと8割以上が解けるが、AIだと解くのが難しいパズル問題をどれだけ多く解けるかを競うコンテストにおいて、数理最適化・機械学習の専門家として日々の研究開発で培った技術を駆使し、上位解法の組み合わせやパラメータのチューニングなどに改良を加えた解決策を提案しました。何度もあきらめずにトライ&エラーを繰り返し見事な成績を収め、金メダルを獲得しました。

今回、上田健詞さんが「Kaggle Competitions Master」の称号を獲得したことで、先端技術総合研究所の称号獲得者は斎藤暁生さんと合わせて2名になりました。

◆上田健詞さんから◆
「Kaggle Competitions Master」になることができ、大変嬉しく思います。これまでにチームを組んでいただいた方々のご協力に感謝いたします。これからも社外のコンペティションに楽しみながら取り組むことでスキルアップを継続し、当社の多様な事業における社会課題の解決に貢献していきたいと思います。

※1Kaggle:世界最大のAIコンテストプラットフォーム。機械学習や最適化に関するコンテストを定期的に開催している

※2Kaggle Competitions Master:通算で金メダル1個と銀メダル以上のメダル2個の合計3個を獲得した際に授与される称号(Kaggle参加者20万人中上位約1%がMaster以上)

Kaggle新しいウィンドウで開きます

PDFが開きますニュースリリース 2025年03月27日
三菱電機の研究者が世界最大規模のAIコンペ「Kaggle」で、「Kaggle Competitions Master」の称号を授与(PDF:391KB)

中高生女子向け理系職場体験「Girls Meet STEM Careerラボツアー」が開催されました。

左:矢野佳果さん、右:大原未緒さん

2025年3月25日に理系の中高生女子向け理系職場体験「Girls Meet STEM Careerラボツアー」を開催し、女子中高生26名に参加していただきました。

このラボツアーは、中高生女子のSTEM(理系)進学の可能性を広げることを目的としており、社会課題を解決する最先端の技術開発を行う当社研究所の実験室やオフィスを見学し、さらに当社の若手女性エンジニアとの対話を通じて理系職場の理解を深めていただきました。

当社は、本ツアーを通じて参加者の進路やキャリア選択の幅を広げることで、次世代の女性エンジニアの創出に貢献し、社会全体におけるSTEM領域の多様性促進の一助となることを目指します。

◆矢野佳果さんから◆
中高生の皆さんに自身の経験をお話しする機会をいただきました。対話を通じて、当社製品のみならず科学技術分野に対して高い関心を持つ方が多いことに驚かされました。今回のような取り組みが、将来共に働ける女性エンジニアの増加につながると嬉しいです。

◆大原未緒さんから◆
ショールームで楽しそうにデモ体験をする中高生の皆さんの姿が印象に残っています。中高生の時期に、職場や実験室を見学して会社を知ることができる素晴らしいイベントだなと感じました。貴重な機会をありがとうございました!

【広報発表】「世界初、システム操作ログからオペレーターのノウハウを可視化する技術を開発」の広報発表を行いました。

操作ログを活用したDXシステムの開発イメージ 従来と今回開発した操作ログドリブン技術との
DXシステム開発工程の比較
開発メンバー

システム操作ログからオペレーターの経験や知見に基づくノウハウを可視化し、共有化することで、システムの運転管理・維持管理を高度化するDXシステム開発に活用できる「操作ログドリブン開発技術」を世界で初めて※1開発しました。

今回、システムの操作ログを可視化し、オペレーターがシステム画面に表示している信号の関連性から「同じ目的の操作フェーズ」を自動で抽出・可視化することができる、「操作ログドリブン開発技術」を開発しました。この技術はヒアリングだけでは把握しきれない操作の実態を収集・解析し、暗黙知を可視化できるなどノウハウを共有しやすくなり、技術継承を効率化するとともに、DXシステムの要求分析をより的確かつ短期間で実現できます。

また、DXシステムのプロトタイプを早期に構築し、その操作ログを本技術で取得して改良を繰り返すことで効率的にブラッシュアップが可能となり、DXシステムの開発期間の大幅な短縮に貢献します。

