従業員のWell-being

三菱電機におけるWell-beingの考え方

三菱電機グループでは、2050年に目指す社会を「笑顔あふれる持続可能な社会」と定義しサステナビリティ経営に取り組んでいます。

これは取引先やお客様、そして三菱電機グループ従業員など幅広いステークホルダーが幸せを感じられる社会を意識したものです。

三菱電機におけるWell-beingは「三菱電機で働く従業員と従業員が大切に想う人が身体も心も充実していて幸福を実感している状態」と捉え、「三菱電機で働く多様・多才な人財がWell-beingを実感していることが、サステナビリティ経営の原動力となる」という考えのもと、Well-beingを高める取組みを推進しています。

Well-beingを高めるための着眼点・取組み

Well-beingを高めるための方法は世界中で広く研究されています。三菱電機では先行研究*を参考としてWell-beingを高めるための着眼点を5つに定義しました。

三菱電機で働く多様・多才な人財のWell-beingを高めるために以下5つの着眼点に沿った施策をバランスよく推進していきます。

1働きやすさ2キャリア・やりがい3心身の健康4私生活の安定・充実5人間関係
  • PERMA理論(Martin Seligman) SPIRE理論(Tal Ben-Shahar) 幸せの4つの因子(前野隆司)

働きやすさ

三菱電機では、Well-beingを高める着眼点の一つとして「働きやすさ」を掲げています。職場環境投資や柔軟な働き方の推進等を通じた働きやすい職場風土の実現により、従業員のWell-beingを高めていきます。

安心していきいきと働ける職場環境の実現

組織風土改革

三菱電機グループは、グループ内で2019年度までに複数の労務問題が発生したことを真摯に受け止め、「風通しよくコミュニケーションができる職場づくり」「メンタルヘルス不調者への適切なケアの徹底」等を目指し、「三菱電機職場風土改革プログラム」に取り組んできました。本プログラムについては、2021年度に短期重点施策の適用を完了させ、2022年度からは長期取組み施策とした「エンゲージメント向上」「コミュニケーション活性化」「組織文化・マインド醸成」に関する施策を展開してきましたが、現在はそれらの取組みを3つの改革の中の「組織風土改革」と一体化させ、より一層強力に実行しています。

また、従業員がいきいきと活躍できる職場環境を実現するための指標として「働きがい」や「ワークライフバランス」についての指標(KPI:Key Performance Indicators)を定め、定期的にモニタリングすることにより、更なる組織風土や職場環境の改善や定着に引き続き取り組んでいきます。

取組みの評価指標の推移

組織風土改革やWell-beingの観点からの働きやすい職場環境の整備に向けた各種活動の結果、2024年度の従業員エンゲージメントスコアは良好回答率60%と前回調査より改善しました。引き続き、経営層と従業員との対話を行う場の充実や職場における上司と部下のコミュニケーション活性化策(1on1ミーティング等)の展開、形骸化した過度な業務の改善、従業員のキャリア形成・開発支援策の充実、各種人事制度改定等の組織風土改革に関する施策を強力に実行し、更なる改善を目指していきます。

KPI

2021年度

(結果)

2022年度

(結果)

2023年度

(結果)

2024年度

(結果)

2025年度

(目標)

従業員エンゲージメントスコア
(当社で働くことの誇りややりがいを感じている従業員の割合)*
54% 54% 55% 60% 63%以上
仕事と生活のバランスが取れていると回答した従業員の割合 65% 66%  68% 71% 70%以上
  • 毎年実施する「従業員意識サーベイ」の対象5設問に対する良好回答割合の平均値
    「当社で働くことの誇り」「貢献意欲」「転職希望」「他者に対する当社への入社推奨」「仕事を通じた達成感」

職場環境整備

持続的成長を実現していくためには、従業員一人ひとりが限られた時間の中でその能力を最大限発揮できる職場環境づくりが重要と考えています。三菱電機では、空気環境やバリアフリー対応を含む施設環境などについての社内基準(職場環境基準)を独自に定め、各基準の達成を目指し、継続的な取組みを推進しています。また、誰もが安心して、いきいきと働ける職場環境の実現に向けて、職場環境への投資を積極的に実施しており、今後も継続して投資をしていきます。

働き方改革と細やかな労働時間管理

三菱電機では、2016年度から「社員が仕事と生活のバランスを取りながら、心身の健康を維持し、いきいきと働ける職場を実現する」ことを目的とした「働き方改革」を経営における重要施策に定め、業務効率化・生産性向上や総労働時間の削減に資する様々な施策を推進してきました。現在では働き方改革を特別な取組みとして位置付けることなく企業経営の前提とし、業務DX化・生成AIの積極活用、トップ主導による業務削減、チーム内で課題解決ができる自走する組織の実現等の各種活動を加速させていきます。

