デジタル技術の急速な進化により、企業間取引を取り巻く環境は大きく変化を遂げました。EDIは、これまでFAXや紙媒体を利用して行ってきた取引をオンラインで行い、データをやり取りするフローを標準化することにより、企業間の取引情報を正確にかつリアルタイムに共有する仕組みです。
これまでEDIは、大企業とその取引先や特定業界において利用されていました。しかし、近年では中小企業にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せ、業務効率化を図る有効手段として導入が進みつつあります。
2025年5月14日
デジタル技術の急速な進化により、企業間取引を取り巻く環境は大きく変化を遂げました。EDIは、これまでFAXや紙媒体を利用して行ってきた取引をオンラインで行い、データをやり取りするフローを標準化することにより、企業間の取引情報を正確にかつリアルタイムに共有する仕組みです。
これまでEDIは、大企業とその取引先や特定業界において利用されていました。しかし、近年では中小企業にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せ、業務効率化を図る有効手段として導入が進みつつあります。
EDIには、いくつかの種類があります。
大企業や特定の業界では「個別EDI」や「業界VAN」が主流でした。
従来のEDIは、大企業が取引先に導入を求めるケースが多く、中小企業にとってはコストやシステムの互換性の問題がハードルとなっていました。
しかし、近年は多くの企業が取引のデジタル化に取り組む時代となり、「WEB-EDI」の普及や「中小企業共通EDI」の登場により、中小企業でもEDIの導入が進んでいます。
「中小企業共通EDI」は、異なる取引先間でも統一された規格でデータ交換を可能にし、企業ごとに異なるEDIシステムに対応する負担を軽減する仕組みとして活用されています。
従来、EDIなどのシステムを用いていない中小企業では、企業間取引における多くの業務を企業独自のシステムで行なっていました。こうした取引の際には、いくつかの課題があります。
書面を紙で作成している場合には、印刷・郵送・保管にかかる費用が負担となります。金額的なコストにとどまらず、保管スペースの確保や保管期間経過後の廃棄の際にも費用が発生します。
また、紙での長期保存は経年劣化や紛失のリスクが伴います。必要な情報を確認する際にも時間を要するため、業務効率を低下させる大きな要因となります。
取引先ごとに帳票のフォーマットや提出方法が異なる場合、各取引先に応じた業務フローで作業を進める必要があります。
複数のフォーマットに対応する必要がある場合、業務の標準化が進まず、業務効率が低下します。
また、社内で特定の担当者しか対応できない場合、業務の属人化を招きがちです。担当者が不在の場合など、業務をスムーズに進められないリスクが生じます。
多くの企業では複数の業務システムを併用しており、それぞれのシステムに同じデータを入力する場合があります。
二重入力の手間は、時間を無駄にするだけでなく、入力ミスなどヒューマンエラーの温床になります。
システム間でデータの更新がうまくいかず、データの不整合が起こる場合もあります。データの不一致により、取引先とトラブルを起こしかねません。
チェック項目を増やすことによる作業時間の増加や、データの整合性を確保するための修正作業など、本来不要な人的コストが発生します。
上記のような課題を解決する手段として、EDIの導入が効果的です。EDIを活用し、EDIからのデータと自社の基幹システムを連携することにより、業務全体の効率化と正確性の向上を実現できます。
EDIを導入し、基幹システムと自動でデータ連携を行うことにより、それまでは特定のメンバーに依存していた業務の自動化が可能です。
EDIの導入は、業務コストを削減する効果があります。
EDIは、企業間取引の効率化による各種コストの削減を可能にするツールとして活用されています。
EDIからの取引データを基幹システムと連携させることにより、大きく受発注業務を効率化できます。
EDIの導入は、サプライチェーン全体の効率化にも大きく役立ちます。
EDI導入までの一般的なプロセスについて解説します。
まずは現在の受注や発注に関する業務フローや課題を洗い出しましょう。具体的には、以下のポイントを確認します。
この段階で課題を正確に把握することでEDI導入の目的が明確になり、より自社にマッチしたシステムの選定が可能となります。場合によっては、EDI導入後の基幹システム連携を踏まえると、基幹システム自体を見直さなければならないかもしれません。
現状分析を踏まえ、業務内容に最適なEDIシステムもしくはEDIに対応している基幹システムを選定しましょう。選定時には以下の点を確認します。
EDIの導入時には、取引先の協力も欠かせません。データフォーマットの統一や導入スケジュールの通知などのさまざまな調整が必要です。
本格運用の前には、必ずシステムのテスト運用を行いましょう。テストでは主に以下の項目を確認します。
運用時のトラブルを最小限に抑えるためにも、課題点をクリアにしましょう。
テスト運用後、実際にEDI運用を開始します。取引でトラブルを起こさないように、以下の点に気をつけましょう。
EDIの導入を成功させるために、3つのポイントを意識しましょう。
EDIの導入により、既存の業務フローが大きく変更される場合があります。そのため、取引先や社内の関係部門とスムーズな連携が欠かせません。
上記のように情報共有を意識して、EDI導入後の効果的な運用を目指しましょう。
EDIでは重要な取引データを取り扱うため、セキュリティーの確保も重要です。
新たなシステムを効果的に運用するためには、社員教育も必要不可欠です。EDI導入後に、仕組みや業務フローを社員が理解できるように取り組み、安定運用を目指しましょう。
EDIは企業の業務効率を向上します。一方で、最大限に活用するには既存の業務フローの再構築や社内外とのコミュニケーション、社員教育などの取り組みが必要です。着実に導入を進めながら、業務効率を向上するEDIシステムの導入を成功させましょう。
渋田 貴正
税理士/司法書士/社会保険労務士
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、証券アナリスト、上級相続診断士。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務 を行う。