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これだけは知っておこう、『中学⽣からの環境⽤語』 これだけは知っておこう、『中学⽣からの環境⽤語』

サステナビリティ サステナビリティ

サステナビリティ(Sustainability)とは本来「維持すること」「持ちこたえる力」という意味ですが、近年は地球環境や経済システムの持続可能性の概念として一般的に用いられるようになりました。

たとえば、ある村に果実がなり、たくさんの生物が住む森があるとします。その森の木を薪にするためにすべて切ってしまったら、果実はとれなくなり、生物たちはいなくなり、土地は痩せて薪にする木もなくなります。そうならないように将来の世代が必要な自然資本をきちんと残しておくことが持続可能な暮らしにつながります。つまり、資源を消費しつくして自然が再生できない状態にならないように、未来のことも考えて経済や社会活動を行いましょうというのがサステナビリティの意味するところです。

「サステナビリティ」という言葉と概念が最初に世界に広く認知されるようになったのは1987年の国連の報告書「Our Common Future」(地球の未来を守るために)です。報告書では、経済成長と環境保全の関係について「将来世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす」持続可能な開発が必要だと指摘しています。さらに1992年の国連環境開発会議(地球サミット)では持続可能な開発の実現のための具体的な方策が話し合われました。これにより「気候変動枠組み条約」や「生物多様性条約」が生まれ、世界の環境政策に大きな影響を与えました。

人間の活動による地球温暖化や生物の絶滅、資源の枯渇など現在進行中の環境問題は、人間そのものの存在を脅かし、これまでと同じような活動ができなくなる危険性をはらんでいます。そのため今やあらゆる国、地域、産業、企業、組織がこの「サステナビリティ」(持続可能性)の概念なくしては前に進めなくなってきています。

*この記事は2021年3月の情報を元に掲載しています。

現在、人間が消費している自然資源の量は地球1.7個分*1に相当し、
次世代に十分な自然資源を渡していけるかが懸念されている

地球1.7個分の自然を人間が消費している

*1:人間の活動において、地球環境に及ぼしている負荷の大きさを図る指標「エコロジカル・フットプリント」をもとに算出(グローバル・フットプリント・ネットワーク2018)

約50年前に指摘された「成長の限界」が現実のものになった? 約50年前に指摘された「成長の限界」が現実のものになった?

今から約50年前の1972年にすでに地球の持続可能性に警笛を鳴らす「成長の限界『人類の危機』レポート」が国連の最初の地球環境会議である「国連人間環境会議」に合わせて出されていたことをご存じでしょうか。このまま経済成長を続けたら、人口、食料、資源、汚染などの面で今後100年以内に地球上の成長は限界点に達し、食料や水、エネルギーの需要は追いつかず危機に瀕するだろうと“成長の限界”を警告したのです。これは当時MIT工科大学の教授だったデニス・メドウズ博士を中心とした研究グループが最新の経済学とシミュレーションモデルを駆使して分析し、民間のシンクタンク「ローマ・クラブ」が発表したものでした。

この時、日本は高度成長時代。レポートにも賛否両論があったものの、無限の発展の可能性は否定され、サステナビリティが大きな課題として浮かび上がったのはこの時からでした。50年後の今、私たちは実際に二酸化炭素の急拡大による気候変動や自然災害の多発、水ストレスの拡大、資源の枯渇など多くの課題に直面しています。半世紀前に出された警笛を今こそ真摯にとらえ、持続可能な社会へ転換することが早急に求められています。

アースライズ(地球の出)

1968年アポロ8号の乗組員たちが見た月から昇る地球の姿「アースライズ(地球の出)」。
人類が地球を外から見たのはこの時が初めてだった

サステナビリティへの危機感がSDGsを作った? サステナビリティへの危機感がSDGsを作った?

国内外で注目されているSDGs(持続可能な開発目標)が採択された背景には環境問題や資源の枯渇などサステナビリティへの危機感があるとされています。
そもそもSDGsは2000年の国連ミレニアムサミットで採択されたMDGs(Millennium Development Goals 「ミレニアム開発目標」)が基本となり発展したものです。MDGsは主に発展途上国の貧困、環境の持続可能性の確保などを目標としました。そして2015年をゴールとするMDGsは10億人以上が極度の貧困を脱し、子どもの死亡率は半分以下に減少するなど一定の成果をあげました。

気候変動の脅威が拡大し、資源の枯渇が迫るなど持続可能性への危機感がさらに高まる中、SDGs(持続可能な開発目標)は、MDGs(ミレニアム開発目標)が達成できなかったものを全うし、発展途上国、先進国を問わず国際社会全体に共通する問題を対象にしてさらに深化しました。つまりサステナビリティに対する危機感から生まれ、地球を持続可能なものにするために明確なゴールを示したものがSDGsと言えるでしょう。

ニューヨーク国連本部で「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」としてSDGsが採択された

ニューヨーク国連本部で「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」としてSDGsが採択された
United Nationsより(UN Photo/Cia Pak)

マグロが食べられなくなる!?漁業も「サステナビリティ」がキーワードに マグロが食べられなくなる!?漁業も「サステナビリティ」がキーワードに

マグロやウナギが、もうすぐ食べられなくなる!?近年、そんなニュースを時々耳にするようになりました。私たちが本マグロと呼んでいるマグロは世界で乱獲が進み、絶滅危惧種(IB類)として国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されています。中でも日本周辺を回遊する「太平洋クロマグロ」という種は、長期間の乱獲によって現在は本来の3.3%にまで激減しています。ウナギも同様に養殖に用いる稚魚の漁獲量、河川におけるウナギの漁獲量共に9割以上減少し、絶滅危惧種(IB類)に認定されています。この背景にはピーク時(1984年)から1/3以下にまで減少を続ける「日本の海の危機」があります。

魚を取りすぎれば枯渇し、漁業も成り立たなくなる。この水産資源の枯渇はまさにサステナビリティの問題です。日本では2020年末に漁業法が70年ぶりに改正され、“持続可能性”という言葉が法律に明記され、水産資源の管理が義務付けられるようになりました。

またサステナブルな漁業で獲られた水産物には消費者にもわかるように海のエコラベル「MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)」の青いマークがつけられるようになりました。MSCの漁業認証は、過剰な漁獲を行わず資源を枯渇させないこと、漁業が生態系に与える影響を考えること、ルールを尊重した管理システムを守ること、という3つの原則を用いて審査しています。日本国内でMSC漁業認証を取得している団体はまだ少ないですが、海外では普及しており、輸入物を中心に国内スーパーなどでもMSC認証が表記されて販売されています。

ルールを尊重した管理システムを守る漁業のイラスト

「MSCラベル」は水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業の普及を後押しする

MSCラベル

MSCの規格に適合した漁業で獲られた持続可能な水産物にのみ認められる「MSCラベル」