ニュースリリース
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業界初、600メートル先の人や障害物を検知可能な鉄道向け長距離LiDARを開発
長距離LiDARの構造
三菱電機株式会社は、600メートル先の人や障害物を検知可能な鉄道向け長距離LiDAR※1を業界で初めて※2開発しました。本LiDARは鉄道車両走行時の前方監視や鉄道沿線の落下物検知等に利用することで、鉄道の自動運転化や鉄道沿線の安全確認作業の効率化に貢献します。
近年、労働者人口の減少により、物流のドライバーや鉄道をはじめとする交通機関の運転手不足が課題となっているなか、安心・安全な自動運転の実現に向けた技術開発が進んでおり、遠くの物体を高精度に検知可能なLiDARは、自動運転への適用が検討されています。LiDARは、1秒間に数万~数百万回のレーザー光を照射し、レーザーの反射光が戻ってくるまでの時間や反射光の強さから、対象物までの距離と形を点群データで取得する技術で、距離が増すにつれて取得できる点群の密度が低くなり、検知精度が低下することから、自動車と比較し重量が大きく最大制動距離※3が600メートル※4と長い鉄道車両への適用は困難でした。
当社は今回、ガルバノスキャナ※5を適用し、レーザー光の水平・垂直方向の視野角を小さく設定して点群の密度を高めることで、遠方でも高精度な検知が可能なLiDARを開発しました。本技術により、鉄道車両走行時の前方監視の用途でLiDARを鉄道車両の運転席に搭載した場合に600メートル先の人の検知が可能となるほか、鉄道沿線の安全確認の用途で沿線に定点設置した場合に、600メートル先の20センチメートル程度の小さな落下物の検知が可能となります。さらに、付属のLiDAR制御装置に搭載した物体検出AIにより、点群データのみでは特定しづらい障害物の種類を高速・高精度に識別できます。
当社は、本LiDARを活用した前方監視や落下物検知等を通じて、鉄道車両の自動運転化や鉄道沿線の安全確認作業の効率化への貢献を目指します。
本開発品のデモンストレーション機は、「第9回鉄道技術展2025」(11月26日~29日、於:幕張メッセ)に出展します。
- ※1
レーザー光を照射し、その反射光によって点群データを取得することで対象物までの距離や形を計測する装置
- ※2
2025年11月20日現在、当社調べ
- ※3
車両がブレーキをかけてから完全に停止するまでの最大距離
- ※4
国土交通省の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準にて、新幹線以外の鉄道における非常制動による列車の制動距離は600メートル以下を標準とするよう定められている
- ※5
反射鏡を制御することで、レーザー光を任意の方向へ精密に照射する装置
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