サステナビリティ担当役員メッセージ
上席執行役員
サステナビリティ・イノベーション本部長
小黒 誠司
2024年4月に発足以降、サステナビリティ・イノベーション本部は、三菱電機グループが経営の根幹として位置付けるサステナビリティの実現を「価値創出」と「経営基盤強化」の両輪で推進しています。
価値創出に向けた「トレード・オン」の実現
2024年度は、社会課題の解決と事業成長を同時に成し遂げる「トレード・オン」事業の創出を本格始動させました。GISTプロジェクト*1では、まず「海」に着目し、海水からCO2を直接除去・回収しカーボンニュートラル実現に貢献するDOC (Direct Ocean Capture)の技術開発を進めています。回収したCO2は、カーボンクレジット販売を主眼に事業化に取り組み、加えてCO2利活用の可能性も探っていきます。
また、グローバルで法制化が進んでいるプラスチックリサイクルでは、三菱電機グループが家電プラスチックのリサイクル事業で培った技術を応用し、異なる業界・種類のプラスチックへ適用すべく挑戦を重ねています。既存事業の進化を図りつつ「トレード・オン」の取組みを着実に進めています。
2025年1月にはついに、産業革命前の平均気温と比較して1.75℃の気温上昇を記録するなど、環境問題は年々深刻化しています。三菱電機グループはこれに歯止めをかけるべく、気候変動の影響を軽減する技術やソリューションの開発、環境性を意識したものづくりに一層取り組んでいきます。この取組みをグローバルに加速、展開していくために、産学官でのオープンイノベーションや海外拠点との連携をさらに強化していく考えです。
経営基盤強化を図る環境、人権、情報開示の活動
一方で、グループ内での取組みとしては、2030年度の自社カーボンニュートラル実現に向けた施策を着実に実行し、CDP*2において気候変動と水の2分野で最高評価のAスコアを3年連続で取得しました。また、2つの製作所で環境省の「自然共生サイト*3」に認定される等、環境保全への取組みについて社外からも高い評価をいただいています。これら評価を糧に、今年度に策定する次の中期環境計画においても、着実堅固な目標を設定します。
加えて、各地域の法規制等に適切に対応していくことも重要です。
2024年度は、マテリアリティに掲げる「あらゆる人の尊重」を徹底するため、当社グループの人権方針を見直すとともに、国際規範に則った人権尊重の取組みを国内の製作所、海外関係会社へと対象を広げ、進めてきました。
CSRD*4、ESPR*5、ISSB/SSBJ*6などへの対応強化はもちろん、非財務情報の経営管理プロセスへの統合、対外開示の充実を図り、企業の透明性と信頼性を更に高めていきます。
改革を終わらせない、自走する組織を目指して
2025年度からは、組織風土改革の取組みを更に強化しています。新たに設置したカルチャー変革室は、全社変革プロジェクト「チーム創生」を母体とし、改革を恒常的に推進する役割を担います。既存の取組みに加え、マイパーパス活動やウェルビーイング活動を結集し、「自走する組織」すなわち、従業員一人ひとりが自ら考え自ら行動する風土、及びカルチャーを醸成していきます。
これからも、企業としての社会的責任を果たすべく、環境・社会・経済の調和を図りながら、サステナビリティ経営の理念を深く根付かせ、イノベーティブカンパニーへの変革に努めてまいります。
- 1 Global Initiative for Sustainable Technologyの意で、グローバルかつサステナビリティの視点に基づく新事業の創出・強化を推進する活動
- 2 Carbon Disclosure Project(企業や都市の環境への取組みを調査・評価・開示する国際NGO)
- 3 企業、団体、個人、自治体の取組み等により生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度
- 4 欧州における企業のサステナビリティ情報開示に関する法令
- 5 欧州市場に流通する製品を対象とした、持続可能性要件を含む環境配慮設計に関する規則
- 6 ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が策定したIFRSサステナビリティ開示基準と整合し、日本の開示基準としてSSBJ(サステナビリティ基準委員会)が策定した基準