品質

基本方針とマネジメント

基本方針

私たち三菱電機グループは、企業理念に「たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します」と掲げ、高品質で使いやすい製品づくりから、ご購入後のサポート、不具合発生時の対応、製品の廃棄まで、全ての事業活動において常にお客様の満足向上に努めています。

品質基本理念

三菱電機グループは、従業員の声を取り入れて改定した下記の品質基本理念に基づき、そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組みと環境の構築を進めています。

  • お客様が安心・満足できる品質を目指します。
  • 品質第一で製品・サービスを提供します。
  • 一人ひとりが主役となってより良い品質をつくります。

マネジメント

三菱電機では、全社に品質保証・品質改善活動体制を整備し、品質風土改革推進と活動強化のため、CQO(Chief Quality Officer)を本部長とする品質改革推進本部が全社共通施策を実行しています。品質改革推進本部に所属する品質保証監理部は各製造拠点に駐在し、出荷権限などの牽制機能に加えて、現場の困りごとの相談窓口を担っています。

品質改善活動の展開

三菱電機グループでは、製品・サービスの全業務プロセスにおいて品質改善活動を推進し、人財育成を進めつつ、品質・安全性・信頼性の向上に取り組んでいます。

開発・設計においては、各国の法令や規格、顧客要求、製品の基本機能を把握し、安全性、信頼性、機能の安定性を確保する設計を実践・けん引できる人財を育成しています。その人財を通じた品質作り込み設計に必要な要素技術ガイドラインの周知などにより、開発・設計品質の向上を進めています。

調達品に関しては、三菱電機グループの重要なパートナーである取引先に品質第一の考え方を理解いただき、連携して品質改善に取り組んでいます。

品質不具合については、三菱電機グループの失敗事例をデータベース化した品質関連情報共有システム「失敗GAKU知恵Q増」を構築し、品質作り込み時に活用することで不具合の再発防止に繋げています。

品質風土改革の推進​

エンジニアリングプロセスの改革を通じて、技術的に正しい説明を尽くす組織能力を再構築することで、そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組みと環境の構築を進めています。

・牽制機能の再構築

当社グループ拠点の品質監査を継続して実施、あわせて品質監査に関する人財育成として、各拠点で階層別の教育講座を開催しています。

・技術力・リソース課題への対策

IT化、デジタル化の設備投資を通じて、量産系の最終製品検査工程における検査機器のデジタル化割合は約8割となりました。

・品質コンプライアンス意識の再醸成

「全社品質の日」に風化防止の大切さを伝えた社長メッセージと合わせて、品質不適切事案を経験した社員のインタビューで構成した風化防止動画を全社員に配信しました。また、品質不適切事案に関連する現物を全拠点に巡回形式で順次展示しています。2025年度には常設展示を開始します。

・モノ造りマネジメント環境の整備

リソースの適正化に向け、設計や品質管理業務の負荷の見える化を全製作所のモデル職場で実施するとともに、工場健康診断によって、モノ造り環境の見える化や良好事例の他拠点展開を進め、改善活動を継続しています。

・設計のフロントローディング推進

製品機能視点での変更点・変化点に着目した設計レビュー手法(Quick DR)のモデル職場導入など製作所で成功体験を積み上げてきており、これらの成功体験を基にして全社展開を図ります。

製品の使いやすさ

基本的な考え方

三菱電機グループは「より多くの人が使いやすいものづくり 生活しやすい環境づくり」をユニバーサルデザイン開発の理念に掲げています。真の「使いやすさ」「生活しやすさ」を実現するため、より多くの方に満足度の高い製品と生活環境の提供を目指すことを基本方針としています。

三菱電機グループのユニバーサルデザインの取組み

エアコンや冷蔵庫などの家電製品やエレベーターなどの公共機器に対して、様々な人が使うことを想定してUD(ユニバーサルデザイン)を適用し、継続的に進化させてきました。

多くの人の使いやすさに向けた「UD 設計ガイドライン」

UD設計ガイドラインは、子どもから高齢者、身体の不自由な人まで、より多くの人が安心して使えるように、幅広い製品の開発に適用するための基準です。加齢によるヒトの特性の変化や障がいへの配慮をガイドラインとしてまとめたもので、「認知」「識別」「身体」「安全性・利便性」の4つの視点で構成されています。

ユニバーサルデザイン評価システム「UD-Checker」

UD-Checkerはデザイナーや設計者が共通で使える、三菱電機独自のUDのチェック用ツールです。

「認知」「識別」「身体」「安全性・利便性」の4つの評価軸でUDの達成度を定量的に示せるため、開発ポイントの抽出と具体的な設計への展開が容易になり、製品の効率的な開発に役立っています。三菱電機グループでは、家電・公共機器から産業機器に至るまでUD-Checkerを活用しています。

