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DS No.2504

宇宙用太陽電池関連部品の開発に関し、宇宙戦略基金事業の代表機関に選定

低価格化と供給力強化を通じて、衛星サプライチェーン強化に貢献
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衛星搭載用太陽電池アレイの構成図

 

 三菱電機株式会社は、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(以下 JAXA)が実施する宇宙戦略基金※1第一期の公募テーマの一つである「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」(分野:衛星等)において、技術開発課題「国産太陽電池セル・カバーガラスおよび搭載アレイの開発」(以下、本技術開発)の代表機関に選定され、今回JAXAと契約を締結しました。

 

 近年、低軌道衛星コンステレーション※2をはじめとした衛星市場拡大に伴い、衛星に搭載される宇宙用太陽電池セルと、宇宙放射線から太陽電池セルを守るカバーガラスの需要が増加し、世界的な供給不足による価格高騰・長納期化が課題となっています。

 当社は本技術開発で、太陽電池セル分野で高い専門性を有する国内のサプライヤーとの連携により、低価格かつ量産可能な太陽電池セルを開発します。また、地上製品に使われるガラスの宇宙環境への適用性を検証し、低価格なカバーガラスの量産化に取り組みます。さらに、開発した太陽電池セル、カバーガラスを搭載する太陽電池アレイも新たに開発し、太陽電池セルから太陽電池アレイまで一貫した国内生産を可能とすることで、太陽電池アレイとその部品の低価格化と供給力強化を実現し、国内の衛星サプライチェーン強化に貢献します。

 

 特に重要な部品である太陽電池セルの開発では、太陽電池セル分野で最先端の技術を有し、次世代光電変換素子※3であるペロブスカイト構造※4やCIGS※5の研究開発を行う株式会社PXP(本社:神奈川県相模原市、代表取締役社長 栗谷川 悟)と連携し、ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池セル※6の宇宙環境での実用化に向けた検討を行います。ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池セルは、従来品※7と同等の変換効率を持ち、従来品よりも宇宙放射線への耐性が高いため、変換効率の劣化を回避し、効率を維持できると期待されています。また、ペロブスカイト太陽電池セル、CIGS太陽電池セルは、それぞれ従来品と比較して容易に製造できる点から、低価格化、量産化に適しています。同社の高度な太陽電池セル製造技術と当社の多岐にわたる衛星システムの開発・製造技術を組み合わせることで、宇宙空間においても高い信頼性と変換効率を維持できる太陽電池セルの、低価格化・量産化実現に向けた開発に取り組みます。


  • ※1

    内閣府、総務省、文科省、経産省が資金を拠出しJAXAに設置した、民間企業や大学の宇宙分野における先端技術開発、技術実証、商業化を支援する基金

  • ※2

    地球の低軌道(高度約200~2000キロメートル)に多数の小型衛星を配置し、連携して機能するシステム

  • ※3

    光を電気に変換する効率や性能が従来の技術よりも優れた新しいタイプの素子。太陽電池セルや光センサーなどの分野で使用され、エネルギー変換効率の向上や新しい機能の実現が期待される

  • ※4

    化合物の結晶構造の一種で、ペロブスカイト(灰チタン石)と同じ結晶構造を持つ。ペロブスカイト構造の化合物は、高い変換効率と低コスト、柔軟性などの特性から、次世代太陽電池セルの材料として注目される

  • ※5

    銅(Copper)、インジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)、セレン(Selenium)を主成分とする化合物半導体材料の略称。太陽電池セルの材料として使用される

  • ※6

    ペロブスカイト太陽電池セルとCIGS太陽電池セルを組み合わせた太陽電池セル

  • ※7

    現在主流のIII-V族太陽電池セル

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