三菱電機では、事業所の生物多様性保全活動を通じて30by30目標*1の達成に貢献すべく、自然共生サイト*2認定に向けた取組みを推進しています。
ネイチャーポジティブへの取組み
現在、生態系の破壊や環境変化により生物種の減少が進み、「生物多様性」が損なわれています。人間のあらゆる文明活動は地球生態系の恩恵下にあるとの認識の下、三菱電機グループはネイチャーポジティブへの取組みを推進しています。
生物多様性保全活動
生物多様性行動指針
三菱電機グループは、「生物多様性行動指針」を定め、事業活動と生物多様性への配慮の関連を示し、事業活動を通じて持続可能な社会の発展を目指します。
事業所の生物多様性保全施策
三菱電機グループは、事業所における生物多様性保全に向けた「行動」の指針として、「生きものへの負の影響を低減する」「生きものとのより豊かな共生を目指す」「働く中で社員が自然との関係を取り戻す」の3つの活動の方向性を定めています。事業所ごとに、地域固有種の保全や外来種の管理、周辺の生態系を考慮した緑地の整備などを行動計画に掲げ、着実に取組みを進めています。
3つの活動の方向性
| 活動の方向性 | 実行例 | |
|---|---|---|
A 生きものへの 負の影響を低減する |
1. 「開発圧*1」「外来種圧*2」の抑制*3 | (1)生きものに対する影響把握 |
| (2)外来種管理 | ||
| 2. 「希少種」「固有種」への注意喚起と保全 | (1)構内生物リストの公開 | |
| (2)希少種、固有種の保全 | ||
| (3)周辺の保全課題への協力 | ||
| 3. 農薬影響の管理や、緑地・天然資源の保全 | (1)生きもの殺傷の抑制 | |
| (2)水や土壌等の天然資源への配慮 | ||
B 生きものとの より豊かな共生を目指す |
4. 機能緑地の設定 | (1)緑地管理の体制 |
| (2)飛翔性生物の利用地の整備 | ||
| (3)「みどり+生きもの」優先地の整備 | ||
| (4)事業所周辺への「みどりの連続性」の提供 | ||
| (5)事務所周辺の生物多様性保全活動への貢献 | ||
| 5. 緑地の単純化、特定化など、産業的志向からの脱却 | (1)植生の多様化・多層化 | |
| (2)植物などの特性に合致した緑地管理 | ||
| (3)地域への貢献・配慮 | ||
C 働く中で社員が 自然との関係を取り戻す |
6. 生態系サービスの職場での積極的享受(休憩所、フロア) | (1)文化的サービスの享受・場づくり |
| (2)供給サービスの享受・場づくり | ||
| 7. 「無関心」「無関係」状態から、「全員が関係ある」状態へ | (1)理解と行動促進の教育 | |
| (2)職場・業務での関係創出 | ||
- 1 事業拠点を新たに建設することや、天然資源の採取などの開発(サプライチェーンでの開発を含む)が生物多様性の保全に影響を及ぼすこと(操業による水の使用が周辺地域や水源、ひいては生きものの生息環境に影響を及ぼす場合などもこれに含まれる)
- 2 その地域にもともと存在しない生きものが、建物の脇の緑地、生垣などを整備する際に地域の外から樹木や草木を導入することによりその地域に移動し、地域固有の種の生息を脅かしたり、遺伝的な汚染の原因となること
- 3 外来生物法の「特定外来生物の飼育、栽培、保管又は運搬」に関する規定に則り活動を実施
生物多様性ガイドライン(チェックシート)に基づく定量評価
三菱電機では、事業所の生物多様性への取組み状況を定量評価する「生物多様性ガイドライン(チェックシート)」により、全事業所必須項目の5項目と上記「活動の方向性」に基づく7つの分野(中項目)で分けた186の推進項目ごとに活動実施レベルを定量評価しています。各事業所の担当者がこのチェックシートを活用して生物多様性への取組み状況を自己診断し、強みや課題を把握して取組みの着実な向上を図っています。
全事業所必須5項目
- 生物多様性に関する取組みを進めるための担当者・担当する部署及び業務を設定している
- 生物多様性の活動を行っていくための中期計画がある
- 生物調査を実施している
- 生物多様性に関する環境教育を毎年実施している
- 中期計画に対するフィードバックをしている
「活動の方向性」に基づく7つの分野
- 「開発圧」「外来種圧」の抑制
- 「希少種」「固有種」への注意喚起と保全
- 農薬影響の管理や、緑地・天然資源の保全
- 機能緑地の設定
