「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発行した「DXレポート」に登場した言葉であり、企業に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を訴える内容となっています。
その背景には、2000年代以前に各企業が導入した基幹システムをはじめとするレガシーなITシステムの多くが、「近年のDXの潮流であるAIやIoTを活用する上で障壁になる可能性がある」と指摘されています。
2025年1月22日
「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発行した「DXレポート」に登場した言葉であり、企業に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を訴える内容となっています。
その背景には、2000年代以前に各企業が導入した基幹システムをはじめとするレガシーなITシステムの多くが、「近年のDXの潮流であるAIやIoTを活用する上で障壁になる可能性がある」と指摘されています。
2000年頃に訪れたITブームでは、インターネット技術の普及を中心に、場所や時間を問わず扱えるデータの量と質が飛躍的に向上しました。当然、ハード・ソフト両側面での技術的制約があり、サービスライフサイクルや拡張性を考慮したシステムは少なかったと言えます。
また、当時のITシステムで主流であったプログラミング言語やプラットフォームは、技術トレンドの変化により、それらを扱えるエンジニアが減少しています。レガシーシステムの維持・管理が技術的にもリソース的にも難しい段階に入りました。
こうした状況が、2025年前後に集中的に発生すると予測されていることから「2025年の崖」と呼ばれています。
メンテナンス性が悪くなったレガシーシステムは、セキュリティーリスクが飛躍的に増加します。特に、長い稼働期間の中で度重なる改修が加えられ複雑化したシステムは、思わぬ脆弱性が発生するなど、リスクの特定や対策が十分に施せません。
また、サイバー攻撃によって基幹システムのような大きなシステムが攻撃された場合、会社や工場といった単位で障害が生じ、復旧まで数日を要する事例も珍しくありません。
ビジネス面で大きな損害を被る危険性を踏まえると、レガシーシステムを使い続けることは、とてもリスキーであると言わざるを得ません。
近年、DXは業界や職種を問わず急速に進んでおり、新たなシステムやサービスが目まぐるしいスピードで誕生しています。
一方で、レガシーシステムを使い続けた場合はDX化が遅れ、競争力が失われると「DXレポート」内で指摘されています。単に「生産性が改善できない」といった側面にとどまらず、ユーザーの要求に満足に応えられずに、ビジネスでの機会損失につながる側面を含みます。
多種多様なユーザーニーズに応えるためには、生産管理のDX化によるサプライチェーンの効率化が必要不可欠です。
<出典>
経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー) 」
基幹システムは、販売管理・在庫管理・生産管理・財務会計といった業務を一元管理し、効率よく行うためのシステムです。
特に、生産管理システムは製造業にとって影響範囲が広い大型システムのため、特定の部門や部署だけでは更新を完結できません。そこで、生産管理システムを更新する際の課題と対応策について紹介します。
レガシーシステムの更新時には、システム更新前後のデータ互換性を確保し、過去のデータ資産やナレッジを活かしつつ、システム間の連携を検討すると良いでしょう。
シームレスなデータフローと効率的な情報共有を実現し、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンの全体最適化を実現することで、業務効率化と生産性向上が期待できます。
新たなシステムを導入した後の運用やオペレーションの観点から、自社の業態や生産方式に最適なシステムを構築する必要があります。
レガシーシステムの業務オペレーションは年月をかけて最適化されてきたものではありますが、新たなシステムの仕様やプラットフォームの違いにより、従来と同じオペレーションが実現できない点も考慮しなければなりません。
新たなシステムを導入したがゆえに生産性が落ちたり、手戻りが増えたりといった“改悪”は避けなければならず、求められる仕様から要件定義する段階で「変えられないオペレーション」と「変えられるオペレーション」を整理する必要があります。
また、システムを導入する際にはオペレーションマニュアルの作成や担当者への教育も考慮し、同時進行で準備を進める必要があります。
製造業の組織は、多くが開発・管理・製造・品質保証など機能別に配置され、それぞれの責任分野において業務を遂行します。
通常の業務フローであればこうした役割分担型の組織が適している一方で、生産管理システムの更新のような大きなプロジェクトを実施する場合は、通常の組織とは切り離したプロジェクトチームを構築することがポイントです。
役職や立場にとらわれずに、組織横断でコミュニケーションの活性化を推進し、風通しの良い情報共有やスピーディーな意思決定を目指します。
また、システムの導入後も教育やシステム改修を継続的に実施できるチームを構築する必要があります。チームではさまざまな専門性やスキル、利害関係を持つメンバーを選出し、多様な側面からシステムをレビューすることで、特定のセクションにメリットが偏らないようにします。
社内のパワーバランスを考慮した判断は極力排除し、先述したオペレーションの変更なども含めた全体最適を目標として、プロジェクトを推進しましょう。
日本のDXがなかなか進まない要因として、「生産管理システムを含めたDX関連の設備投資を、従来の設備投資と同様の観点で捉えている」という指摘も耳にします。
実際に、DX関連の投資は効率化や自動化という視点だけでは、投資を上回る効果を必ずしも生み出せません。
ここからは、DX関連の設備投資に必要な視点について解説します。
レガシーシステムを使い続けるリスクに起因した「ビジネス機会の損失」の回避という点は、投資効果として数値化が難しい点です。
一方で、機会損失を防ぐためにはユーザーと取り決めた納期通りのデリバリーが必要で、その観点から
など、コストだけでなくデリバリーの観点でも投資の必要性が高いことをアピールできます。
「コンプライアンス遵守」には「法令遵守」のイメージが強くありますが、適切なガバナンスのもとで社内規則や顧客との取り決め事を遵守し、品質面に問題のない製品やサービスを提供することも「コンプライアンス遵守」に含まれます。
例えば、
といった、品質そのものの観点に加え、トレーサビリティやガバナンス体制の確保といった視点も、DX関連投資が生み出す投資効果としてアピールできます。
2000年代に導入された生産管理システムなど、基幹システムが更新の時期を迎えました。こうしたレガシーシステムを使い続けることは、セキュリティーリスクやビジネス機会損失のリスクに直結します。DX推進を足止めする要因でもあり、日本の製造業における大きな課題です。
一方で、基幹システムの更新には多くの資金及び人的なリソースが必要になります。システムの更新は数年単位でのプロジェクトになる場合もあり、計画的に進めていくことが必要です。
必要な機能や要件を明確にし、自社にとってベストなシステムを導入するために、信頼できるベンダーの活用も検討しましょう。
当社が取り扱う、SCM/ERPシステム『mcframe』は
など、さまざまな強みがあります。
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伊藤 慶太
技術士(機械部門) 専門:加工・FA及び産業機械
現在は情報機器メーカーの生産技術職として生産設備のIoT化やデータ活用に携わる、現役エンジニア。過去にはプレス加工企業でのNC加工機による部品加工や、産業向け機械要素メーカーでの工程自動化設備の導入計画、機械設計、電気設計、制御設計、製作、立ち上げ、量産導入、改善活動など製造業における自動化設備関連業務を幅広く経験。