カーボンニュートラルへの取組み
三菱電機グループは、カーボンニュートラルの実現に向けて、製造プロセスにおけるエネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用、製品の省エネ性能の改良等、バリューチェーン全体におけるCO2排出削減に取り組んでいます。
製品関連環境データ管理－「e-Proシステム」の活用
三菱電機グループでは、社外からの様々な環境データ開示要求に応えるべく、製品に関する環境データ（消費電力、温室効果ガス排出量、製品・包装材の素材別質量等）を一元管理する「e-Proシステム」を運用し、データの収集・算定・開示を効率的に実施しています。また、e-Proシステムを、年間消費電力量、仕向地、製品や包装材の質量データ等を基にした簡易的なLC-CO2*排出量の算出や、製品群別のカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに関連した目標設定に対する設計部門へのフィードバックなどに活用することにより、課題の見える化を図り、環境配慮設計を推進しています。
- Life Cycle CO2：製品やサービスのライフサイクル全体を通して排出される全てのCO2
e-Proシステムの全体
製品使用に関連したCO₂削減
三菱電機グループでは、生産活動を通じたCO2排出量よりもはるかに多い製品使用時のCO2排出量（使用電力量に相当するCO2排出量）の削減に、以下2つの視点で取り組んでいます。
- 製品を改良することにより、従来よりも当該製品の使用時のCO2を削減すること
- 製品を使用又は他製品に組み込むことによりCO2を削減すること
製品の改良によるCO₂削減
三菱電機グループでは、製品を改良して従来よりも当該製品の使用時のCO2を削減すべく、新規に開発する製品モデルの使用電力量の改良度合いを評価しています。
| 評価内容 | 製品例 |
|---|---|
| 製品の改良によるCO2削減 | 発電プラント・システムの監視・制御・保護装置、車両用空調装置、車両用電機品、可動式ホーム柵、真空遮断器、エレベーター、エスカレーター、ITS（ETC、スマートインターチェンジ）、エアコン、冷蔵庫、換気扇、扇風機、加工機、LED電球、住宅用照明器具、タービン発電機、光通信ネットワークシステム、無線通信システム、車載機器制御製品 |
製品を使用又は他に組み込むことによるCO₂削減
三菱電機グループの製品の中には、使用時にお客様先でのCO2削減に貢献するものがあります。例えば、ヒートポンプシステムは、燃焼系の暖房・給湯用機器と比べ、使用時のCO2排出量低減が期待できます。そのほか、インバータやパワーデバイスなどは、組み込み先の最終製品全体のエネルギー効率向上に寄与し、使用時のCO2排出量削減が期待されます。そこで、三菱電機グループ製品と、代替として選ばれていた可能性のある製品とのCO2排出量の差分をCO2削減貢献量として定義し、その向上に努めています。
| 評価内容 | 製品例 |
|---|---|
| 製品を使用又は他に組み込むことによるCO2削減 | 給湯システム機器（ヒートポンプ式電気給湯器、電気温水器）、インバータ、パワーデバイス（パワーモジュール）、全熱交換形換気機器、車両用電機品（制御装置） |
工場・オフィスにおける温室効果ガス排出削減
工場・オフィスからの温室効果ガス削減については、エネルギー起源CO2と三菱電機グループが事業活動で主に排出するSF6、HFC、PFC排出量の削減に取り組んでいます。
エネルギー起源CO₂の削減
エネルギー起源CO2に対しては、次のような施策により排出削減を推進しています。
- 計画的な高効率／省エネ設備の導入・更新と運用改善
- 新棟建設／建屋更新時の省エネ施策促進
- 生産設備の省エネ技術の社内共有
- 設備や車両（社用車、フォークリフト等）の電化促進
- 再生可能エネルギー／非化石電力調達やPPA*の導入
なお、国内では、省エネ法の事業者クラス分け評価制度において、三菱電機を含めたグループ内の特定事業者20社のうち9社が省エネ優良事業者（Sクラス）として認定されています。
- Power Purchase Agreement（電力購入契約）
SF₆、HFC、PFC の削減
三菱電機グループが事業活動で主に排出するCO2以外の温室効果ガスは、SF6（六フッ化硫黄）、HFC（ハイドロフルオロカーボン）、PFC（パーフルオロカーボン）の3種類です。
SF6は電気絶縁用途でガス絶縁開閉装置の内部に使用されるほか、半導体・液晶などのエッチング工程でも使用されます。HFCは空調機器や冷蔵庫の内部で冷媒として、PFCは半導体・液晶などのエッチング工程で使用されます。
2024年度は、温暖化係数の低い冷媒への転換、運用改善やガスの回収・除害等の継続により排出量を削減しています。
再生可能エネルギーの導入
三菱電機グループでは、太陽光発電設備の設置、他の再生可能エネルギーメニューの検討あるいは再エネ電力／非化石証書の活用など、地域ごとに最適な手段の検討と課題抽出を行いながら、導入拡大に取り組んでいます。また、太陽光発電で余剰電力が発生した際の自己託送による有効活用を検討しています。
物流でのCO₂排出量削減
三菱電機グループでは、物流業務を定量評価することにより「見える化」し、「ムリ、ムラ、ムダ」をなくして、輸送効率、経済性の向上を図り、環境負荷が少ない物流「Economy & Ecology Logistics」（エコ・ロジス）の実現を目指しています。
三菱電機グループ（国内）では、以下の施策によるCO2排出量の削減に継続的に取り組んでいます。
- 輸送ルート見直し
- トラック輸送から鉄道輸送への切り替え（モーダルシフト）
- 積載率向上によるトラック台数削減（コンテナラウンドユースを含む）
また、三菱電機グループ（海外）でも各国の事情に応じた最適な物流を追求しています。
気候変動対策の取組み（TCFD に基づく開示 ）
三菱電機グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース（TCFD：Task force on Climate-related Financial Disclosures）の提言への賛同を表明しており、TCFDの提言に従った取組みの推進及び情報の開示を行っています。