社長メッセージ

「活力とゆとりある社会の実現」に向け、次の100年へと力強い歩みを進めていきます。

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さまとご家族及び関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。感染の拡大により世界は未曽有の事態に見舞われており、三菱電機グループの事業活動全体も大きな影響を受けています。感染防止対策を徹底しながら、既に進めていたペーパーレス化やテレワークへの対応を強化するとともに、事業の変革を進めています。


創立100周年を迎え、新たな企業理念体系を制定

三菱電機株式会社は2021年2月1日に創立100周年を迎えることができました。長きにわたり当社グループを支えてくださったすべてのステークホルダーの皆さまのご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

当社は、1921年(大正10年)に三菱造船株式会社の電機製作所を母体として設立され、家庭から宇宙まで、幅広い技術・事業で社会に貢献することで成長してきました。100周年を社長として迎えられたことを誇らしく思う一方、歴史を受け止め、次の世代につないでいく責任の重さを感じています。

この創立100周年を契機に、社会におけるグループの存在意義、そして従業員一人ひとりが大切にすべき価値観・姿勢をあらためて定義し、企業理念体系を改定しました。従来の企業理念の精神を受け継いだ新たな企業理念は「私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。」です。「活力とゆとりある社会」は誰もがいきいきと輝く、明るく不安のない社会を意味し、その実現のために、三菱電機グループらしく貢献していきたいと考えています。

さらに、企業理念を実現するための価値観・姿勢を明確にするため、「7つの行動指針」を「私たちの価値観」へ、「コーポレートステートメント」を「コミットメント」へと見直しました。「私たちの価値観」には新しく「人」を加え、人を大切にする姿勢を明確に示しています。

私たち三菱電機グループは、新たな企業理念体系のもと、次の100年もステークホルダーの皆さまから信頼され、時代の要求に応えられる企業集団を目指すとともに、多様化する社会課題の解決を通じて活力とゆとりある社会の実現に貢献すべく、変革に挑戦し続けてまいります。

経営方針としてサステナビリティの実現に貢献

三菱電機グループが100年間歩んでこられたのは、社会の中で必要とされる会社であったからに他ならず、次の100年も必要とされ続けるためには、売上や利益だけでなく、社会への貢献を目的として、事業を通じて社会課題を解決していく企業であるべきだと役員間の議論でも確認しました。

そのような議論を経て、経営方針に「全ての活動を通じてサステナビリティの実現に貢献すること」を明記しました。従来の「成長性」「収益性・効率性」「健全性」のバランス経営に加え、全ての活動を通じてサステナビリティの実現に貢献することで、経済的価値と社会的価値を両輪とした企業価値の更なる向上を実現します。

具体的には、脱炭素社会の実現に向け、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを2050年までに目指すなど、あらゆる事業活動を通じて社会課題解決を提供していきます。

あわせて、国際的な規範の観点から、国連グローバル・コンパクトで求められている人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を遵守した企業活動を行います。


マテリアリティ(重要課題)の見直し

新たな企業理念体系、国際社会の動向や経営環境の変化を受け、サステナビリティの実現に貢献するため、マテリアリティ(重要課題)の見直しを実施しました。お客様や三菱電機グループの従業員へのアンケートにて期待を把握したほか、有識者から私に直接いただいたご意見も踏まえて社内で議論を重ね、社会課題の解決、環境、人や品質を大切にする姿勢などを重視して、「事業を通じた社会課題解決」「持続的成長を支える経営基盤強化」の2つの面から5つのマテリアリティを特定しました。

あわせて、SDGsへの取組についても確認しました。全ての企業活動を通じてSDGsの17の目標の達成に貢献するとともに、今後注力していく「脱炭素社会の実現」「ライフ、インダストリー、インフラ、モビリティの4つの領域における社会課題の解決」に対応する目標3、7、9、11、13を「重点的に取り組むSDGs」としました。総合電機メーカーとしての強みを発揮できるこれらの目標に対し、価値創出への取組をより一層推進することで、SDGsの目標の達成に具体的に貢献します。

「持続可能な地球環境の実現」「安心・安全・快適な社会の実現」

多様化する社会課題の解決に向け、100年培った経営基盤の強化に加え事業モデルの変革により、ライフ、インダストリー、インフラ、モビリティの4つの領域において、グループ内外の力を結集した統合ソリューションを提供します。

強みのある製品と機器を知り尽くしたサービスにAIなどの先進的なデジタル技術を組み合わせることで、三菱電機グループらしいデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、「モノ+コト」の統合ソリューションを提供します。機器・サービスをご利用いただく中で、販売した製品をどのように使っていただき、廃棄に至るまでコンサルティングや診断などを含めていかにお客様を支えていくか、一歩踏み込んだ提案をしていくことで多様化する社会課題の解決へ貢献します。当社グループの取組の一例として、IoTプラットフォームを活用した鉄道ソリューションが挙げられます。これにより、鉄道車両のメンテナンスの効率化や鉄道事業者間のデータ共有・活用などを支援し、鉄道のさらなる安全・安定運行に貢献していきます。

