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お米に関する講座

ごはんをよく噛む健康法 その3「子供の咀嚼力と玄米の話」

よく噛む。それだけでごはんはおいしくなります。
前編と中編では、噛むことが健康な体作りにいかに役立っているか。唾液の分泌、血糖値のコントロール、筋肉の使われ方など、さまざまな面から「よく噛むこと」の大切さを知りました。シリーズ最終回は「子供の咀嚼力」と「玄米」のお話です。今回も日本健康食育協会代表理事で管理栄養士の柏原ゆきよさんに話を聞きました。

――「よく噛む」ことが健康や体にいい。頭では十分にわかっていても、大人でも実行に移すのはなかなかたいへんです。

柏原さん 本当に「噛むだけ」なんです。食べるという機会は、一日に何度も訪れるので習慣化してしまえばかんたんですし、とりわけ、食いしんぼうの人なんて、よく噛む素養があると考えてもいいくらい。そのおいしさをより満喫できるのが「よく噛むこと」です。粒感のあるお米は噛む楽しみを感じやすい。しかも、ごはんは噛むほどに甘味が増しておいしくなる。自然とよく噛む習慣をつけやすい食べ物なんです。

――そう考えると、子供でも「よく噛む」習慣を身につけられる……?

柏原さん むしろ子供のほうが「よく噛む習慣」を身につけやすいという一面はあるかもしれません。長年かかって身についた食習慣を方向転換するより、これから習慣を身につける子供のほうが受け入れやすいとも言えます。大人が一緒になって「よく噛む」ことを楽しめば、マネをすることで自然と習慣づけられる例もありますよね。

――近年、子供の咀嚼力が落ちているという話を耳にする機会が増えました。

柏原さん やはり気になるのは食事の内容です。茶碗に盛ったごはんを食べる機会が減り、代わりにうどんやパスタなど、やわらかい麺料理ばかりを食べさせる大人が増えている印象があります。ごはん物にしても、カレーや丼ものなどの汁気の多い一皿料理は噛む習慣がつきづらい。他にもフライドポテトやハンバーガーといったファストフードは、噛んでも噛まなくても味に大差はありませんし、子供が大好きなプリンやヨーグルトなどは、お世辞にも噛む力を鍛える食べ物とは言えません。

――やはり子供の頃から、咀嚼する力を鍛えておくことは大切ですか?

柏原さん そうですね。経口摂取する力はそのまま生きる強さと言い換えられるくらい、大切な能力です。そもそも子供が甘いものが好きなのは、手軽に糖質を摂取するという刺激が得られるという面もあります。ごはんはよく噛めばマルトースという甘い糖に変わります。これは子供にとってもおいしい、甘いもの。「よく噛む」という習慣は食べるものをおいしくする習慣でもあるので、小さな頃から栄養を吸収しやすい状態を作っておけば、生涯にわたっての栄養を摂取する土台が強くなるわけです。

――噛む力を鍛えるとなると、硬いものを食べさせたり……?

柏原さん いえ、無理に硬いものを食べる必要はありません。それで食べることへの興味が失われては元も子もありませんから。それよりも正しい食べ方、咀嚼の仕方や回数を習慣づけることを目指すといいと思います。

食事の喜びを覚えてもらい、大人になったときに十分に咀嚼にまつわる筋肉を動かし、消化に役立つ機能をしっかり働かせられるよう、子供のうちに土台を作るのです。咀嚼に役立つから、と子供にとって食べにくい玄米のような食材を無理に食べさせる必要はありません。もちろん大人が食べていて、本人が喜んで食べるならどんどん食べてもらっていいと思いますが。

――いま話に上がった玄米ですが、子供はもちろん大人にとっても「よく噛む」ことが求められる食材ですよね。

柏原さん そうですね。実際、玄米、白飯、軟飯、お粥を口に入れてから嚥下までの咀嚼回数を比較した実験(※)があるのですが、もっとも硬い玄米が一番咀嚼回数が必要だと報告されていて、一般的な白米のおよそ2倍、軟飯の3倍、お粥の8倍以上の咀嚼回数が必要とされています。筋活動量としても、白米の2倍以上、軟飯の3倍以上、粥の17倍と明らかな有意差が出ています。ごはんを玄米に切り替えると、自然に「よく噛む」ことができるようになる食材です。

――栄養面でも、白米よりも玄米のほうが高いというイメージがあります。

柏原さん 白米と玄米を炊いたごはん100g同士で比較すると、エネルギー量以外のすべてで玄米のほうが成分が多くなります。食物繊維は白米0.3gに対して、玄米1.4gが含まれています。

――食物繊維はどんな役割を果たす成分なのでしょうか。

柏原さん 食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。よく知られているのは、腸内で乳酸菌などの善玉菌の割合を増やして、腸内環境を調える役割ですね。また体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外排泄を促進し、血中コレステロール値を下げる作用や、食後の糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える作用もあります。

――糖を摂取しても、血糖値の上昇がゆっくりになるんですね。

柏原さん ごはんにも糖が含まれているので血糖値はあがります。でも、そのごはん自体に食物繊維が含まれています。ごはんを食べても、血糖値がそれほど急激に上がるというわけではありません。

――ビタミンEも玄米には含まれていますよね。

柏原さん 玄米に含まれるビタミンEは血管を健康に保つほか、血中のLDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりする作用があることが知られています。また、玄米には食物繊維やビタミンEのほか、ミネラルも豊富に含まれています。

――そして何よりも、「よく噛む」ことが大切だと。

柏原さん そうです。食べ物の成分も大切ですが、バランスはだいたい取るつもり、くらいでちょうどいい。それよりも意識を「よく噛む」に置けば、筋活動量が増えるのは間違いありませんし、噛むほどに食べ物はおいしくなり、味への理解も深まっていきます。

ただ、いずれの成分もお米だけで一日の必要量が摂取できるわけではないので、ごはんを中心におかずもバランスよく召し上がっていただきたいですね。

柏原ゆきよさん

1973年生まれ。管理栄養士。一般社団法人日本健康食育協会代表理事。女優、モデル、経営者、アスリートなど延べ10万人以上の食生活をサポートした。「食べて飲んでおなかからやせる」(かんき出版)、「お腹からやせる食べ方」(三笠書房)など著書多数。

三菱IHジャー炊飯器<本炭釜 紬> 噛んで味わうおいしいごはん。

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