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CLUB DIATONE

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製品徹底レビュー
Product Review

DIATONE SOUND.NAVI
NR-MZ300PREMI

オーディオ評論家土方久明による
徹底試聴!!

試聴会の総論

ダイヤトーンの最新鋭センターユニット「NR-MZ300PREMI」を中心に、クラシック、ジャズ、ボーカル、アニソン等々まで多くのジャンルの楽曲を試聴した。
結論として「NR-MZ300PREMI」の再生音は、期待を大きく上回るものだった。筆者が感じた本機のアドバンテージは大きく4点ある。
まず1点目は、ライン出力、スピーカー出力、両者とも情報量が多いこと。2点目は聴感上のS/N比が高くノイズフロアが低い、つまり小レベルの音がスポイルされず、サウンドステージの表現に長けていること。3点目は内蔵アンプの音が良かったこと。4点目は、音色にクセが少なく音源が持つ音色や音調をアキュレイト(正確)に表現できていたことだ。
この特長は、筆者が出向くコンテストでエントラントの車を聴いていた時とある程度共通しており(もちろんインストーラーの個性が反映されるが)、今回の取材でも改めて実感した次第だ。

試聴環境

DAOKO × 米津玄師
「打上花火」

1970年生まれの筆者でも、米津玄師の楽曲を聴くと鳥肌が立ってくる。彼は稀に見る逸材だと思う。
「打上花火」は、日本人のラップ・シンガーDAOKO名義の楽曲で、米津玄師がプロデュースをしている。
YouTubeの動画再生回数2億5千万回以上、ビルボードジャパンのHot100総合シングルチャートで1位となり、紅白出場へ導く原動力となった楽曲だ。
音質も良く、今回のシステムで再生すると、曲冒頭のDAOKOの憂いのあるボーカルの距離がリスナーと近く、センターユニットとスピーカーの性能の高さが実感できた。さらに、楽曲の4:00前後から始まる2人のコーラスパートで声が混濁せず明瞭に分離するのは特筆点。
音の広がりも良好で、メロディアスな楽曲と相まって心に入り込んでくる。ここはセンターユニットとスピーカーの持つ高い音楽性が生かされた部分だ。
本楽曲はハイレゾ音源のため情報量の高さを生かしたいところだが、センターユニットの表現できる情報量が秀逸で、解像感の高さをスポイルせず、そのまま再生してくれるところは驚いた。街中でもよく流れている楽曲を改めて良い音で聴くと、感動の値が大きく上がる。
DAOKOと米津玄師は、「ニコニコ動画」に投稿しファンを増やした経歴を持つ。現在は動画配信出身のアーティストが増えており、音楽業界も注目している。
なぜなら、彼らがメジャーデビューする時点では、すでに熱狂的なファンがいるのが理由だ。時代の変貌を強く感じさせる1曲だった。

松田聖子
「青い珊瑚礁」

1980年に18歳でデビューしてスターの階段を駆け上がった松田聖子。
誰の心にも残るメロディアスな楽曲を数多くリリースした、80年代の日本歌謡界を代表するアーティストだ。今も彼女が歌う数々の楽曲のメロディーを覚えている方も多いはず。
筆者がアテンドする試聴イベントでも松田聖子の楽曲をかけると盛り上がるし、リクエストされることも多い。彼女の楽曲は、幅広い世代に今でも人気があるのだ。
「青い珊瑚礁」は1980年7月にリリースされた2枚目のシングルで、アルバム「SQUALL」に収録されている。とにかく感心するのは、今聴いてもドキッとする、チャーミングで素晴らしい彼女の歌唱力だ。今の楽曲と比べるとワイドレンジではないが、当時多くの歌謡曲で聴くことができたバランスの良い音だ。
試聴をしていて気がついたのだが、このシステムは楽曲に対して正しい解釈で音を鳴らしてくれるというアドバンテージがあること。多くのオーディオファンが目標としている言葉の一つに「原音再生」という言葉があるが、本システムから聴こえる音は、まさにそれで、その時代の音色や音調を変えることなく、アキュレイトに再生してくれる。
安価なセンターユニットは音が支配的になる傾向があるが、流石にグレードの差を聴かせてくれた。スピーカー中央には当時らしく少しエコー成分のかかった彼女のボーカルが明瞭に浮かび上がり、空間表現力の秀逸さを改めて実感した。ここもセンターユニットの性能の高さによる所以だろう。
音源の情報を忠実に再現するから、筆者自身が当時、松田聖子を聴いた時に感じた新鮮な感覚を思い出した。彼女はいわゆるアイドルだが、現在のJ-Popシーンを見渡してもこんなチャーミングながら歌詞とリンクできるような感情を声で表現できるアーティストはなかなか出てこないだろう。

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