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DS No.2612

フルデジタル通信ペイロード開発に関し、宇宙戦略基金の補助金交付が決定

最先端の衛星搭載用デジタル通信ペイロード技術により、通信衛星の国際競争力を強化

 三菱電機株式会社は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が実施する宇宙戦略基金※1第二期の公募テーマの一つである「国際競争力ある通信ペイロードに関する技術の開発・実証」(分野:衛星等)(以下、本テーマ)において、当社が代表機関に選定されていた技術開発課題「国際競争力のあるフルデジタル通信ペイロードの開発」(以下、本技術開発)に対して、このたび補助金の交付が決定しましたのでお知らせします。当社は今後、通信の柔軟性と高いセキュリティー性を有する「フルデジタル通信ペイロード」の開発を目指します。

 

 近年、ユーザーの要求に合わせて打ち上げ後も機能や性能を柔軟に変更できる衛星の需要が高まっています。広域性・同報性・耐災害性に優れた通信手段である静止通信衛星においては、デジタル信号処理技術を活用し、ソフトウエアを書き換えることで、地域や時間帯による衛星通信の需要変動に対応できるデジタル通信ペイロード※2が注目され、主に欧米で開発・製造が進められています。

 

 当社は本技術開発において、JAXAから受注した「技術試験衛星9号機」の開発を通じて培ったノウハウを活用し、通信の柔軟性と高いセキュリティー性を持つフルデジタル通信ペイロードの開発に取り組みます。具体的には、DRA※3方式アンテナにより通信対象地域を地球の可視範囲全てに拡大するとともに、その範囲内で任意の方向に電波のビームを形成するDBF※4通信技術によりビーム照射地域を柔軟に変更できるペイロードを実現します。また、通信信号をデジタル信号処理するDPP※5を搭載し、従来はハードウエアに依存していた多様な通信制御をソフトウエアで実施することで、打ち上げ後の機能更新を可能とします。さらに、通信内容を秘匿化する機能や、妨害信号から通信信号を保護する機能を搭載することで、他者からの検知や妨害に強く、セキュリティー性の高い安定した通信を可能とします。これら機能に必要な演算処理システムは、従来では膨大かつ複雑な処理のため実現が困難でしたが、高性能な専用ASIC※6を採用し、小型かつ低消費電力なペイロードを開発することで、静止通信衛星への搭載を可能とします。

 

 なお、本技術開発には、アジア最大級の衛星通信事業者であるスカパーJSAT株式会社が連携機関として参画し、2030年代における通信衛星の具体的な利用シーンや利用者が期待する通信衛星の機能・性能を調査・検討します。その結果を当社がフルデジタル通信ペイロードの設計に反映することで、将来の市場ニーズに対応した通信衛星の開発を目指します。

 


  • ※1

    内閣府、総務省、文科省、経産省が造成しJAXAに設置した、民間企業や大学の宇宙分野における先端技術開発、技術実証、商業化を支援する基金

  • ※2

    ペイロードとは、衛星の目的(通信、地球観測、測位など)を達成するために搭載される機器のこと

  • ※3

    アンテナ素子を2次元的に並べたアレイアンテナ。反射鏡を使用せずに直接放射することで、地球全域に電波を送信できる。全アンテナ素子を使ってビーム形成するため、任意の形状のビーム成形が可能な一方、素子数が多くサイズ、消費電力が課題。DRAはDirect Radiating Arrayの略

  • ※4

    デジタル信号処理技術を用いて複数のアンテナ素子の受信または送信信号の励振係数を制御し、指定した方向にビームを形成する手法。DBFはDigital Beam Formingの略

  • ※5

    通信信号のデジタル信号処理装置。多様な通信制御機能をソフトウエアで実現することで柔軟な通信制御と機能の容易なアップデートが可能。DPPはDigital Payload Processorの略

  • ※6

    特定用途に特化して設計されたIC(集積回路)。最適化設計により高い性能と効率を実現。ASICはApplication-Specific ICの略

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