◆開発者から◆
データ分析で見つかった新しい発見を報告すると、「どのような手順で発見したのか?どうやったら他の人も発見できるようになるのか?」とよく聞かれるのですが、自分自身でも覚えておらず答えられないということがありました。開発した『操作ログドリブン開発技術』で操作ログを取得しておけば、このような手順を蓄積・解析・共有でき、類似な事例に出会ったときに役立ちます。また、過去に誰かがチャレンジしてうまくいかなかった手順を蓄積しておけば、他の人が再度同じことをしてしまうことも防げるようになると考えています(うまくいった方法は報告書に残っているのですが、うまくいかなかった方法は残っていないことが多いです)。

グリーン関連研究開発事例 視察会を行いました。

2025年2月19日にメディア向け「グリーン関連研究開発事例 視察会」を開催し、開発成果をご見学いただきました。
この視察会では、弊社がサステナビリティの実現を経営の根幹に据え、グリーンな社会の実現に寄与する事業の創出・拡大を目指す中で、先端技術総合研究所における「グリーン関連研究開発」の取り組みをご紹介しました。

また、新規事例についてデモを交えてご紹介したほか、新たにAIを活用した「プラスチックリサイクル向けスマート静電選別検証機」を初公開しました。

【広報発表】「東京科学大学とケミカルループ方式によるCO2還元技術を開発、実証試験を開始」の広報発表を行いました。

CCUシステムと実証試験する
ケミカルループ方式CO2還元技術の概要
開発メンバー

国立大学法人東京科学大学※1(以下、Science Tokyo)の環境・社会理工学院 融合理工学系 エネルギー・情報コース 大友 順一郎教授らと共同で、二酸化炭素(CO2)を還元※2して資源として活用可能な一酸化炭素(CO)を生成する、ケミカルループ方式※3CO2還元技術の実証試験を2月19日に開始しました。

今回、当社が保有する水処理システムや産業システムなど幅広い分野で培ってきた高度なシステム設計・制御技術と、Science Tokyoが保有する化学プロセス技術を融合し、独自の酸素キャリア粒子を用いた、ケミカルループ方式によるCO2還元技術を開発しました。

今後、2027年3月(予定)までの実証試験で得られる成果を活用し、CO2の回収から利用まで一貫して実現するCCUシステムの構築を目指し、さらに当社が取り組むE&Fソリューション※4と組み合わせて、カーボンニュートラルの実現に向けた工場などにおけるCO2排出量の削減に取り組んでいきます。

◆開発者から◆
東京科学大学様と二人三脚で、最初はほんのわずかな酸素キャリア粒子を時間をかけて手作りするところからスタートして、徐々にスケールアップしながら実証試験に至ることができました。昨今の異常気象などを踏まえるとカーボンニュートラルの実現は重要な社会課題であり、早期の社会実装に向けて引き続き開発を推進していきます。

※1国立大学法人東京工業大学と国立大学法人東京医科歯科大学との統合により、2024年10月1日に設立

※2物質から酸素が奪われる化学反応

※3酸素キャリア(酸素を運ぶための媒体となる物質)を介して還元反応と酸化反応を別々に繰り返し行う方式

※4Energy&Facility(エネルギー&ファシリティ)ソリューションの略称

PDFが開きますニュースリリース 2025年02月19日
東京科学大学とケミカルループ方式によるCO2還元技術を開発、実証試験を開始(PDF:518KB)

【広報発表】「プラスチックリサイクル向け「スマート静電選別」技術を開発、検証実験を開始」の広報発表を行いました。

「スマート静電選別」検証機の外観 「スマート静電選別」検証機の構成図 開発メンバー

当社グループが家電リサイクル分野で長年培ってきたプラスチックの静電選別技術に、各種センサーを組み込み、AIを活用することで、混合プラスチック片の組成の変化に応じて種類ごとに自動選別できる世界初※1の「スマート静電選別」※2技術を開発し、検証実験を2月19日から開始しました。

今回、「スマート静電選別」のキー技術となる、プラスチック片の選別前・選別後組成識別センサーおよび識別アルゴリズムや、プラスチック片の比電荷※3をセンシング可能な独自の比電荷分布評価システム、センシング結果に応じて選別機を最適な条件に自動制御するAI技術を開発し、これらを搭載した検証機を製作しました。

