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くらしのエコテクノロジー
家計にも地球にもやさしいエアコンをこれからも開発していく
静岡製作所ルームエアコン製造部 濱田慎悟
くらしのエコテクノロジー
家計にも地球にもやさしいエアコンをこれからも開発していく
静岡製作所ルームエアコン製造部 濱田慎悟

エコと快適性の両立を目指し、常に新しいアイデアを探す

2018.9.28

「省エネ」や「エコ」と聞くと電気代のことが頭に浮かび、「節電しないと!」と思う方も多いのではないでしょうか。家電の中でも消費電力が大きいエアコンは電気代にも直結するので、節電がどれだけ進んでいるのか、気になりますよね。

家電はここ10年で大きく進化しており、実はユーザーがあれこれするよりも“おまかせ”したほうが節電につながる場合も多いのです。細かい部品の技術開発を積み重ね、センサーや制御ソフトなどが見直されたことによって、ボタンを操作するだけで効率的に運転できるようになっているとのこと。とはいえ、エアコンをそこまで信用していいものなのかと、ユーザーとしては不安に感じることも……。

そこで、最新エアコンの省エネ事情や、気になるリサイクルなどの環境問題について、三菱電機 静岡製作所 ルームエアコン製造部 技術第一課の濱田慎悟さんにインタビュー。最新のエアコンについて、いろいろと気になることを聞いてきました。

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三菱電機 静岡製作所 ルームエアコン製造部 技術第一課の濱田慎悟さん

住宅性能や外気温まで読み取って、ちょっと先の体感温度を予測し、
省エネかつ快適な空間に

2018年モデルの最新機能では、住宅性能を読み取る技術がありますよね。省エネ性能が高いと聞いて、興味津々です。どのような技術なのか、教えてください。

濱田さん:住宅の事情はみんな違いますからね。例えば、隙間風が多くて、断熱があまり良くない家もあれば、断熱材が多く入っていて気密性の高い家も増えています。両極端で何倍も熱のロスが違ってしまいます。そこで、独自のセンシング技術で住宅性能を読み取り、ちょっと先の体感温度を予測できる「ムーブアイmirA.I.」を搭載しました。

エアコンというのは、もともと断熱の低い家をベースにして開発しており、どんどん冷やして、一定温度になっても急ブレーキをかけるわけにはいかないのです。どこかで出力を弱めていくわけですが、断熱の低い家だったら、ちょうど釣り合って心地よく過ごせる一方、断熱性能が高い家だと保冷効果が高く、寒くなりすぎてしまう。全く違う環境で同じ快適性を実現するのは至難の業でしたが、「ムーブアイmirA.I.」で実現することができました。

今年のモデルは住宅性能を先に学習していきます。「この家は断熱性が高い」とわかると、ある程度冷えてきたら、ちょっとセーブするような制御機能が入っています。

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外気温もセンサーでチェックしながら運転を制御していきます。

その機能は、どのような仕組みでしょうか。

濱田さん:運転中に冷却能力と室温を見ています。最初はハイパワーで一気に冷やします。その後、トロトロ運転になり、ちょうどいい温度に釣り合うので、そこを見ています。あと、外気温との温度差ですね。例えば、外が暑いと、すごく冷房しなければいけない。外の温度が34度でエアコンの設定温度を24度にした場合、10度の温度差で、この部屋にはこの程度の冷却能力が必要、というデータが取れます。温度差を検知しているのです。

日射などの外の環境もみています。午前中は温度が上がっていって、午後から温度が下がっていきますから、明け方や夕方は冷房をつけっぱなしにすると冷えすぎてしまいますよね。そこを抑制するような制御が入っています。つまり、冷えすぎて不快になっている部分をカットするので省エネにもつながり、より快適に過ごすことができます。

暖房の場合では、午前中にだんだん日が昇って日差しも入ってきますので、暖かくなっていくことを予測して、暖房を先に弱めることもできます。これは「先読み運転」と呼んでいます。

予測できるエアコンなのですね!ところで、外気温というのはどこで検知しているのでしょうか。

濱田さん:室外機です。外の空気を吸い込んでいますので、それによって、室内の温度と室外の温度の差を見ています。徐々に学習して、それぞれの家に合わせて能力をカスタマイズし、住宅事情に合わせて補正しています。

いろいろな最新技術の組み合わせで、三菱電機のエアコンは省エネ性が高いのですね。これなら、こまめに運転をオン・オフしなくても、おまかせしておけば、快適な状態にしてくれるわけですね。

濱田さん:設定温度さえ1回決めれば、エアコンのほうで省エネしつつ、快適な室温に調整してくれますよ。

少しの改善を積み重ねて大きな省エネにつなげているエアコン

三菱のエアコンといえば「ムーブアイ」の印象がありますよね。ムーブアイも年々進化しているのでしょうか。

濱田さん:部屋全体を快適にするために、弊社ではムーブアイというセンサーを開発しました。離れたところの床温度を見て、床が暖まっていないのに暖房をやめてしまうことを防止するためです。冷えやすい床をしっかり暖める、というのは弊社が先駆けてやった技術だと思います。
2014年度では、「ムーブアイ」から「ムーブアイ極」という名前になり、性能もグッと向上しました。手先、指先、足先とか、そういった、細かい部位を見ることによって、その人が寒いか暑いかをどう感じているかがわかるようになり、「部屋を暖めるのではなく、人を暖める(または冷やす)」という概念をつくり出しました。

