人財・カルチャー変革

三菱電機におけるカルチャー変革の考え方

三菱電機グループでは、2021年6月以降に判明した一連の品質不適切行為を受け、再発防止策の一つとして、品質風土、組織風土及びガバナンスの3つの改革を推進してきました。このうち組織風土改革については、2021年10月に社長直轄組織「全社変革プロジェクト」を発足し、コミュニケーション改革をはじめとする各種施策にグループ横断で取り組んできました。

2025年からは、「培ってきた良い風土を基盤に競争力の源泉となる強い文化を醸成していく」という理念のもと、恒久的な組織として「カルチャー変革室」を設置しました。同室では、三菱電機グループのOur Philosophyに基づき、“誠実”を軸とした健全で良質な組織風土(Organizational Climate)と、“挑戦”“共創”を軸とした強い組織文化(Organizational Culture)の醸成に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、従業員一人ひとりが主体的に「イノベーティブカンパニーへの変革」を実践し続けるカルチャーの実現を目指します。

挑戦・共創・誠実を強みとした「自走」する組織カルチャーの実現

「挑戦・共創を強みとした組織文化」の醸成に向けた取組み

三菱電機では、組織文化の定着度合いを測る指標として、「従業員エンゲージメントスコア」を主要KPIに設定し、継続的にモニタリングしています。

カルチャー変革の取組みを続けてきた結果、2025年度の従業員エンゲージメントスコアは良好回答率62%と前回調査より改善しました。引き続き、経営層と従業員との対話を行う場の充実や職場における上司と部下のコミュニケーション活性化策(1on1ミーティング等)の展開、従業員のキャリア形成・開発支援策の充実、各種人事制度改定等のカルチャー改革に関する施策を強力に実行し、更なる改善を目指していきます。

KPI

2021年度

(結果)

2022年度

(結果)

2023年度

(結果)

2024年度

(結果)

2025年度

(結果)

2030年度

(目標)

従業員エンゲージメントスコア
(当社で働くことの誇りややりがいを感じている従業員の割合)*
54% 54% 55% 60% 62% 70%
  • 毎年実施する「従業員意識サーベイ」の対象5設問に対する良好回答割合の平均値
    「当社で働くことの誇り」「貢献意欲」「転職希望」「他者に対する当社への入社推奨」「仕事を通じた達成感」

人事評価制度を通じた「挑戦」「共創」の促進

従業員が主体的に「挑戦」「共創」できる組織文化の実現に向け、「挑戦」「共創」を評価する人事評価制度を2024年度より導入しています。「かえる・つながる・ささえる」を行動評価軸に据え、当年度に取り組む「挑戦」「共創」について、上司・部下の面談を通じて対話する仕組みとしています。

1on1を通じた挑戦・共創の後押し

上司が部下の「挑戦」「共創」を引き出し、支援するための「1on1」の取組みも推進しており、2025年度までに延べ4,000人以上の管理職が1on1教育を受講しています。今後も、組織文化のさらなる醸成・定着に向け、取組みを継続していきます。

「誠実な組織風土」の醸成に向けた取組み

三菱電機グループでは、毎年「従業員意識サーベイ」を実施し、組織風土のモニタリングを行っています。
同サーベイでは、従業員エンゲージメントに加え、組織風土・組織文化の定着度を測る設問を設け、データに基づきカルチャー変革を推進しています。

職場主体での改善活動

三菱電機では、従業員意識サーベイの結果は職場単位で開示し、管理職とメンバーが一体となって職場ごとの改善活動につなげています。改善活動は「自分たちの職場を自分たちで良くする」をコンセプトに、データとして示される自組織の強み・弱みを踏まえ、各職場が主体的に改善テーマを設定し、取り組んでいます。
「自分たち」を主語として改善活動に取り組むことにより、当事者意識が芽生え、継続的に改善が進む状態をつくることで、誠実な組織風土の醸成につなげています。