UD-Checkerにおける4つの評価軸

UD-Checkerにおける4つの評価軸

家電製品への適用

三菱電機は多くのお客様に三菱電機の家電製品を安心してご使用いただけるよう、UDの適用を進めてきました。調理機器のIHクッキングヒーターでも、「UD設計ガイドライン」を適用しています。

デカ文字&ナンバーナビ

デカ文字&ナンバーナビ

IHクッキングヒーター「らく楽IH」CS-G221AKS
デカ文字&ナンバーナビ

<特長>
・表示文字サイズは従来比約1.8倍(三菱電機従来品 G38MSとの比較)
・数字の順番に押すだけで操作可能

産業分野への適用

専門性が高く機器を扱う人が比較的固定化されている産業分野でも、労働者の高齢化や外国人作業者、非熟練作業者の増加など、労働環境が変化しており、UDが求められるようになってきました。三菱電機グループでは、FA機器、電力機器などの産業用製品や作業現場での据付・保守に対してもUDの適用を進めています。

より分かりやすい取扱説明書づくり

三菱電機グループでは「取扱説明書一流化活動」を展開し、お客様に快適に、安全にご使用いただけるよう「見やすく、分かりやすい」取扱説明書づくりに努めています。その基本となるのが、独自の「家電機器取扱説明書作成要領解説」で、家電製品を扱う国内関係会社に配布し、取扱説明書の品質レベル向上を図っています。

受賞実績

2024年度は、国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が主催する「IAUD国際デザイン賞」において、次の案件で受賞しています。いずれの受賞案件も生活者や利用者のニーズを探り出し、それに合わせた使いやすさを実現するために機能やサービスをデザインしたことで受賞につながりました。

  • 「離れて暮らす家族を家電でそっとみまもる『MeAMOR(ミアモール)』」銀賞 —家電を使って離れて暮らす家族の様子を目立たないように見守るサービス
  • 「すべての人にやさしいスマートファクトリーコンセプト」銅賞 —工場内外の人々が連携することでサービスや設備を共有するコンセプト

今後も、三菱電機の幅広い技術を活かしてユーザーの問題を解決する製品・サービスを創出していきます。

離れて暮らす家族を家電でそっとみまもる「MeAMOR(ミアモール)」 離れて暮らす家族を家電でそっとみまもる「MeAMOR(ミアモール)」
すべての人にやさしいスマートファクトリーコンセプト すべての人にやさしいスマートファクトリーコンセプト

お客様満足の向上

基本的な考え方

三菱電機グループでは、創業時から「顧客の満足」を掲げています。この精神を受け継ぎ、各事業の特性に応じてお客様への満足度調査などを実施し、お客様の声を製品開発、販売、サービスなどに反映しています。

また、修理・サービス体制の強化、担当スタッフへの教育の充実、ウェブサイトを通じた情報提供の拡充などにも努めています。

お客様からのお問い合わせ対応フロー(三菱電機) お客様からのお問い合わせ対応フロー(三菱電機)

CS 活動(家電部門)

家電製品を扱うリビング・デジタルメディア事業本部では、三菱電機の製品をより多くの方に購入いただけるよう、また購入いただいたお客様に安心してご使用いただけるよう、お客様満足(CS:Customer Satisfaction)向上活動に取り組んでいます。ご購入時の相談や製品の使い方、アフターサービスなどお客様や販売店様との接点を大切にし、今後の製品開発や販売、サービスへの反映に努めています。

お客様の声を反映する仕組み

お客様からの相談や修理受け付け内容は製作所にフィードバックされ、製品改善や開発品への反映、修理支援情報の提供に活用されています。

お客さま相談センターでは、お客様の声をデータベース化し、傾向分析結果を製作所や販売会社、研究所に定期的に配信しています。製作所や販売会社では、現行製品の改善や取扱説明書等の簡略化を図っており、研究所では開発中の製品の改善に活用されています。また、製作所とお客さま相談センターでは情報連絡会議を開催し、課題や情報収集の改善に取り組んでいます。

静岡製作所では、エアコン「霧ヶ峰」の品質向上のために、技術者がお客様の声を直接聞く機会を設けています。具体的には、品質問題が起こった場合にお客様のお宅を訪問し、ご使用環境を確認して製品開発にフィードバックしています。これまでにも、お客様の声を基に製品の設計や制御仕様の改善を行ってきました。また、体感温度コントロールや室外機の騒音についてもお客様の声を反映し、製品の品質向上に取り組んでいます。今後もお客様の声を大切にし、製品の改善を続けていきます。

CS 活動(ビルシステム部門)