- 緑地の単純化、特定化など、産業的志向からの脱却
- 生態系サービスの職場での積極的享受(休憩所、フロア)
- 「無関心」「無関係」状態から、「全員が関係ある」状態へ
「自然共生サイト」認定に向けた取組み
自然共生サイト認定事業所
- 受配電システム製作所(香川県丸亀市)
- 静岡製作所(静岡県静岡市)
- 1 生物多様性の世界目標として採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の2030年ターゲットの一つで、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする世界目標
- 2 企業、団体・個人、自治体の取組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度であり、認定区域は、国立公園などの保護地域との重複を除きOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録される
環境省「自然共生サイト」
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
土壌・地下水汚染への対応
三菱電機グループの事業所(製作所、研究所など)では、土地の形質変更などの機会に法規制に基づいたアセスメントを実施し、汚染の状況に応じて必要な対策・措置を行っています。
なお、過去に地下水・土壌の汚染が認められた地区については、行政の指導の下、法規制に則り適切に対応するとともに、必要に応じて定期的に地下水のモニタリングを行っております。
【主な活動】2024年度は、11件の土地利用に伴う土壌・地下水状況についての調査結果と対策を評価し、全て適正に対応していることを確認しました。
事業所から排出される化学物質の管理
三菱電機グループは、化学物質を「グリーン調達・調査対象 化学物質リスト」で規定される独自の3つのレベルに分類しています。具体的には、購入資材に含有される環境リスク物質について、レベルⅠは「含有・付着禁止物質」、レベルⅡは「削減物質」、レベルⅢは「定量的把握物質」と定義し、取扱いの基準を明確に区分しています。また、三菱電機グループの国内生産拠点から排出される化学物質に関しては、法令で指定された物質や揮発性有機化合物 (VOC)の排出・移動量を管理しています。
製品に使用する化学物質の管理
三菱電機グループでは、購入部材に含まれる化学物質の成分情報を、電気電子業界共通の情報伝達スキームであるchemSHERPA*を利用してサプライヤーから入手しています。
さらに、製品の出荷先国・地域の化学物質に関わる法規を把握し、その国・地域で禁止されている物質が製品に含有しないように管理するとともに、含有物質情報の届出や、顧客への情報伝達など、法令が定める対応を適切に行っています。
- 国際規格であるIEC62474(電気電子業界の製品を構成する材料、化学物質の情報宣言)に準拠した情報伝達フォーマット
有害廃棄物の特定、処理
三菱電機グループでは、事業活動に由来する廃棄物のうち以下を有害廃棄物に該当するものと見なし、排出量を把握するとともに法規制に則って適切に処理しています。また、マテリアルリサイクルやサーマルリサイクルを行い、最終処分(埋立処分)量の低減を図っています。
- 三菱電機グループ(国内):廃棄物処理法により規定されている「特別管理産業廃棄物」
- 海外関係会社:現地の法規制で定められた有害廃棄物
PCB 廃棄物・PCB 使用機器の適切な保管と処理
三菱電機グループ(国内)では、PCB特別措置法*1に基づき、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃棄物(PCB 廃棄物)を保管している、又はPCB 使用機器を取り扱っている各拠点で、保管・使用状況を年1回以上点検・確認しています。
過去に三菱電機グループ(国内)が製造したPCB使用機器に関する情報については、お客様にご確認いただけるようウェブサイトで公開しています。
- 1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
【2024年度の低濃度PCB廃棄物*2の処理状況】
機器類 約363トン*3(三菱電機グループ(国内))
- 2 PCB濃度が0.5mg/kg~5,000mg/kgの範囲のもの
- 3 低濃度PCBの可能性がある機器(未分析)を含む