心理的安全性の高い職場づくり

三菱電機グループでは、従業員一人ひとりの個性が尊重され、その個性が最大限に発揮される「心理的安全性」の高い職場の実現を、誠実な組織風土の重要な要素と位置付けています。

三菱電機グループが目指す人間関係の理想像は「組織の方針の実現に向けて内容の巧拙や意見の相違にかかわらず、また人間関係の悪化や失敗を心配することなく、いつでも、誰もが、誰に対して発言しても歓迎される」状態です。時には「健全なコンフリクト」をいとわずに本音で議論できる「良好で強固な人間関係」を目指し心理的安全性を高める取組みを推進しています。

なお、三菱電機では、心理的安全性を高めるために「心理的安全性ガイドライン」を策定し全従業員に公開しています。ガイドラインには「心理的安全性を高めるためのTips(リーダー向け・メンバー向け)」や「ケーススタディー」を織り込み職場単位で実践的に活用できる内容としています。また、毎年実施している従業員意識サーベイに心理的安全性に関する設問を追加しモニタリングの仕組みを導入しています。PDCAサイクルを回し、心理的安全性が高いインクルーシブな環境(=良好で強固な人間関係)の創出を実現していきます。

安心していきいきと働ける職場環境の実現

働き方改革と細やかな労働時間管理

三菱電機では、2016年度から「社員が仕事と生活のバランスを取りながら、心身の健康を維持し、いきいきと働ける職場を実現する」ことを目的とした「働き方改革」を経営における重要施策に定め、業務効率化・生産性向上や総労働時間の削減に資する様々な施策を推進してきました。現在では働き方改革を特別な取組みとして位置付けることなく企業経営の前提とし、業務DX化・生成AIの積極活用、トップ主導による業務削減、チーム内で課題解決ができる自走する組織の実現等の各種活動を加速させていきます。

2021年から2025年における一人・月当たり所定就業時間外時間の推移を棒グラフで示し、管理職を含めた平均残業時間が2025年度は23.1時間と減少傾向にある状況と、年度ごとの変化を可視化した図。

一人・月当たり所定就業時間外時間推移(管理職含む)

また、多様・多才な人財の確保・定着(採用競争力・リテンション強化)、Well-being向上、健康経営、自律的なキャリア開発などを実現し、従業員一人ひとりが高いレベルで仕事と生活の良好なバランスを実感し続けるために、上記の活動による長時間労働の更なる削減と同時に入退場時刻やパソコンのログオン・ログオフ時刻などの客観データを用いた細やかな労働時間管理を行っています。これらの結果として、2025年度の一人・月当たりの所定就業時間外時間は23.1時間と減少傾向であり、一定の成果を上げているものと考えています。

柔軟な働き方を支援する取組み

育児・介護等に関する制度の整備と浸透

三菱電機では、従業員が安心して育児・介護と仕事を両立できるよう、法定を上回る両立支援制度を充実させ、職場環境の整備に努めています。三菱電機の「育児休職制度」は子が1歳到達後の3月(特別な事情がある場合は2歳到達後の最初の3月末日まで延長可能)まで、また「育児短時間勤務制度」は子が小学校卒業の3月末まで(障がいがある子や医療的ケアを必要とする子を養育する場合は、子が18歳到達後の3月末日まで)取得することを可能です。「介護休職制度」は対象となる家族について最長2年間、また「介護のための短時間勤務制度」は適用期間の上限なく必要な期間取得することが可能です。このほか、次世代育成支援の観点から不妊治療のための「出産支援休職制度」や、子育て中の従業員が学校行事参加などの際に利用できる「特別有給休暇制度(セルフサポート休暇制度)」、「リモートワーク制度(在宅勤務制度等)」や、育児・介護などを理由に退職した従業員を対象として再雇用する「再雇用制度」を整備しています。また、介護と仕事の両立は従業員の潜在的需要が高いと考えており、2023年度から介護と仕事の両立支援セミナーの開催と介護相談窓口の新設を行っています。