省エネという観点では、2015年度モデルに搭載された「冷気カット暖房」という技術も評価されています。冬は窓の近くから冷気が侵入しますが、それまでは人を検知できても、冷気までは検知できませんでした。例えばエアコンに向かって右側に窓がある場合、冷気が侵入したらそれを検知します。左側は人を暖めて、右側は冷気を遮断して侵入を抑えるといった制御ができるようになりました。これはフラップ(風向板)が左右に分かれているダブルフラップになっているからできることですね。

そういった制御はソフト省エネと呼んでいるのですが、ハード面でも、電子回路で無駄な電力を使わないように工夫をするなど、毎年小さな改善の積み重ねをどんどん行っています。

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ムーブアイのセンサーを試してみました。手の温度まで感知しているのですね!

開発、生産だけでなくリサイクルについても気になります。使い終わったエアコンはどのようにリサイクルされているのでしょうか。

濱田さん:千葉には三菱電機グループの巨大なリサイクル工場があります。弊社以外の製品もリサイクルできる施設で、エアコンだけでなく、他の家電も集めて素材ごとにリサイクル材として再利用しています。最初に手で分解し、粉砕してから選別します。次に金属などの色々な不純物を取り除き、最後に再利用できる素材を集めて使えるようにしていきます。プラスチックのリサイクルは1998年まではたったの6%でしたが、高品質のプラスチックのみを選別と回収、再生することができるようになり、現在は70%という高いリサイクル率を誇っています。

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千葉県のリサイクル工場

高いリサイクル率を実現していることに驚きました。自社製品に限らず、他社製品も含めて資源循環型社会の実現に幅広く貢献しているのですね。

半世紀ぶりにファンの構造を一新した「パーソナルツインフロー」は
高い省エネ性が自慢!

プロペラファンを採用した「パーソナルツインフロー」は、今までに見たことがない構造だったので驚きました。

パーソナルツインフローの写真
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左が一般的なラインフローファン、右がパーソナルツインフロー。2つのプロペラファンを搭載した『FZシリーズ』は、これまでのエアコンにはない構造を採用しています。

濱田さん:2016年度モデルの「パーソナルツインフロー」を搭載したエアコン『FZシリーズ』ですね。構造を一新して、高効率のプロペラファンを2つ使っています。エアコンは円筒状のラインフローファンを使っていますが、2つのプロペラファンと最適化された自社開発のモーターを使ったことで、送風効率が格段に良くなり、室内機だけの送風機の消費電力で見ると、37%も削減しています。

これは快適性の点でも、省エネの点でも大きな技術革新になります。他社にはなく、画期的に構造が変わったことが評価され、省エネ大賞の最高賞である「経済産業大臣賞」を受賞しています。

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※平成29年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)/主催:一般財団法人 省エネルギーセンター/家庭用エアコン「霧ヶ峰 FZシリーズ」 2018年度モデルFZシリーズ
平成29年度省エネ大賞のロゴ

これまでにないエアコンを世に送り出したわけですが、そういったアイデアはどのように出されるのでしょうか。

濱田さん:ユーザーからの要望を反映すると同時に、常に新しいアイデアを探しています。例えばセンサーの解像度が上がったら、かなり細かく分割して温度を見ることができます。床しか見ることができなかった温度も手先や足先まで見ることができるようになるわけで、そういったところから新しい発想が生まれることもありますね。

三菱電機グループの事業領域は、家庭から宇宙まで幅広いですよね。横断的に、他部署の知恵を借りることはありますか。

濱田さん:先端技術総合研究所などの他部署と連携しています。ムーブアイはもともと高性能で高価な業務用赤外線カメラの技術を応用しているのですが、首を振ることで画素数を増やし、コストを大幅に下げることでエアコンに搭載することができました。

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最後に、エアコンの省エネ運転について、ユーザーが気を付けたほうがいいところがあれば、教えてください!

濱田さん:お掃除することで送風効率が上がって省エネになりますね。三菱のエアコンはハイブリッドナノコーティングという水と油を弾くようなコーティングが熱交換器に施されているので、フラップを外していただければ風路や熱交換器までキレイにでき、清潔な状態を維持できます。こういった掃除のしやすさも省エネに直結しますので、フラップが簡単に外れる構造にしているのです。これも、三菱電機のエアコンだけに搭載されている、大きな意味での省エネ機能となっています。

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フラップだけでなく、中のルーバーも外して掃除できるのは三菱のエアコンだけ

ありがとうございました。

エアコンは省エネ性が気になるところですが、三菱電機はソフト面もハード面もさまざまな切り口から、常に新しい技術にチャレンジしていることがよくわかりました。10年前のエアコンとは省エネ性だけでなく、快適性も全く違うとのこと。環境や省エネも考慮し、あらゆる視点でユーザーの満足度を高める取り組みが行われていることに感銘しました。三菱電機のエアコンなら、安心して使えますね!