ビル内の縦の交通機関であるエレベーター・エスカレーターやビルマネジメントシステムを扱うビルシステム事業本部では、必要不可欠な社会インフラとして、常に安全・安心を確保し、快適な移動と居住空間をグローバルにお届けし続けていくことにより、活力とゆとりある社会の実現に貢献しています。

24時間・365日対応の「安心の窓口」

「情報センター」

「情報センター」

日本国内では、お客様の「安心の窓口」として「情報センター」を全国8カ所に設置し、お客様からの緊急電話を24時間・365日受け付けています。またお客様のビル設備の状態を常時遠隔で監視し、異常信号をキャッチすると、約6,000名のエンジニアの中から最も早く到着して的確に対応できるエンジニアを特定し、派遣します。その際、過去の対応内容やビルに関する情報をエンジニアに伝えたり、部品を緊急手配したりするなど、設備の早期機能回復をバックアップします。
また、エレベーターや空調設備は、運転データの変化から故障に至る前の変調も見逃さず、事前に対応することで、トラブルを未然に防いでいます。

「三菱エレベーター・エスカレーター安全キャンペーン」の開催

「三菱エレベーター・エスカレーター安全キャンペーン」

「三菱エレベーター・エスカレーター安全キャンペーン」

エレベーターやエスカレーターは、不特定多数の方が利用する交通機関として、高い安全性が求められています。そのため、製品には様々な安全装置や機能が設置されています。 しかし、安全運行のためには、定期的な保守点検や正しい利用方法が不可欠です。
三菱電機グループでは、「三菱エレベーター・エスカレーター安全キャンペーン」を開催し、利用者の皆様に正しい利用法を啓発するための「利用者説明会」や、マンションやビルのオ一ナー、管理者の方々へ日常の管理方法や災害時の対応を説明する「管理者説明会」を実施しています。これまで延べ30万人以上が参加し、三菱電機グループの重要な安全活動のひとつとして継続的に取り組んでいます。


Topics

稲沢ビルシステム製作所 SOLAÉ ショールーム

高さ173.0メートルのエレベーター試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」に併設しているショールームでは、施主・設計事務所・建設会社のお客様や地域の子どもたちなどの見学を受け入れ、ビルを支える三菱エレベーター、エスカレーター、ビルマネジメントシステムの製品・技術を見て、触れて、体感いただき、製品の安全・安心をお伝えしています。

「エレベーター・エスカレーターゾーン」では、エレベーター・エスカレーターの歴史や基本構造から、安全・安心・快適を実現する最新製品・技術に至るまで、実機を用いて紹介し、エレベーターの運行効率や快適性を向上させる「人とつながる機能」や、エレベーターとビル内設備が連携する「建物とつながる機能」などが体験できます。「ビルマネジメントシステムゾーン」では、最新のビル管理・セキュリティーシステムなどが体験できます。

エレベーター試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」 エレベーター試験塔「SOLAÉ(ソラエ)」
「SOLAÉ(ソラエ)」ショールーム 「SOLAÉ(ソラエ)」ショールーム

製品安全に関する方針

基本的な考え方

三菱電機グループは、「企業理念」と「私たちの価値観」に基づいて、製品安全に関する方針を定め、取組みを推進しています。

特に消費者向け製品では、製品の開発段階で定量的なリスクアセスメントを義務付け、重大な危険(死亡、重傷、火災等)の排除を図るとともに、製品のライフエンド(壊れる、破棄する段階においても安全を確保できるよう)を考慮した設計・開発を進めています。

製品不具合発生時の対応

基本的な考え方

三菱電機グループでは、販売した製品に重大な不具合発生の報告があれば、経営トップを含めて迅速かつ的確に処置・対策を決定する体制をとるなど、常にお客様にご迷惑をおかけしないことを最優先にして、対応していきます。加えて、重要不具合の全社での情報共有を迅速化し、対応力の強化を図っています。

とりわけリコール事案については、対象販売全数の捕捉・改修を前提として継続的に取り組み、幅広い販売ルートに働きかけを行っています。

重要な製品不具合の報告

製品安全に関わる不具合や品質に関する重要なお知らせにつきましては、三菱電機オフィシャルウェブサイトのトップページの「製品に関する重要なお知らせ一覧」にて、該当製品の情報を公開しています。

消費生活用製品安全法に基づく事故報告

消費者の方に直接関係の深い消費生活用品の事故につきましては、迅速かつ適切な情報をお届けしています。

2007年5月に施行された改正・消費生活用製品安全法に対応し、三菱電機オフィシャルウェブサイトの「消費生活用製品安全法に基づく事故報告」にて該当製品の情報を公開しています。

事故発生時の処置フロー(三菱電機グループ) 事故発生時の処置フロー(三菱電機グループ)