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2026年7月28日

VPNがサイバー攻撃の標的に!代替手段として注目のゼロトラストを解説

経営・マネジメント セキュリティー 経営戦略 近年、場所を問わない働き方が定着する一方で、企業のネットワーク境界を守ってきた従来型のVPNが限界を迎えています。かつては安全な通信の象徴であったVPNですが、現在はサイバー攻撃者にとって“効率的な侵入口”となりました。

多くの企業がテレワーク環境を急ピッチで整備した結果、脆弱性の放置や管理不足により、深刻なセキュリティー事故が相次いでいます。こうした背景から、従来の境界防御に頼らないセキュリティーの考え方である「ゼロトラスト」への移行が急務となっています。

本記事では、VPNが抱える具体的なリスクに触れ、代替手段として注目されるゼロトラスト、及びゼロトラストの代表的なソリューション「Zscaler(ゼットスケーラー)」の特長について詳しく解説します。

目次

限界を迎えたレガシーVPN。急増するSSL-VPNを狙う脅威とは

テレワーク普及で構築された従来型VPNが、現在サイバー攻撃の標的となっています。多くの組織が古いパッチ管理や設定の不備を突かれ、ランサムウエアなどの甚大な被害に遭っているのが現状です。

主要ベンダーもSSL-VPNの廃止に動くなど、時代は明確に「脱VPN」へとシフトしています。

限界を迎えたレガシーVPN。急増するSSL-VPNを狙う脅威とは

ランサムウエアの侵入口となるSSL-VPNの実態

現在、ランサムウエア攻撃の侵入経路として、VPN機器の脆弱性が狙われています。警視庁のレポートでも指摘されている通り、攻撃者は公開された脆弱性を突いて認証情報を盗み出し、正規ユーザーになりすまして内部へ侵入します。

一度侵入を許せば、ネットワーク内を自由に移動され、基幹データの暗号化や窃取といった企業活動を揺るがす大きな被害につながる可能性があります。VPNに依存する構成は、組織にとって致命的なセキュリティーホールであると認識すべきでしょう。

主要ベンダーも警鐘。従来型VPNの終焉と見直しの急務

世界的なUTM(統合脅威管理)の開発・製造メーカーであるアメリカのFortinet社は、2027年5月にSSL-VPNの廃止を表明しています。これは、従来型VPNの設計が現代の高度なセキュリティーの脅威に耐えられないことを示しています。

長年利用されてきたSSL-VPNは、度重なるゼロデイ脆弱性の発覚と、それに伴う緊急パッチ対応により、管理者の負担を増大させました。大手ベンダーが公式に廃止を打ち出したことは、ネットワーク構成の根本的な見直しが必要な時期であることを示唆しています。

既存のテレワーク環境を放置し続けるのではなく、安全かつ効率的なアクセスを実現するために、“脱VPN”へ舵を切ることが企業の事業継続における最優先課題です。

VPNへのサイバー攻撃による被害事例

VPNを狙った攻撃は単なる情報漏洩にとどまらず、全システムの停止という深刻な事態を招く可能性があります。内部ネットワークに侵入後、バックアップデータまで破壊されるケースもあり、復旧には膨大なコストと時間が必要です。

この項では、VPNの脆弱性が招いた具体的なサイバー攻撃による被害事例について解説します。

【事例1】VPN機器の脆弱性放置が招いた基幹システム停止と業務への影響

ある組織において、VPN機器のパッチ更新の遅れによってランサムウエアの侵入を許し、基幹システムが長期間停止する事案が発生しました。

攻撃者は既知の脆弱性を利用してVPNの管理権限を奪取し、ネットワーク経由で内部の重要サーバーや業務システムまで到達しました。結果として、数日間にわたり社内業務や工場などの制御・管理システムが麻痺し、新規取引の停止、出荷やサービス提供の延期を余儀なくされるなど、サプライチェーンや顧客に対して甚大な影響を及ぼしました。

ランサムウエアの侵入を許すと、VPN経路を通る攻撃を内部から検知することは難しく、被害が全システムに波及しやすいという構造的な弱点があります。定期的なパッチ適用だけでは防ぎきれないゼロデイ攻撃への懸念もあり、境界防御に頼るリスクが改めて浮き彫りになった事例です。

【事例2】盗まれた認証情報による大規模なサービス停止と情報漏洩

ある組織において、フィッシングなどの攻撃により従業員のアカウント情報が窃取され、それを足がかりにネットワーク内への侵入を許す大規模なサイバー攻撃が発生しました。

攻撃者は、奪取した正規のアカウント情報を用いて境界防御を突破し、内部ネットワークへ侵入しました。その後、ランサムウエアを実行したことで、一般向けに提供している主要サービスが長期間にわたり停止する大規模な障害が発生しました。さらに、内部に保管されていた大量の顧客個人情報や、取引先との契約書などの重要機密データが外部に漏洩し、深刻な事態へと発展しました。

