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RD No.2533

世界最高のプラスチック分解効率を実現するマイクロ波加熱技術を開発

触媒の加熱特性を考慮した周波数選定と電波漏洩抑圧技術でケミカルリサイクルの低コスト化に貢献
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今回開発した技術を適用したプラスチック分解装置のイメージ

 

 三菱電機株式会社は、プラスチックのケミカルリサイクル※1に使用されるマイクロ波加熱において、加熱効率の高いマイクロ波の周波数※2を選定し、プラスチックと触媒の混合比を最適化することで、プラスチックの分解効率を世界最高※3となる従来比約5倍※4に高める技術を開発しました。さらに、新たに確立した電波漏洩を抑圧する技術を組み合わせることで、大きな開口部を持つプラスチック分解装置の実現を可能とし、ケミカルリサイクルの低コスト化に貢献します。

 近年、循環型社会の実現に向けて、資源有効利用促進法の改正など、プラスチック再生材の利用を促進する規制の整備が進み、プラスチックリサイクルの重要性がさらに高まっています。

 ケミカルリサイクルの加熱手法の一つであるマイクロ波加熱は、プラスチックと触媒の混合物にマイクロ波を照射し、加熱してプラスチックを分解します。従来は、扱いやすさなどの観点から主にISM帯※5のマイクロ波が用いられていましたが、ISM帯は他のマイクロ波に比べて加熱に時間がかかり、大量の電力を必要とするためコストが高いという課題がありました。また、マイクロ波を使用する際、電波法などを遵守するためには、装置開口部からの電波漏洩を抑圧する必要があります。従来は、加熱時に開口部を閉じることで電波漏洩を抑えるバッチ式が一般的でしたが、本方式ではプラスチックの連続投入ができないため、分解効率に限界がありました。

 当社は今回、マイクロ波の周波数によって異なる触媒の加熱特性※6を測定することで、加熱効率の高い周波数を選定しました。また、プラスチックと触媒の混合比を最適化することで、プラスチックの分解効率を最大化するマイクロ波加熱技術を確立し、従来比約5倍の分解効率を実現しました。さらに、装置内に設置した複数の共振器によって、開口状態であっても選定した周波数における電波漏洩を抑圧する技術を確立しました。これらの技術を組み合わせることで、加熱効率の高い周波数を用いたプラスチック分解装置の実現が可能となるため、マイクロ波加熱を使用したケミカルリサイクルの低コスト化、社会実装に貢献します。

 本技術の詳細は「マイクロウェーブ展2025(MWE2025)」(11月26日~28日、於:パシフィコ横浜)に出展します。


  • ※1

    廃プラスチックを加熱して化学原料に分解し、その化学原料を合成することでプラスチックに戻すリサイクル手法。他に、廃プラスチックを分解・選別し再生材料とするマテリアルリサイクル、廃プラスチックを燃料として燃やし、その熱を利用するサーマルリサイクルがある

  • ※2

    10GHz程度の高周波

  • ※3

    2025年11月12日現在、当社調べ

  • ※4

    マイクロ波加熱で一般的に使用される2.45GHz(ISM帯)を用いた方法との比較において

  • ※5

    Industrial, Scientific and Medical Band:産業、科学、医療の用途に利用されることを目的とした周波数帯。902-928MHz、2.4-2.5GHz、5.725-5.875GHzなどが一般的。特定のライセンスなしで利用できるため、他の周波数帯に比べて扱いが容易

  • ※6

    電波を吸収して熱に変換する際の変換のしやすさ

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