こうした取組みをより従業員に浸透させていくため、仕事と育児の両立支援制度の一覧や、子育てしながら働く社員へのインタビューなど、両立に役立つ関連情報を掲載したポータルサイトを運営し、積極的に情報発信しています。さらに、これらの取組みについて、対象となる従業員だけではなく、管理職や新入社員に対して、周知や両立支援に対する意識啓発などを行い、各種制度を活用しやすい職場環境づくりに取り組んでいます。今後も、従業員が個人生活の充実と自らのキャリア形成を追求することができる職場風土の醸成に努めていきます。

上司と部下 仕事と育児の両立支援ハンドブック

上司と部下 仕事と育児の両立支援ハンドブック

上司と部下 仕事と育児の両立支援ハンドブック

育児休職者が円滑に職場復帰し、育児をしながら能力を最大限発揮できるよう、本人と上長の双方に向けてハンドブックを配布するとともに、復職前・復職後に定期的に上長面談の場を設けることをルール化しています。さらに2026年度には、両立支援が組織パフォーマンスを最大化させるとともに、当社の持続的成長のための重要な経営課題のひとつであるとの考えの下、従業員の両立に対する不安軽減に加え、時間や働き方などの制約がある中でも、一人ひとりが自己の役割と成果創出を意識でき、ライフイベントとキャリア形成の双方をより大切にできる風土を醸成することを目的に、ハンドブックの刷新に取り組みました。

介護の両立支援セミナー、相談窓口の設置

仕事と介護の両立ハンドブック

仕事と介護の両立ハンドブック

少子高齢化の進行による生産年齢人口の減少も見据え、介護は性別や年齢を問わず誰にでも起こり得る問題であり、介護に直面する前から介護離職を予防するための取組みを実施していくことが重要であるという考えのもと、育児と同様に、介護との両立支援も重要な経営施策のひとつと位置付けています。当社では、介護に携わる従業員が、安心して介護と仕事を両立できるよう、経済産業省が推進する「OPEN CARE PROJECT 介護を『個人の課題』から『みんなの話題』へ」のコンセプトのもと、20~30代の若年層の従業員も含め、介護における基礎知識や情報を共有し、世代や立場を超えて備えられる様々な支援の取組みを進めています。介護の初動や介護保険サービスなど介護にまつわる様々な悩みについて、ケアマネージャーに相談ができる社外相談窓口を設置しているほか、2025年度には、社外講師を招いた介護支援セミナーを実施し、約750名の従業員が参加しました。また、2026年度には、より多くの従業員に仕事と介護の両立にまつわる情報が届くよう、「仕事と介護の両立ハンドブック」の刷新に取り組みました。本ハンドブックでは、介護を「準備期」、「初動期」、「両立期」、「看取り期」の4つのフェーズ別に解説することで、従業員が介護に直面する前後の一助として広く活用できる設計としました。

直近の主な育児・介護などに関する制度の整備状況

リモートワーク制度 働き方の自由度向上を目的に全従業員を対象に運用
企業主導型保育園
マッチングサービス 
保育園を探している従業員と空きのある企業主導型保育園をマッチングするサービス
ベビーシッター割引券 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業に基づき、小学校3年生まで(障がいなどにより介護が必要な場合は6年生まで)の子に対して、家庭内での保育や保育施設への送迎等に利用したベビーシッター費用の一部を助成
遠隔地勤務制度  勤務する事業所の通勤圏外に居住しリモートワークを中心とした業務を行う制度
出産支援休職制度 期間拡大 不妊治療のために取得できる休職期間を12カ月から30カ月に拡大
キャリア支援休職制度
配偶者海外転任随伴の期間拡大
キャリア支援休職のうち、配偶者の海外転任への随伴のために取得できる休職期間を3年から5年に拡大
養育両立支援欠勤の新設など 法律を上回る措置として小学校就学前までの子を養育する者を対象とした養育両立支援欠勤(有給)や介護離職防止のための雇用環境整備等を実施
障がいを有する子や医療的ケアを必要とする子を養育する従業員の両立支援 障がいを有する子や医療的ケアを必要とする子を養育する従業員が申し出た場合は、時間外就業の制限や、深夜就業を免除。加えて、当該子が18歳到達後の3月末日までの間、育児短時間勤務を適用
介護のための短時間勤務制度 適用期間の上限撤廃 家族を介護しながら働く従業員が安心して働けるよう2026年度より適用期間の上限を撤廃し、上限なく必要な期間の制度利用が可

