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RD No.2534

世界初、マイクロバブルの力で流路内に数ミリメートルの流れを生成する技術を開発

外部ポンプを不要とする次世代冷却システムの開発に寄与し、カーボンニュートラルの実現に貢献
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マイクロバブルによる微細流路内部での流れの生成

 

 三菱電機株式会社は、国立大学法人京都大学(以下、京都大学)大学院工学研究科の鈴木・名村グループとの共同研究により、直径10µmのマイクロバブルを駆動源として、流路内に数ミリメートルの流れを生成する技術を世界で初めて※1開発しました。本技術により、電子機器の水冷に用いる外部ポンプの消費電力削減が期待できるため、カーボンニュートラルの実現に貢献します。なお、本研究は、2019年から継続している京都大学との組織連携活動※2の一環として実施しました。

 電子デバイスの高出力化や、生成AIの急速な普及に伴うAIサーバーの演算負荷増大などにより、電子機器の熱対策の重要性が高まっています。発熱量が多く、安定した冷却が必要となる電子機器の冷却には水冷方式※3が用いられますが、近年では、微細流路に液体を循環させることで、従来の冷却器よりも高効率化を実現したマイクロチャネル冷却器の需要が拡大しています。また、マイクロチャネル冷却器のさらなる効率化に向け、流路幅を100µm以下に微細化する動きも進んでいますが、微細流路に液体を循環させるには強力な外部ポンプが必要となるため、消費電力の増加が課題となっています。

 今回、当社は、京都大学が保有する「局所加熱によって発生させたマイクロバブルの振動とバブル界面の温度差に起因するマランゴニ力※4を利用して流れを生み出す技術※5」に着目し、これを微細流路に適用する研究に取り組みました。その結果、断面の寸法が100µm×400µm、一辺3mmの正方形の流路内に、外部ポンプを使うことなく流速100µm/sの流れを生成することに世界で初めて※1成功しました。さらに、バブルの配置と流路形状を最適化することで、流速を440µm/sまで向上させました。今後、さらに開発を進めることで、省エネかつ高性能な次世代冷却システムの開発に寄与し、カーボンニュートラルの実現に貢献することを目指します。

 なお、本研究成果は、米国物理学協会発行の応用物理学に関する国際的な学術誌「Applied Physics Letters※6」に採択されました。


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