一人・月あたり所定就業時間外時間推移(管理職含む)

一人・月あたり所定就業時間外時間推移(管理職含む)

また、多様・多才な人財の確保・定着(採用競争力・リテンション強化)、Well-being向上、健康経営、自律的なキャリア開発などを実現し、従業員一人ひとりが高いレベルで仕事と生活の良好なバランスを実感し続けるために、上記の活動による長時間労働の更なる削減と同時に入退場時刻やパソコンのログオン・ログオフ時刻などの客観データを用いた細やかな労働時間管理を行っています。これらの結果として、2024年度の一人・月あたりの所定就業時間外時間は2020年度比で約8%減少しており、一定の成果を上げているものと考えています。

柔軟な働き方を支援する取組み

育児・介護等に関する制度の整備と浸透

三菱電機では、従業員が安心して育児・介護と仕事を両立できるよう、法定を上回る両立支援制度を充実させ、職場環境の整備に努めています。三菱電機の「育児休職制度」は子が1歳到達後の3月(特別な事情がある場合は2歳到達後の最初の3月末日まで延長可能)まで、また「育児短時間勤務制度」は子が小学校卒業の3月末まで取得することが可能ですが、2025年度より、障がいがある子や医療的ケアを必要とする子を養育する場合は、子が18歳到達後の3月末日まで取得することを可能としました。「介護休職制度」は対象となる家族について最長2年間、また「介護のための短時間勤務制度」も最長3年間を超えて取得することが可能です。このほか、次世代育成支援の観点から不妊治療のための「出産支援休職制度」や、子育て中の従業員が学校行事参加などの際に利用できる「特別有給休暇制度(セルフサポート休暇制度)」、「リモートワーク制度(在宅勤務制度等)」や、育児・介護などを理由に退職した従業員を対象として再雇用する「再雇用制度」を整備しています。また、介護と仕事の両立は従業員の潜在的需要が高いと考えており、2023年度から介護と仕事の両立支援セミナーの開催と介護相談窓口の新設を行い、2025年度施行の改正育児介護休業法に対応しています。

こうした取組みをより従業員に浸透させていくため、仕事と育児の両立支援制度の一覧や、子育てしながら働く社員へのインタビューなど、両立に役立つ関連情報を掲載したポータルサイトを運営し、積極的に情報発信しています。さらに、これらの取組みについて、対象となる従業員だけではなく、管理職や新入社員に対して、周知や両立支援に対する意識啓発などを行い、各種制度を活用しやすい職場環境づくりに取り組んでいます。今後も、従業員が個人生活の充実と自らのキャリア形成を追求することができる職場風土の醸成に努めていきます。

直近の主な育児・介護などに関する制度の整備状況

勤務地変更申請制度 導入 結婚や配偶者の転任等による転居に伴う同居を目的とし、配偶者居住地区への異動を希望できる制度
育児休職復職先選択申請制度 導入 育児休職からの復職先職場に関する意思表示ができる制度
リモートワーク制度 拡充 全従業員を対象、回数上限の撤廃、勤務場所についての拡充

企業主導型保育園

マッチングサービス 導入

保育園を探している従業員と空きのある企業主導型保育園をマッチングするサービス
遠隔地勤務制度 導入 勤務する事業所の通勤圏外に居住しリモートワークを中心とした業務を行う制度
出産支援休職制度 期間拡大 不妊治療のために取得できる休職期間を12カ月から30カ月に拡大

キャリア支援休職制度

配偶者海外転任随伴の期間拡大

キャリア支援休職のうち、配偶者の海外転任への随伴のために取得できる休職期間を3年から5年に拡大
養育両立支援欠勤の新設など 2025年度施行の改正育児介護休業法に関連し、法律を上回る措置として小学校就学前までの子を養育する者を対象とした養育両立支援欠勤(有給)の新設や介護離職防止のための雇用環境整備等を実施
障がいを有する子や医療的ケアを必要とする子を養育する従業員の両立支援 障がいを有する子や医療的ケアを必要とする子を養育する従業員が申し出た場合は、時間外就業の制限や、深夜就業を免除。加えて、当該子が18歳到達後の3月末日までの間、育児短時間勤務を適用

特別有給休暇制度(セルフサポート休暇制度)

セルフサポート休暇制度とは、各人の休暇年度末に年次有給休暇の切り捨てが発生した場合、20日を限度に積み立て、次年度以降に繰り越すことができる制度です。

従業員本人が子の学校行事への参加や療養・介護・看護・ボランティア・キャリア形成などを行う場合、会社の承認を受けたときはセルフサポート休暇を取得することができます。

遠隔地勤務制度

三菱電機は従業員の働く場所にとらわれない多様な働き方を実現するため、勤務する事業所の通勤圏外に居住しリモートワークを中心とした業務を行うことを可能とする「遠隔地勤務制度」を導入しています。家族との別居解消や育児・介護への参画など、従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を実現します。