正規のアカウント情報を悪用して社内ネットワークに侵入されると、従来の境界防御型の仕組みでは、内部での被害拡大を抑えきれません。一度の認証突破が組織の根幹を揺るがす致命的な被害につながるという、従来のネットワーク管理の限界が浮き彫りになった事例であり、アクセスごとに厳格な検証を行う「ゼロトラスト」への移行の重要性を強く示しています。

VPNの代替手段として注目される「ゼロトラスト」とは

VPNの限界を克服する新しいセキュリティーの考え方として、「ゼロトラスト」が急速に普及しています。

この項では、ゼロトラストの基本概念と、VPNの代替手段となる「ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)」との違いを解説します。

「境界防御」から「何も信頼しない」セキュリティーへの転換

ネットワークの内外を問わず、一貫したセキュリティーポリシーを適用できるのがゼロトラストの特長です。

従来のセキュリティー対策は、社内ネットワークを「安全な場所」とみなして外部と分ける境界防御に依存していましたが、このモデルはもはや通用しません。クラウド活用やテレワークの普及により、“守るべき資産”が境界の外に分散したため、境界が突破された場合に内部情報が一気に漏洩するリスクがあります。

ゼロトラストは「社内だから安全」という思い込みを捨て、あらゆるアクセス要求を「疑わしいもの」として常に検証・認証します。ユーザーの場所を問わず、アクセスのたびに認証・認可を行うことで、侵入を前提とした強固な保護体制を構築します。

この考え方の転換こそが、巧妙化するサイバー攻撃から企業の資産を守るための新しいスタンダードです。

社外からのアクセスを守る「ユーザー個別の認証強化」

VPNとゼロトラストの決定的な違いは、認証の厳格さとアクセスの対象範囲にあります。

VPNは、一度の認証でネットワーク全体への“通行許可”を与えてしまいがちですが、これは“玄関”さえ開ければ全室を歩き回れる状態と同じで、攻撃者の“横移動(ラテラルムーブメント)”を容易にします。

一方でゼロトラストに基づいたアクセス制御では、社外から社内システムにアクセスする際、その都度「誰が(ユーザー個別)」「どの端末で」「どんな状況で」アクセスしているのかを厳格に認証することが特長です。

ゼロトラストは、単なるIDとパスワードだけでなく、多要素認証やデバイスの状態をリアルタイムでチェックすることで、なりすましや脆弱な端末からの接続を遮断します。

この多角的な認証プロセスが、社外からのリモートアクセスにおける安全性を飛躍的に高める鍵となります。

被害の拡大を食い止める「アプリケーション単位」のアクセス許可

ゼロトラストの柱であるZTNAは、ネットワーク全体ではなく、必要なアプリケーション単体にアクセス権を与えます。

これは「最小権限の原則」に基づく設計であり、ユーザーには業務に不要なリソースを一切見せないように制御されています。万が一、特定のIDが漏洩したり端末が乗っ取られたりしても、攻撃者は他のシステムへ横移動することができず、被害をその一点に封じ込めることが可能です。

ユーザーはあたかも目的のアプリケーションに直接接続しているような感覚で利用でき、裏側のネットワーク構造が攻撃者に晒されることもありません。アプリケーション単位の制御により、従来のVPNが抱えていた広範な侵害リスクを抑え、万が一の際の事業継続性を飛躍的に高められます。

ゼロトラストの代表的ソリューション「Zscaler」の特長

ゼロトラストを実現するソリューションの中でも、世界的に高いシェアを誇るのが「Zscaler(ゼットスケーラー)」です。独自のクラウドネイティブな構成により、セキュリティーの強化と快適なユーザー体験を両立させています。

この項では、ゼロトラストの代表的なベンダーであるZscalerを紹介し、技術的な優位性について解説します。

「クラウドブローカー」を介した防御による安全性と柔軟性

Zscalerの最大の特長は、オンプレミスにハードウエアを設置せず、世界規模の「クラウドブローカー」を介して全ての通信を処理する点にあります。

ユーザーからのアクセス要求は、まずZscalerのクラウド上で高度なセキュリティー検査を受け、安全が確認された通信のみが目的のリソースへ届けられます。この仕組みにより、従来のVPNで課題となっていた「機器の脆弱性管理」や「特定拠点へのトラフィック集中による速度低下」を根本から解決可能です。