特別有給休暇制度(セルフサポート休暇制度)

セルフサポート休暇制度とは、各人の休暇年度末に年次有給休暇の切り捨てが発生した場合、20日を限度に積み立て、次年度以降に繰り越すことができる制度です。

従業員本人が子の学校行事への参加や療養・介護・看護・ボランティア・キャリア形成などを行う場合、会社の承認を受けたときはセルフサポート休暇を取得することができます。

遠隔地勤務制度

三菱電機は従業員の働く場所にとらわれない多様な働き方を実現するため、勤務する事業所の通勤圏外に居住しリモートワークを中心とした業務を行うことを可能とする「遠隔地勤務制度」を導入しています。家族との別居解消や育児・介護への参画など、従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を実現します。

個々人の事情に応じたキャリア継続のための制度

三菱電機では昨今の個々人の家庭環境や就労価値観の変化、それに伴う従業員のキャリア希望の多様化等を踏まえ、育児・介護などの事情を抱える従業員もキャリアを継続できるよう各種制度を導入しています。配偶者の海外転任への随伴、自己研さんやボランティア活動を理由に休職ができる「キャリア支援休職制度」や、育児・介護及び持病等による治療のため転居が困難な従業員に対して「最大3年間、転居を伴う異動を対象外とする制度」などを設けています。

私生活の安定・充実

三菱電機では、当社の持続的成長の原動力である“人”の価値を拡大する基盤整備のために福利厚生制度を充実させており、福利厚生の充実がWell-beingを高める重要な着眼点の一つである「生活基盤の安定・充実化」に繋がると考えています。

寮・社宅、家賃補助制度、持家借上制度などの住宅支援制度を導入するとともに、資産形成支援としてグループ社員持株会を整備しています。あわせて、2026年度からは、従業員一人ひとりが自身のライフプランやマネープランについて主体的に考え、より良い選択ができるよう、金融リテラシー向上プログラムの導入を予定しています。さらに、従業員親睦会を母体とした各種文化・体育クラブ活動への支援、グループ従業員専用保養所の提供、カフェテリアプラン、団体保険制度など、従業員が安心して働き続けることができる環境づくりに向けた多様な制度を導入・整備しています。

カフェテリアプラン

社員一人ひとりの価値観やライフスタイルを尊重し、自律的なライフキャリア及びワークキャリアの形成を支援することを目的として、2004年度からカフェテリアプランを導入しています。

2026年度には、付与ポイントを100,000円分へ増額するとともに、個々人のニーズにより柔軟に対応できるよう、各種メニューの拡充を行いました。

育児や介護と仕事の両立支援のため、育児・介護サービス利用料補助等のメニューは通常ポイントの2倍の補助を支給しています。

住宅支援制度

2026年度より、画一的なモデルケースを前提とした制度設計を根本的に見直し、婚姻状態や配偶者との同居状態に依拠しない、シンプルで分かりやすい制度へと大幅に改定しました。具体的には、家賃補助の上限額について、独身者及び単身赴任者向けの補助水準を従来の既婚者向けの水準まで引き上げて統一するとともに、家賃補助の適用期間についても、婚姻状態に依らず「初めて社会人となった年」を起点とした一律の補助適用期間へと変更しました。