三菱ジャー炊飯器

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活動レポート

2019年度契約水田お米栽培プロジェクト

稲の成長記録レポート

三菱電機が宮城県登米地区の契約水田で実施している、「お米栽培プロジェクト」。今年はササニシキ、ひとめぼれ、東北194号の3銘柄を栽培。実はお米も、コーヒー豆をブレンドしておいしいコーヒーをつくるように、いいお米同士を上手くブレンドすると、ごはんがおいしくなる。そこで今回は、五つ星お米マイスターの佐藤さんと協力し、三菱電機のジャー炊飯器「本炭釜 KAMADO」で炊くからこそおいしい、最高の一杯を目指すために、3銘柄を合わせたオリジナルブレンド米づくりを行います。

今年は何人かのルーキーも参加して田植えから収穫まで、お米づくりの名人農家や、五ツ星米マイスターの方とともにお米づくりにまつわるすべての工程を体験、レポートしていきます。

契約水田お米栽培プロジェクトとは

成長記録Vol.2 稲刈り

米農家

木村忠義さん

北上川の流れる宮城県登米地区で、代々米農家を営むお米づくりの名人。土壌や品種、気候をにらみながらのきめ細やかなお米づくりの技術には定評がある。手がけるお米はもちろん引っ張りだこで、一般流通前の試験品種の栽培実績も多数。

五ツ星お米マイスター

佐藤貴之さん

米どころ、宮城県における五ツ星お米マイスター第一人者。お米の品種、炊飯特性、ブレンド、精米など、お米にまつわる幅広い知識を持つ。本炭釜 KAMADOの「銘柄芳潤炊き」など炊飯器の炊き分け炊飯モードの開発にも携わる。

地元農家

渡辺さん・小松さん

今回、地元農家のお二人が、手伝いに駆けつけてきてくれました。

三菱電機

本炭釜 KAMADOチーム

三菱電機のフラッグシップ炊飯器「本炭釜 KAMADO」にまつわる社内横断チーム。田んぼ歴10年以上のベテランもいるが、「田んぼに入るの、初めて!」という初心者も。素朴な視点と疑問を携えて登米の地にやってきました。

お米は大自然の恵みだということを、改めて学んだ2019年

さあ今年もいよいよ収穫の秋。
今年も三菱電機の本炭釜 KAMADOチームが宮城県は登米を訪れ、収穫に向けて意気 揚々と登米を訪れ……たのですが、気がかりなことがありました。今年の刈り入れは、列島に甚大な被害をもたらした台風19号が東日本にひたひたと近づきつつある頃だったのです。もっとも10月10日の朝はまだ天気が良かったので、期待半分、不安半分でKAMADOチームは登米に入りました。

現場に入ってみると、見事稲穂がこうべを垂れています。
晴れ渡る空!実る稲穂!期待がぐんぐん高まります!

しかし田んぼで会った木村さんと佐藤さんの顔は晴れ渡る天候とは裏腹に少々曇り気味。

佐藤

今日は湿った潮風がふだんと違う方角から吹いていますからね。明日は恐らく雨。その上、台風……となると、明日の刈り入れは厳しいかな……。

木村

今年は米どころの作柄がよくないみたいでね。7月下旬から8月上旬までの出穂期前に光合成が必要なんだけど、特に東日本は7月まで冷夏で日照時間も少なかった。しかも8月の出稲期(籾殻の中でお米の粒が成長する時期のこと)になって猛暑に襲われた。そこへ来て刈入れの時期に台風だからねえ……。

そう。2019年の天候不順は、東日本を中心に米の作柄に大きく影響を与えました。7月までは冷夏で米が未成熟なまま出穂してしまい、8月に入った途端いきなりの猛暑。一気に高温にさらされると、実がしっかり育っていない籾も多くなってしまいます。ある調査では、日中温度34℃が7日間連続すると整粒歩合が約7%低下。夜間温度の方も28℃が7日間連続すると約10%低下してしまうのだとか。

木村

本当は明日が本番の稲刈りの予定だったけど、今日刈れるところは刈っちゃいましょう。刈った米は、杭にかけて水分量15%程度になるまで2週間ほどかけて、乾燥させる必要がある。いずれにしても、今日できるところを刈りましょうか。

とるものもとりあえず、進められる作業を進めることに。まずは稲刈りからスタートです。

今年はひとめぼれ、東北194号、ササニシキの3種類を植えましたが、まずは低い位置の田んぼに植えた「ひとめぼれ」から刈っていきます。天日干しにするなら、コンバイン(稲を刈り取って、脱穀し、選別を行う農器具)ではなく手押しタイプのバインダー(稲を刈り取って、結束を行う農器具)で稲を刈っては脇にまとめる、を繰り返していきます。

刈り取りを終えたら次は杭がけです。

米の天日乾燥では「はさがけ」がよく知られています。竹や木を物干しのように竿状に組み、刈った稲を束にしてかけていくやり方ですが、登米など東北の一部地域では、「杭がけ」が一般的。土中に杭を深く打ち込み、横木を結び、その上に束にした稲わらをかけていきます。

と、言葉にすると簡単ですが、まずは田んぼに杭を打ち込むのがたいへん。

田んぼに穴を空け、そこに杭を打ち込むのですが、台風が迫っていることもあり、例年よりも深く、しっかりと打ち込まなければいけません。

空けた穴の中心めがけて、思い切りドーンと杭を打ちます。

お二人からもエールが飛びます。

木村

一発で決めてなー!

佐藤

中心からズレて、打ち直すとその分、不安定になっちゃいますからねー!でも台風来てるから、思い切り深く打ち込まないと倒れちゃうかもしれませんよー!

こ、これはたいへん。目標に対して狙いすまさないといけないし、その上、いつもよりも深く打ち込む必要がある……と。

しかも横木も万一の増水などを警戒して、例年よりも高めに結びます。ひとめぼれの田んぼ用に全17本を打ち込み、横木を結わえたらいよいよ「かけ」の作業。2束を一組にして縦、横、縦、横と十字になるように稲わらをかけていきますが、稲わらが意外と重い……。

木村さんや佐藤さんの手を借りても、杭掛けが終わる頃には日は傾いてしまっていました。

10日の作業はいったんここで終了です。

さて明けて11日、本来の作業日です。
田んぼに足を運んでみると、台風が迫る中、風こそないものの雨は降っています。

木村さん!なんとか刈れたりしませんか?

木村

うーん。やっぱり今日の天気だと厳しいねえ。残り2種類は台風後に水が抜けてからの刈り入れかな。

ざ、残念……。
でも台風の間、ササニシキと東北194号を刈らずにそのままにしておいて大丈夫ですか。まだ台風が来ていないのに、田んぼの真ん中あたりには倒伏している稲もありますし……。

佐藤

田んぼの中央部分の倒伏は、お米が成長しきって穂が重くなっているんです。成長しきった稲はもう水を吸い上げるわけじゃないので、台風が稲の質に影響を与えるということはないと思いますよ。ただ、水が抜けないとぬかるんで刈り入れができないので、残りを刈るのは少し先になると思います。

このプロジェクトが始まって7年目にして、初めて天候に恵まれず……と肩を落とすKAMADOチームに木村さんが声をかけます。

木村

大自然を相手にしているんだから、雨風で思うようにならないことがあるのは当たり前。むしろこれまで一度も降られなかったのが不思議なくらいだよ。これはこれでいい経験なんじゃない。

さていよいよ次回は2019年のプロジェクトの最終回、脱穀・ブレンド。しかしその前にササニシキと東北194号は台風19号に耐え、無事に刈り入れを迎えられるのでしょうか。