環境面では、2020年度を目標年とする「環境ビジョン2021」において、「低炭素社会の実現」「循環型社会の形成」「自然共生社会の実現」の目標をすべて達成することができました。本年度からは2050年を見据えた「環境ビジョン2050」のもと、「多岐にわたる事業を通じて環境課題を解決する」「次世代に向けてイノベーションに挑戦する」「新しい価値観、ライフスタイルを発信、共有する」という3つの行動指針で取り組んでいきます。「環境ビジョン2050」では温室効果ガス排出量削減について、当初は2050年に2013年度比で80%以上削減することを目標に掲げていましたが、脱炭素社会の実現に向け、「2050年の実質ゼロ」に目標を変更し、建築物、設備の省エネを徹底するとともに、再生エネルギー導入量の拡大を推進し、バリューチェーン全体で排出量を削減することとしました。また、2035年の使用済プラスチックの100%有効利用を目指し、廃棄物発生源の見える化による目標管理、リサイクル処理業者の調査・情報共有等の取組を通じ、「サーキュラーエコノミーの実現」にも取り組みます。

「あらゆる人の尊重」「コーポレートガバナンスとコンプライアンスの持続的強化」

近年発生した一連の労務問題については重く受け止めており、心からお詫び申し上げます。また、不正アクセスによる情報漏洩、品質不適切行為でも社会の皆さまに多大なご迷惑とご心配をお掛けいたしました。当社として深く反省し、再発防止も含めた諸課題にグループを挙げて取り組んでまいります。それぞれの振り返りや要因分析を行い、また、対応についてステークホルダーの皆さまにご理解いただくべく、ニュースリリース等で情報を開示しています。

現在、当社は、労務問題の再発防止に向けた取り組み「職場風土改革プログラム」を全社で強力に推進しています。外部専門家による第三者評価の結果を踏まえ、ハラスメント防止を明確化した「労使共同宣言5カ条」を採択したほか、2021年4月からは管理職に対し、上司だけでなく同僚や部下からの評価も取り入れた「360度フィードバック」を順次導入しています。先行して、私自身も「360度フィードバック」を受けたところ、自身に対する気付きを得ることができたことから、フィードバックという貴重な機会を活用していく重要性を認識しました。

社会環境が大きく移り変わる中、世代や立場によっても価値観は異なります。2020年度に実施した全従業員向けアンケートでも、従業員の会社へのエンゲージメントが十分でないことが明らかになりました。一方的に伝えるのではなく、経営層と従業員との双方向のコミュニケーションにより、意識の隔たりを生まないこと、従業員の生の声を聞き必要なケアをしていくことの重要性を改めて認識しています。これまでも、会社の方針などを従業員に直接伝え、現場の声を広く吸い上げることを目的とした「社長フォーラム」を開催してきましたが、2021年4月には従業員と直接メールで対話を行う「社長の部屋」も開設しました。これらの施策を通じて、社長としての考えや思いを伝えると共に従業員一人ひとりの思いや考えを受け止め、安心していきいきと働ける職場環境の実現につなげていきたいと考えています。

「サステナビリティを志向する企業風土づくり」

サステナビリティの実現に貢献するためには、社会課題解決に向けて中長期視点で取り組んでいくこと、社会の変化に対する感度と適応力を持つこと、そしてステークホルダーに対して積極的に情報開示を行っていくことを、三菱電機グループの企業風土として根付かせていくことが重要です。企業風土づくりは短期間で成し得るものではないため、持続的経営を支える経営基盤として、時間をかけてしっかりと取り組んでいきます。

この取組にあたり、2021年4月に新たにサステナビリティ推進部を設立しました。サステナビリティ推進部は社長直轄組織であるコーポレートコミュニケーション本部の中に設け、サステナビリティの企画・推進と共にステークホルダーとのコミュニケーションも深めていきます。

次の100年に向けた一歩を踏み出す

三菱電機グループは100年の歴史の中、「家庭から宇宙まで」広く社会に貢献してきました。これは、個々の力では決して成し遂げられず、目標を共有する仲間の存在があってはじめてできたことです。従業員には共に働く仲間を大切にしてほしいと思います。身近な人に目を向け、周囲をいつも笑顔に、幸せにする仕事のあり方を考えることが、より良い事業推進の原動力となります。

環境変化の激しい今、与えられた仕事を言われた通りにやれば良いという考え方は、もはや通用しません。何が重要なのかを従業員一人ひとりが自分で判断していくことが欠かせず、会社としてもそれを後押しする環境を整えていかなければなりません。

2021年度は、次の100年に向けた新たな出発の1年となります。仕事や社会との関わり方など、次の世代にどのようなバトンを渡していくか、今この時代を担う私たちに問われています。三菱電機グループは、従業員15万人の一人ひとりの力を結集し、全ての活動を通じたサステナビリティ実現への貢献を経営方針に加え、心新たに次の100年に向けて歩み始めます。

執行役社長 杉山 武史

2021年6月29日時点


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