通信の負荷は世界中に分散された拠点で処理されるため、ユーザー数が増加してもパフォーマンスが低下しにくく、高い安全性と通信速度を両立できます。管理者はパッチ対応から解放され、ユーザーはどこからでも快適な通信環境を享受できることが魅力です。

「ZPA」を活用した外部業者への安全なアクセス権付与

「Zscaler Private Access(ZPA)」は、特に外部連携の多い企業で高く評価されているリモートアクセス手法です。

自社の従業員だけでなく、システム保守を行う「外部業者」に対しても、ネットワーク全体を公開することなく「必要なアプリケーション単体」への安全なアクセス権のみを付与できるメリットがあります。

さらにZPAは、社内システムをインターネットから完全に隠蔽する「ダークネット化」機能が有効です。外部から社内リソースの存在を直接見えないようにすることで、攻撃者が最初に行う偵察を封じ込め、アタックサーフェス(攻撃対象領域)を極小化します。

外部業者に利便性を提供しつつ、組織の重要資産を“鉄壁の守り”で保護できるZPAは、現代のサプライチェーン対策において欠かせないコンポーネントとなっています。

成功のカギを握るゼロトラスト移行のステップとサービス選定

VPNからゼロトラストへの移行は、企業のITインフラを根底から変える大きなプロジェクトです。

この項では、ゼロトラスト導入のハードルを下げ、ビジネスへの影響を最小限に抑えながらスムーズな移行を実現するための具体的なステップや、信頼できるベンダー選定のポイントについて解説します。

既存環境との並行稼働による段階的な移行

ゼロトラスト導入を成功させるための現実的なアプローチは、現在利用しているVPN環境をすぐに廃止するのではなく、新しいZTNAと並行稼働させることです。

一気に全てのシステムを入れ替えるのはリスクが大きいため、まずは特定の部門や特定のクラウドアプリケーション、あるいはリスクの高い外部業者のアクセスから段階的に移行していくのが有効です。

この方法は、万が一のトラブル時にも業務への影響を限定的に抑えられます。また、スモールスタートで効果を検証し、運用上の課題を洗い出しながら徐々に対象を拡大していくことで、組織全体の習熟度も高まります。

着実にゼロトラストの対象範囲を広げていくハイブリッド運用こそが、スムーズな移行を実現し、利便性を損なわないための重要なポイントです。

専門知識を持ったパートナー企業の選定

ゼロトラストの導入には、単に製品を導入する以上の専門性が求められます。「誰に、どのアプリケーションを、どのような条件で許可するか」という精緻な設計がセキュリティーの肝となるため、自社のビジネスプロセスを深く理解したパートナーの存在が不可欠です。

適切なポリシー設計がなされていないと、利便性を損なうだけでなく、新たな脆弱性を生む可能性もあります。そのため、導入実績が豊富で、導入後の運用までを見据えたサポート体制を持つベンダーを選ぶことが重要です。

最新の脅威トレンドに精通し、環境の変化に合わせて柔軟にポリシーを最適化してくれるパートナーと協力することで、投資対効果を最大化し、安全で利便性の高いネットワーク環境を維持し続けられるでしょう。

まとめ

本記事ではVPNが抱えるリスクと、その代替手段としてのゼロトラストの仕組み、ゼロトラストの代表的なソリューションである「Zscaler」の優位性について解説しました。

境界防御に依存するレガシーな体制から「何も信頼しない」ゼロトラストへの移行は、セキュリティーの観点から避けて通れません。VPNを標的とした攻撃が激化する今、ゼロトラストを軸としたセキュリティー対策の見直しが有効な防衛策となります。

強固なセキュリティーと快適なリモートアクセスを実現したい企業様には、三菱電機デジタルイノベーションが提供する「Fast Start for Zscaler」の活用をおすすめします。豊富な導入実績に基づく確かなノウハウにより、移行のハードルを下げ、最短距離でのゼロトラスト化をトータルでサポート可能です。

三菱電機デジタルイノベーションが提供するゼロトラスト関連ソリューションの詳細は、下記よりご覧いただけます。


著者プロフィール

長谷川 貴之

情報処理安全確保支援士 / ネットワークスペシャリスト

金融機関でのシステム移行プロジェクトを経て、外資系総合コンサルティングファームにて、官公庁の大規模システム運用・保守に従事。
現在は大手製造業の社内SEとして、社内ネットワークの再構築やDX推進、情報セキュリティー体制の整備を一手に担う。登録情報セキュリティスペシャリスト(情報処理安全確保支援士)、及びネットワークスペシャリストの高度国家資格を保持。
複雑なセキュリティー技術や時代背景を、ビジネスの現場に即して平易に解説することを得意とし、現場のインフラ管理で培った「実務家」としての視点から、ゼロトラスト移行やサイバー攻撃対策に関する知見を発信している。


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