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読む宇宙旅行

2011年6月 vol.03

新宿高層ビル街も迷わない。
「みちびき」走行実験で測位率アップ

 準天頂衛星初号機「みちびき」は、日本のほぼ真上にあって、都心でもビルの影に隠れたりしない。だから測位できる時間や場所がGPS衛星だけの時よりぐっと広がって、カーナビなどの測位性能がアップするんだよ・・という話を説明会で何度も聞いた。で、実際どうなのかという走行実験が2011年1月〜2月に実施された! 場所は超高層ビルが立ち並ぶ「新宿」。そして狭い道の両側にビルが林立する街「銀座」。その結果が地図上にくっきりと表示された!(下図1と2)

<図1>「新宿」の測位結果。左がGPSだけ。右がGPS+「みちびき」。地図中、南北の道路で大幅に測位率が改善。

<図1>「新宿」の測位結果。左がGPSだけ。右がGPS+「みちびき」。地図中、南北の道路で大幅に測位率が改善。

<図2>銀座の測位結果。左がGPSだけ。右がGPS+「みちびき」。銀座4丁目から東、道路が狭い細街路地域もしっかり測位。

<図2>銀座の測位結果。左がGPSだけ。右がGPS+「みちびき」。銀座4丁目から東、道路が狭い細街路地域もしっかり測位。

 新宿では1月21日(金)に160分間、銀座では2月19日(土)250分間、計測車両に「みちびき」対応受信機を搭載して走行実験を実施した。結果はGPSのみで28.5%だった測位率が「みちびき」を加えると70%にアップ! 2.5倍だ。都庁周辺など、GPS衛星だけではカバーできなかった道路がしっかりと計測され、高架下や樹木の影をのぞけばほとんどの場所で測位できたという。一方、銀座は幅約4mという狭い道路の両脇にビルが密集する。車から見える空が極めて狭い地域だ。その銀座でも「みちびき」効果で測位率69.1%と7割近くを達成。じゃあ、あと3割はどうするの? と言えば、通常のカーナビに使われている低価格のジャイロの情報を取り込むことで100%の測位が実現できるとのこと。

 驚くのはまだ早い。ここまではカーナビなどで用いられる「一般測位」のお話。さらに測量に使われる数cmの精度で新宿や銀座を測位できるかという「高精度測位実験」も実施された。高精度測位には5個以上の人工衛星が見えている必要があるなど条件が厳しくなるが、新宿で従来の4倍、銀座で2倍という結果が得られた。この情報は、例えばカーナビに必要な地図を作るモバイルマッピングなどにいかされ、その成果物としての高鮮度で高精度な3D地図により、車線ごとのレーンナビゲーションや車と車の間の車間制御が可能になる。さらに高さ情報も得られるので、ハイブリッド車や電気自動車が坂道が少ない走行ルートを選ぶ経路計画などにも使えるという。三菱電機(株)鎌倉製作所技術部の瀧口純一専任部長は「安全・安心、エコな運転支援が実現できる」と話す。

 これだけスゴサを説明されると、実際に自分でも使ってみたくなる。「みちびき」の信号を受信処理するためには、一般のGPS受信機/チップのソフトウェアを変更するなどの改修を行なう必要があり、JAXAはそのサポートを行っている。現在、国内、海外の8社からJAXAの対応サポートへの応募があるそうで、今後市販される可能性もある。その時期は6月中旬以降。ぜひビル街の運転や街歩きで、その性能を実感してみたいものですね。