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2026年9月

音声分離サービス「waketekoo」

独自のAI技術で複数話者の音声を分離し
文字起こしの精度を高める
音声分離サービス「waketekoo」

目次

音声分離サービス「waketekoo」

音声分離サービス「waketekoo」

独自のAI技術で複数話者の音声を分離する「waketekoo(ワケテコー)」は、これまで録音システムに組み込む「モジュール提供型」と、APIを通じて利用する「クラウドAPI型」を提供してきました。そして新たに、より手軽に導入できるSaaS型の提供を開始しました。文字起こしから要約までをカバーし、議事録作成や証跡管理、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策などでの活用が期待されています。開発チームでは、お客様のニーズに応えながら、音声認識の精度向上や機能強化に取り組んでいます。

対面会議の議事録作成やカスハラ対策などのニーズに対応

コロナ禍の収束を経て、働き方の多様化がさらに進みました。オフィス回帰に伴い対面会議が増える一方で、1本のマイクで参加者全員の声を収録するケースが多く、音声認識の精度が議事録作成の課題となっています。また、顧客接点を持つ企業では、サービス向上に向けて、従業員と顧客との会話を記録・テキスト化して活用する動きも広がっています。こうした会話の録音は、2026年10月1日から義務化されるカスハラ防止対策への対応としても有効です。

そこで、三菱電機デジタルイノベーションでは2024年に音声分離サービス「waketekoo」の提供を開始しました。waketekooは、モノラル音声から複数話者の音声を分離するサービスです。開発のきっかけは、金融事業本部サービス企画部 サービス開発課の羅玉てい氏が、入社1年目の2022年に三菱電機 情報技術総合研究所(以下、情報総研)(現担当部門はAXイノベーションセンター 研究開発部)で音声分離技術のデモを目にしたことでした。

「当時、金融機関のディーリング業務向け録音システムを開発していました。そこでは、顧客と営業員の会話が重なると文字起こしの精度が低下するという課題がありました。音声分離技術を活用することで、その課題を解決できると考えました」(羅氏)

waketekooは、三菱電機独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を基に開発された音声分離技術を活用しています。性別や言語に関係なく会話音声を話者ごとに分離でき、話者人数の制限もありません。同時発話が発生した場合でも、2人までであれば分離して処理できます。実用化に当たって工夫した点について、金融事業本部 サービス企画部 サービス開発課の西健太朗氏は次のように振り返ります。

「情報総研が開発した音声分離技術を基に、発話の重複部分のみを抽出して処理する周辺機能を開発し、実用化しました。特にポイントとなったのは、分離した音声を正しく再合成することです。情報総研と議論を重ねながらパラメータを細かく調整しました。また、業務でストレスなく利用できるよう、処理時間の短縮にも取り組みました」

写真左から金融事業本部 サービス企画部 サービス開発課 西 健太朗 氏、同 羅 玉てい 氏、同 植西 陽太 氏、同 大垣 亘由 氏、金融事業本部 金融事業統括部 金融営業部 第五課 大森 正弘 氏

写真左から金融事業本部 サービス企画部 サービス開発課 西 健太朗 氏、同 羅 玉てい 氏、同 植西 陽太 氏、同 大垣 亘由 氏、金融事業本部 金融事業統括部 金融営業部 第五課 大森 正弘 氏

「SaaS型」の提供を開始しより手軽に使えるサービスへ

waketekooは、2024年のリリース当初、お客様が構築したシステム環境での利用を想定し、音声分離機能のみを提供する「モジュール提供型」と、API連携により音声分離・話者分離・文字起こしを利用する「クラウドAPI型」の2タイプを提供しました。その後、2026年には、Webブラウザーから音声分離・話者分離・文字起こしを利用できる「SaaS型」をリリースしました。

SaaS型を開発した背景について、金融事業本部 サービス企画部 サービス開発課の大垣亘由氏は次のように語ります。

「展示会などでお客様の声を聞く中、対面会議の音声を正確に文字起こししたいという要望が数多く寄せられました。また、業務で活用するには録音や要約の機能も不可欠であると考えるようになりました」

さらに、金融事業本部 サービス企画部 サービス開発課の植西陽太氏は次のように語ります。「モジュール提供型とクラウドAPI型はカスタマイズ性が高い反面、導入前に操作性や効果を確認しにくいという課題がありました。そこで、素早く試せるサービスとしてSaaS型を新たに開発することにしました」

SaaS型は録音機能を搭載しており、PCやスマートフォン、ICレコーダーで録音した音声データをアップロードすることで、音声分離・話者分離・文字起こし・要約までを一気通貫で実行できるようになりました。

音声分離サービス「waketekoo」

音声分離サービス「waketekoo」

三つの提供形態から用途に応じて導入可能

waketekooでは、対面会議、店頭窓口、訪問営業、コールセンターなどでの利用を想定しており、三つの提供形態から用途に応じて選択できます。

対面会議の議事録作成に最適なのがSaaS型です。PCの画面上のマイクボタンをクリックすると録音が開始され、最長2時間録音できます。要約機能では、会議の目的や決定事項を簡潔にまとめるとともに、議論の詳細も出力します。

コールセンターなどで行うVoC(Voice of Customer:顧客の声)分析の前処理には、モジュール提供型が有効です。通話録音システムで録音したデータをwaketekooで音声分離し、後続のVoC分析システムへ渡すことで、分析精度の向上が期待できます。

クラウドAPI型は、証跡管理やカスハラ対策に有効です。既存の通話録音システムから音声ファイルをAPI経由で取り込み、音声分離から文字起こしまでを行います。お客様との会話を正確に分離することで、発話者を明確にできます。クラウドAPI型を導入し、証跡管理に利用しているのがキャピタル・パートナーズ証券です。金融事業本部 金融事業統括部 金融営業部 第五課の大森正弘氏は次のように説明します。

「キャピタル・パートナーズ証券様は、コンプライアンスや法的手続きにおける“言った・言わない”のトラブルを防ぐため、通話を録音しています。その際、約500件の通話録音データを正確に文字起こしし、法的手続きの証跡として残す必要がありました。そこで、waketekooによる音声分離を活用し、高精度な文字起こしを実現しました」

音声分離技術の進化とユースケース拡大を目指す

AI技術を用いて音声を分離するwaketekooは、対外的にも注目されています。2026年には、音響分野における優れた技術開発とその実用化に貢献した個人や団体に授与される「日本音響学会 技術開発賞」を受賞しました。受賞について西氏は「外部機関から客観的な評価を受け、私たちが取り組んだ音声分離技術が、最先端かつ独自性の高い技術であることを改めて認識しました」と語ります。

受賞を励みに、開発チームは、現在もwaketekooのさらなる進化を目指し、開発に取り組んでいます。サービス面でも、waketekooと他システムとの連携を通して、ユースケースの拡大を図っていく方針です。そのためには、お客様の業務課題やニーズを的確に把握し、サービス開発に反映していくことが欠かせません。そこで、2026年4月に金融事業本部内にマーケティング部門を新設し、マーケティング機能を強化しました。

「音声分離技術をより多くの方に知っていただき、利用していただくため、開発チームもお客様の要望に耳を傾けながら、サービス改善に取り組んでいます。お客様に価値を感じていただけるサービスへと育てるとともに、現在、開発を進めているコンタクトセンター向けソリューションの一部としてwaketekooを提供していきたいと考えています」(西氏)

サービス・製品

音声分離サービス「waketekoo」

議事録作成の効率化はもちろん、コンプライアンスチェックやカスハラ対策、VOC分析において、「誰が、何を言ったか」を正確に可視化します。