今後、「スマート静電選別」の実用化と市場への投入を目指し、あらゆるプラスチックの組成に応じて、専門知識やオペレーションノウハウがなくても自動で高純度に選別に向け開発と検証を進め、高度選別技術の導入拡大を通じてプラスチックリサイクル率の向上に貢献していきます。

◆開発者から◆
チーム6名一丸となって開発を進めた結果、発案段階から私たちが手掛けたスマート静電選別という概念を、ようやくこの検証機という具体的なかたちにできワクワクしています。この検証機でスマート静電選別が机上の空論ではなく本当にできることを早く証明したいですし、早く製品化して世の中に出していきたいと思っています。

【広報発表】「わずかな動きで発電する電磁誘導発電モジュールを開発」の広報発表を行いました。

開発した電磁誘導発電モジュール そよ風での発電(Movie)

自然界のわずかな動きや人の動作で効率よく発電する電磁誘導発電モジュールを開発しました。そよ風や弱い水流、人が床を踏む動きなどを利用した発電を可能とし、本モジュールを低消費電力(数ミリワット程度)の無線ICと温度センサーなどと接続することで、配線と電池交換が不要なIoTセンサーとしての活用が期待できます。

また、この発電素子を用いて床板の上を人が通過した際に発電する「床発電装置」を試作しました(世界初※1)。従来の圧電素子を用いた床発電装置の100倍となる200mWの発電が可能で※2、温度センサーと無線式の通信モジュールを接続した実証実験を行ったところ、一回踏む際の発電量で温度データを送信できることを確認しました。床板と発電素子は非接触であるため、従来の圧電素子の課題であった、継続使用による劣化が発生しない世界初の床発電装置としての活用が期待できます。

今後は、発電素子の形状や磁気回路の最適化を進め、さらなる発電量の向上を目指します。また、発電した電力を高効率に蓄電する技術と組み合わせて、電源に乾電池などの一次電池を利用しているIoTセンサーへの適用を可能にすることで活用の幅をさらに広げるとともに、一次電池の廃棄量削減による循環型社会の実現への貢献を目指し、開発を進めていきます。

◆開発者から◆
この開発は2020年度から先端技術総合研究所の自主テーマとして続けてきました。本開発の将来性に期待頂き、開発の機会を与えてここまでご支援くださった皆様にまずは感謝申し上げます。具体的な社会実装に向けた開発はこれからになりますが、大きい社会課題となっている気候変動対策や農業活性化のためのDX化に”ものづくり”で貢献できる将来性のある開発だと考えています。ニュースリリースを読んで「こんなことに使えそう」というアイデアがありましたら是非一緒に議論させてください!よろしくお願いします。

※12025年2月12日現在、当社調べ

※2当社試算。歩行を想定して、1秒間に二回踏んだ際の発電量

ニュースリリース 2025年02月12日
わずかな動きで発電する電磁誘導発電モジュールを開発

MEMSセンシング&ネットワークシステム展2025に出展しました。

1月29日から1月31日まで東京ビッグサイトで開催されたMEMSセンシング&ネットワークシステム展に出展しました。この展示会は、車載・自動運転、ビッグデータ、AI、ロボット、健康・医療、環境・エネルギーの分野にわたり、次世代センサーに向けた要素技術が集結し、産学官・異分野融合のマッチングを加速させ、研究・開発/製造・設計者が集まる場となっています。

先端技術総合研究所からは、「MEMS超音波センサ技術」、「赤外線イメージセンサ技術」「グラフェン光検出器技術」の3つの技術をデモ機や紹介動画を交えて展示しました。3日間多くの方にお越しいただき、たくさんの質問やご意見を伺うことができました。

◆開発者から◆
半導体を用いたセンシングデバイスは、普段直接目にすることはあまりないかもしれませんが、人やモノの動きや状態を計測・検知するキーデバイスだと考えています。新しいデバイスの開発は試行錯誤の繰り返しですが、その成果を展示会で多くの方に見ていただき、コメントを頂くことを楽しみにしています。今後も、社会課題の解決に向けてインパクトのあるデバイス開発に挑戦していきたいと思います。