個々人の事情に応じたキャリア継続のための制度

三菱電機では昨今の個々人の家庭環境や就労価値観の変化、それに伴う従業員のキャリア希望の多様化等を踏まえ、育児・介護などの事情を抱える従業員もキャリアを継続できるよう各種制度を導入しています。配偶者の海外転任への随伴、自己研さんやボランティア活動を理由に休職ができる「キャリア支援休職制度」や、育児・介護及び持病等による治療のため転居が困難な従業員に対して「最大3年間、転居を伴う異動を対象外とする制度」などを設けています。

キャリア・やりがい

三菱電機では、従業員一人ひとりの「キャリア自律」や「やりがい」もWell-beingを高める着眼点であると考えています。キャリア自律支援策の強化などにより一人ひとりの成長実感・達成感を高め、やりがいを引き出していく取組みを推進していきます。

心身の健康

健康経営の推進

三菱電機では、多様・多才な人財が活躍できる環境の基盤として、心身ともに健康でいきいきと働ける環境の実現を目指し、健康経営を推進しています。組織全体における方針を明確化するとともに、各種人事施策と一体化させ、Well-beingの向上に向けた総合的な取組みを行っています。

私生活の安定・充実

「生活基盤の安定・充実化」も従業員のWell-beingを高める重要な着眼点です。三菱電機では、経済生活基盤の安定と拡充、従業員や家族との心のふれあい・豊かな人間性の創造、心身の健康の維持増進を目指し、各種福利厚生制度を整備しています。

経済生活基盤の安定と拡充の観点では、寮・社宅・家賃補助制度などの住宅支援制度、団体保険制度、従業員持株会、財形貯蓄制度、カフェテリアプラン等を導入しており、従業員や家族との心のふれあい・豊かな人間性の創造の観点では、従業員親睦会を母体とした各種文化体育クラブ活動への支援、グループ従業員専用保養所、互助会による給付金制度など様々な制度を導入しています。

カフェテリアプラン

従業員一人ひとりの自立や価値観の多様化を尊重し、選択性のある福利厚生制度により個人の幸福の実現をサポートすることを目的に2004年度からカフェテリアプランを導入しています。

カフェテリアプランでは、年度初に83,000円分のポイントを付与し、それぞれのライフステージやライフスタイルに合わせて必要なメニューを自由に選択し補助申請することができます。

育児や介護と仕事の両立支援のため、育児・介護サービス利用料補助等のメニューは通常ポイントの2倍の補助を支給しています。

住宅支援制度

2024年度には、人への投資・人的資本経営の観点から、多様・多才な人財が集い・活躍する基盤となる“働きがいのある職場環境”を実現するため、寮社宅・家賃補助制度の大幅な見直しを実施しました。具体的には居住地変更を伴う転任者・単身赴任者に対する家賃補助水準の改善及び賃料に対する補助割合の改善等を行いました。また独身者に対しては独身寮と家賃補助の選択制を導入し多様なニーズに応えられる制度へ改定しました。

人間関係

三菱電機は、一人ひとりの個性が混ざり合い、その個性が最大限に発揮される「心理的安全性」の高い職場の実現も従業員のWell-beingを高めると考えています。

三菱電機グループが目指す人間関係の理想像は「組織の方針の実現に向けて内容の巧拙や意見の相違にかかわらず、また人間関係の悪化や失敗を心配することなく、いつでも、誰もが、誰に対して発言しても歓迎される」状態です。時には「健全なコンフリクト」をいとわずに本音で議論できる「良好で強固な人間関係」を目指し心理的安全性を高める取組みを推進しています。

三菱電機では心理的安全性を高めるために「心理的安全性ガイドライン」を策定し全従業員に公開しています。ガイドラインには「心理的安全性を高めるためのTips(リーダー向け・メンバー向け)」や「ケーススタディー」を織り込み職場単位で実践的に活用できる内容としています。また、毎年実施している従業員意識サーベイに心理的安全性に関する設問を追加しモニタリングの仕組みを導入しています。PDCAサイクルを回し、心理的安全性が高いインクルーシブな環境(=良好で強固な人間関係)の創出を実現していきます。

社外からの評価

Well-beingを高めるための各種取組みが評価され、「WELLBEING AWARDS 2025 FINALIST(ウェルビーイングアクション実行委員会(株式会社朝日新聞社・株式会社SIGNING)主催)」に選出、「ハタラクエール2025 最高位 優良福利厚生法人(総合)(株式会社労務研究所主催)」「キャリアオーナーシップ経営AWARD 2025 優秀賞」を受賞しています。「笑顔あふれる持続可能な社会」の実現に向け今後も更にWell-beingに関する活動を推進していきます。